2022年度税制改正大綱が決定!「住宅ローン減税」「賃上げ税制」など重要ポイントを解説 – マネーイズム
 

2022年度税制改正大綱が決定!「住宅ローン減税」「賃上げ税制」など重要ポイントを解説

公開日:
2021/12/13
 
  • Facebookでシェア
  • Twitterでシェア
  • LINEでシェア

増減税をはじめとする来年度の税のあり方をまとめた与党の「税制改正大綱」が決まり、このほど公表されました。2022年度も、「住宅ローン減税」の延長や「賃上げ税制」拡充など、生活や事業に直結する改正が実施されることになります。どこがどう変わるのか、ポイントをまとめました。

税制改正大綱とは?

「税制改正大綱」とは、翌年度以降の増減税や新税導入の中身などをまとめた文書のことで、毎年与党が各省庁などの要望、提案に基づいて議論を行い、12月に決定します。政府は、その内容を反映した税制改正法案を翌年の通常国会に提出、可決されれば順次実行に移されることになります。

 

今回決定された22年度の「大綱」の目玉は、21年末で期限を迎える「住宅ローン減税」の延長と、賃上げに積極的な企業を支援する「賃上げ税制」の拡充です。この2つを中心に、盛り込まれた改正の中身について、見ていくことにします。

住宅ローン減税は4年間延長。ただし控除率は引き下げ

現行の住宅ローン減税

一定の要件を満たせば、年末のローン残高(上限4,000万円)の1%が、10年間にわたって税額控除される(支払った税金が戻ってくる)というのが、現行の住宅ローン減税で、利用している人も多いはずです。2019年度(消費税率の引き上げへの対応)、21年度(新型コロナ感染拡大への対応)の2度の税制改正で、期限の延長や制度の拡充(特例措置の導入)が図られてきました。しかし、要件の1つである入居期限が21年12月31日までとなっているため、22年以降どうなるのかが注目されていました。

22年度以降の制度は?

22年度税制改正大綱では、期限の4年間延長など、次のような概要が示されました。
■入居期限

2025年12月31日

■控除率

年末の住宅ローン残高の0.7%

■控除対象となる年末のローン残高上限額

〈22年、23年末までに入居〉

  • 省エネやバリアフリーなどに配慮した「認定住宅」:5,000万円
  • 一定程度、省エネに配慮している場合:性能に応じて4,500万円か4,000万円
  • それ以外の住宅:3,000万円

〈24年、25年末までに入居〉

  • 「認定住宅」:4,500万円
  • 一定程度、省エネに配慮している場合:性能に応じて3,500万円か3,000万円
  • それ以外の住宅:2,000万円

■控除の期間

  • 新築:13年間
  • 中古:10年間

■所得制限

2,000万円以下

なぜ控除率は引き下げになるのか?

改正の主なポイントをまとめると、以下のようになります。

●入居期限が4年間延長された
●控除率が1%から0.7%に引き下げられた
●控除対象のローン残高の上限に「省エネ水準」などによって差を設け、通常の住宅の上限額は現行の4,000万円から3,000万円(24、25年入居は2,000万円)に引き下げられ
●控除の期間は10年から13年に延びた(新築の場合)
●減税の対象となる人の所得が、3,000万円以下から2,000万円以下に引き下げられた

 

総論的には、制度は延長されたものの、減税効果は従来の制度に比べて抑制された、と言うことができるでしょう。

 

特に注目されるのが、控除率の引き下げです。これは、住宅ローン金利の想定外の下落という現実に対応したものでした。結果的に、1%という控除率がローン金利を上回る=減税で戻ってくるお金がローンの支払額を上回る――といったような状況が生まれ、問題視されたのです。

 

詳しくは下記の記事でも解説しています。

来年度、「住宅ローン控除」が見直しに!? 焦点に浮上した金利の「逆ザヤ」問題とは – マネーイズム (all-senmonka.jp)

 

控除対象となる年末のローン残高の上限が1,000万円引き下げられたのも、これから家を持とうという人には「痛手」です。減税額の上限を控除率・控除期間との“合わせ技”で計算してみると、次のようになります。

 

  • ●従来
4,000万円×控除率1%=控除額40万円×控除期間10年=400万円
  • ●新制度(2023年末までに入居)
3,000万円×控除率0.7%=控除額21万円×控除期間13年=273万円

単純計算で、最大127万円のマイナスが生じます。

住宅購入は急ぐべき?

