ギャンブル、投資、投機の違いとは?正しく使い分けて賢く運用! | MONEYIZM
 

ギャンブル、投資、投機の違いとは?正しく使い分けて賢く運用!

「投資」、「投機」など似たような用語に戸惑ったことはありませんか?
この記事では、これから投資を始めようとしている人や投資を誘われたが迷っている人などに向け、ギャンブル、投資、投機の意味について、その違いを説明します。

さらにギャンブルや投資にかかる税金について簡単に説明します。

ギャンブル、投資の違いについて

ギャンブルなのか、投資なのか? その1 辞書的な理解

インターネットをざっと見るだけでも、「簡単、確実に稼げる」といった広告や、投資、副業サイトなどがすぐ目に入ってきます。
いわゆる「ギャンブル」と「投資」はどう違うのでしょうか?
 

国語辞典によりますと、ギャンブルとは「ばくち、とばく」と記されています。
ばくち(博打)やとばく(賭博)をさらに調べますと、「お金や金品をかけて、さいころや花ふだなどで勝負をあらそうこと」とあります。
一方、投資は「事業などに資金をだすこと」と記されていました。
依存症などの相談窓口である大阪府こころの健康総合センターHPには次のような定義がなされていました。

「『ギャンブル等』とは、結果が偶然に左右されるゲームや競技に対して金銭を賭ける行為のことです。」

そして、パチンコ、パチスロ、競馬、競輪、宝くじ、賭け麻雀、FXなどへの投資などが挙げられています。
 

これら辞書的な解釈だけでギャンブルと投資の違いを理解するのは無理があるでしょう。
ただ、国語辞典の「さいころや花ふだ」などからギャンブルは「勝負」、「偶然」などに表現される「不確実性」や「運」、そして投資については「事業など」が分別へのキーワードとなるのではないでしょうか?

ギャンブルなのか、投資なのか? その2 ゼロサムゲーム

投資には株式投資や不動産投資、法人であれば事業への投資などがあり、これらはある程度、不確実性を伴った行為だといえます。はたして、これらはギャンブルなのでしょうか?
 

「ゼロサムゲーム」とは、ゲーム理論と呼ばれる経済理論の用語です。
ゼロサムゲームとは、参加者全員の得点と失点の合計(Sum:サム)がゼロになるゲームのことをいいます。ゲーム参加者の総合計がプラスとなることをプラスサムゲーム、反対にマイナスとなることをマイナスサムゲームといいます。ゼロサムゲームは、ある人の利益が別の人の損失、つまり誰かが勝てば、誰かが負けるゲームとなります。
 

例えば、競馬は、馬券を買った人の馬券代がすべて払い戻される訳ではなく、払戻率は70%~80%となっています。宝くじでは、収益金の47%が当選金に使われる以外は公益事業などに使われます。
 

一方、外国為替取引は、一方のレートが上がるともう片方は必ず下がるしくみになっています。
この場合、競馬や宝くじはマイナスサムゲーム、外国為替取引はゼロサムゲームであるといえます。
 

ゼロサムゲームの考え方によると、ギャンブルとはゼロサムゲームまたはマイナスサムゲームであり、長期間保有などにより期待利益が得られる投資はプラスサムゲームであるということができます。
したがって、ある投資をする際にそれがマイナスサムゲームでないかを検証しましょう。

ギャンブル、投資、投機などの使い分けについて

似たような用語 投資と投機

「投資」に似た用語に「投機」があります。
一般に「投機」とは、購入と売却による差額を目的とする行為であり、価格の変動を利用し、利益を得ようとする短期的な取引のことをいいます。
 

具体的にいうと、投機が「今、これを買っておいて、来週売れば必ず儲かる」などの短期的な価格変動をねらった売買取引や、「これを買っておけば将来爆上がりする」などの不確実ではあるが利幅の大きい取引などをいいます。
 

これに対し、投資とは先述のプラスサムゲームのように長い目で見た利益を見込んでお金を出すことです。
例えば、配当金ねらいの株式を長期保有すると、その投資はその企業の資金となり、企業が利益を蓄積し、配当金として還元される結果となります。
株主になった者は皆その株数に応じて配当を受けるため、プラスサムゲームであり、継続性も期待できます。
 

投資と投機をまとめると次のことがいえます。

  • 投資:比較的長期間にわたり所有し、価値が上昇するのを待つ
  • 投機:短期間、又は頻繁に売買することで、価格差を利益として見込む

ギャンブルや投資、投機のリスクとは?