現在、住宅ローン減税の特例措置が実施されており、入居の期限は22年末までとなっています。ただし、この適用が受けられるのは「21年11月までに契約を済ませている場合」です。現状で未契約の人が従来の制度の適用を受けるためには、21年内に契約し、大晦日までに入居するしかありません。「これから検討する」のは、現実的に困難です。

 

新たな制度の場合、引き下げになる控除対象限度額の上限が、24年からさらにダウンします。住宅ローン減税の恩恵を期待するのならば、当面の基準は「23年末までに入居するかどうか」、次は延長された制度の期限である「25年末までに入居するかどうか」ということになるでしょう。

 

なお、現在、新築住宅の8割以上は、断熱性などに優れた「省エネ基準適合住宅」となっています。その場合には、23年末までに入居ならば、従来の限度額が維持されることになりますから、減税額の総額は、実質的には大きく減ることにはならないものとみられます。

賃上げ促進へ、控除率を「倍増」

岸田首相の「看板政策」である「賃上げ税制」の拡充については、賃上げの大きさに応じて控除率を段階的に引き上げるというインセンティブを導入し、具体的に次のように決まりました。

中小企業は最大40%控除

まず中小企業については、

・新規雇用者も含めた全体の給与総額が、前年度に比べて1.5%以上増えた場合には、増加額の15%を法人税(以下同じ)から控除。2.5%以上増えた場合には、30%控除

・従業員の訓練教育費を前年度から10%以上増やした場合には、控除率をさらに10%上乗せ
⇒最大で40%の控除となります。

大企業は最大30%控除

大企業、中堅企業については、

・前年度から継続雇用している従業員の給与総額が、前年度に比べて3%以上増えた場合には、増加額の15%を控除。4%以上増えた場合には、25%控除

・従業員の訓練教育費を前年度から20%以上増やした場合には、控除率をさらに5%上乗せ
⇒最大で30%の控除となります。

賃上げに消極的な大企業にはペナルティ?

大企業については、「アメ」と同時に、「ムチ」の制度も導入します。大綱には、継続して雇用する人の給与の総額が前の事業年度よりも少しでも増えていれば適用してきた「投資減税」について、賃上げなどの条件が新たに明記されました。

 

具体的には、給与総額の伸びが22年度は0.5%以上、その後は1%以上に届かず、設備投資額も一定以上を超えていない場合は、減税の対象から外されることになります。研究開発の投資額を法人税から控除できる研究開発税制のほか、企業のデジタルトランスフォーメーション(DX)や脱炭素の取り組みに使える投資減税も含まれます。ただし、資本金10億円以上・従業員1000人以上で、前期が黒字の法人が対象です。

 

その他の改正点

固定資産税の負担軽減措置、商業地は継続

新型コロナ対策として、地価が上昇しても税額を据え置いている固定資産税の特例については、住宅地は予定通り21年度で終了が決まりました。つまり、今後地価が上昇すれば、固定資産税の負担が増えることになります。

 

一方、コロナ禍で大きな打撃を受けた商業地については、負担軽減措置を継続することになりました。税額の据え置きはやめて、前年度の土地の評価額の5%分となっている加算の上限を2.5%に引き下げる仕組みに改めます。

領収書の電子保存は2年猶予

税制改正大綱には、22年1月に施行する電子帳簿保存法に、2年の猶予期間を設けることが明記されました。電子データで受け取った請求書や領収書の電子保存を企業に義務づけるものですが、システム改修などが間に合わないなどの実情に配慮しました。22年1月1日からの2年間は、引き続き紙での保存も容認されることになりました。

「金融所得課税」は検討事項に

岸田首相が自民党総裁選で掲げ、今回の「大綱」に盛り込まれる可能性も指摘された「金融所得課税」は、「総合的な検討を行う」として、具体化は23年度以降に持ち越されました。高所得者層は、分離課税として一律の税額(20%)が課税される金融所得の割合が高いため、結果的に所得税負担率が低い傾向にあることが問題視され、改善を求める声が上がっていました。

 

詳しくは下記の記事でも解説しています。

新政権発足で「金融所得課税」の見直しが議論に 語られた「1億円の壁」って? – マネーイズム (all-senmonka.jp)

 

また、脱炭素社会実現に向けた施策として注目される「炭素税」については、今回の「大綱」では見送られました。一方、23年4月に終了する「エコカー減税」を見据え、自動車関連の税金のあり方を抜本的に見直す方針が明記されています。

まとめ

2022年度の与党税制改正大綱に、「住宅ローン減税」の延長や「賃上げ税制」の拡充などが盛り込まれました。「住宅ローン減税」は控除率が引き下げられる一方、控除期間が13年になります。また、領収書の電子保存の2年間の猶予なども明記されています。

マネーイズム編集部
  • Facebookでシェア
  • Twitterでシェア
  • LINEでシェア