短期間で売買益を得ようとする投機については、常に「リスク」が付きまといます。
「リスクが大きい」とは、単に「危険」という意味ではなく、変動が大きい、つまり値動きが大きいということです。したがって、リスクが大きいことはチャンスでもあり、ピンチでもあるわけです。
 

一般には、ハイリスクハイリターン(リスクが大きいとリターンの期待値も上がる)といわれていますが、安定的な運用を考えるとリスクは最低限に抑えたいものです。
しかし、リスクを抑えるとリターンも低下します。そこで、投資においては、このリスクをできるだけ抑え、かつ、リターンを安定させるために、複数の金融商品を組み合わせたり、購入時期を分散させたり、長期的な視点に立って商品を選びます。
 

一方、ギャンブルや投機においては、リスクの大きさよりリターンの大きさに先に目が行ってしまい、この勝負に挑むこと自体に満足する傾向があるといえます。
 

ギャンブルと投資の着眼点を比較すると次のことがいえます。

  • 投資:リスクとリターンを長期的に考える
  • ギャンブル・投資:リスクに目がいかず、短期的なリターンだけに注目しがち

ギャンブルにしろ投資にしろ、「事前に」どんなリスクがあり、どの程度損失を受け入れることができるかを考えることが重要でしょう。

ギャンブルや投資の税金について

ギャンブルにかかる税金について

競馬や競輪、ボートレースの払戻金は、一時所得として確定申告が必要な場合があります。
1回のレースなどで課税されるほど多くの払戻がなくても、1年間の払戻金を受けた額を合計して次の算式で計算します。所得区分は「一時所得」に分類されます。
また、ここで年間投票額とは、払戻額に対する当たり券のみの購入費用をいいます。
 

(年間払戻額 - 年間投票額 - 50万円 ) × 1/2 × 所得税率

 
しかしながら、次のような場合には競馬の払戻金が雑所得となるケースがあります。

  • ➢ 予想される確度の高低と配当率の大小の組合せによるパターンに従って馬券を購入し、
  • ➢ 偶然性の影響を減殺するため、年間を通じてほぼ全レースで馬券を購入することを目標として、
  • ➢ 年間を通じた収支において利益が得られるように工夫していた場合

また、この場合においては、外れ馬券の購入費用についても必要経費とすることが認められました。
 
競馬の払戻金の所得区分は、馬券購入の期間・回数・頻度・利益発生の規模等の要素を総合的に勘案して一時所得か雑所得かを判断することになります。
競馬に限らず、事業規模でギャンブルをしている場合には所得区分は要注意です。

投資にかかる税金について

例えば、株式を保有している場合には、「配当金」(配当所得)と、売買による「譲渡差益」(譲渡所得)が得られます。
どのような株式を持っているかによって、申告方法の選択肢が違ってきます。
 

下の表のように上場株式については、配当所得は確定申告不要を選ぶことができます。
しかし、譲渡所得は原則として申告分離課税の対象となるため、自分で1年間の譲渡損益の計算や確定申告をしなければなりません。そこで、投資商品を保有する場合に準備されている「特定口座」を利用することで、源泉徴収まで済ませることができます。ただし、届出書などが必要です。
 

【株式等の税制概要】

  配当所得 譲渡所得 備 考
源泉徴収 確定申告
*
上場株式等
20.315% 選択 確定申告不要 申告分離課税

(上場株式等)

①損益通算 可

②3年間の繰越控除  可

③特定口座への受  入れ 可

(所得税 15.315%) 総合課税
(住民税 5%) 申告分離課税
非上場株式等 20.42%

(所得税のみ)

少額

配当

所得税のみ確定申告不要 申告分離課税

(一般株式等)

上記①~③は不可
総合課税
少額以外 総合課税
*発行済株式等の3%以上を保有する個人株主については、総合課税の対象になります。
**一つの銘柄で1回の配当金が、「10万円×配当計算期間の月数÷12」以となるものをいいます。

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まとめ

今までになかった新たな商品が出てきた場合は、ギャンブルか投資かの判断はすぐにはできない場合があります。たとえば、メタバース空間におけるNFTの売買などはどうなのでしょうか?
その人の今までの価値観が変化するほど、ギャンブルを続けることを優先させてしまうと、依存症に陥りますが、たしなむ域を超えない程度でギャンブルを楽しめればいいですね。

岡和恵
大学卒業後、2年間の教職を経て専業主婦に。システム会社に転職。 システム開発部門と経理部門を経験する中で税理士資格とフィナンシャルプランナー資格(AFP)を取得。 2019年より税理士事務所を開業し、税務や相続に関するライティング業務も開始。
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