住民税非課税世帯とは?住民税非課税世帯の対象や優遇措置を解説 | MONEYIZM
 

住民税非課税世帯とは?住民税非課税世帯の対象や優遇措置を解説

新型コロナウイルスの影響拡大の対策で、給付金が支給されることなど、今、注目を集めているのが、住民税非課税世帯です。
 

では、住民税非課税世帯の定義とは何なのでしょうか。自分が住民税非課税世帯に該当するのかどうか分からないという人もいるでしょう。ここでは、住民税非課税世帯の対象や優遇措置を解説します。

そもそも住民税非課税世帯とは

はじめに、そもそも住民税非課税世帯とは、どのような状態の世帯を指すのか見ていきましょう。住民税非課税世帯とは、簡単にいうと、住民税が非課税となっている世帯のことです。住民税非課税世帯では、次の2点をどちらも満たす必要があります。
 

●住民税が非課税
●世帯であること
 

●住民税が非課税
詳しくは後述しますが、住民税には所得割と均等割の2つがあります。住民税が非課税とは、このどちらもが非課税ということです。

通常、均等割が非課税の場合は所得割も非課税になることから、均等割が非課税の場合は、住民税非課税となります。
 

●世帯であること
住民税非課税世帯を考える上で、個人ではなく世帯ということが重要です。世帯とは、生活をともにする団体、または独立して生活をする個人のことです。家族がいる場合は、一緒に生活する家族全体のことを、世帯といいます。

つまり、住民税を課税されている者が一人もいない世帯が住民税非課税世帯になります。
単身者の場合、その人が住民税非課税であれば、住民税非課税世帯になりますし、家族で一緒に生活していれば、家族全員が住民税非課税である必要があります。
 

「住民税が非課税」「世帯」の2つの要件を満たすことで、いくつかある優遇措置を受けられるようになります。

住民税非課税世帯の対象者とは

住民税非課税世帯とは、住民税が非課税となっている世帯のことです。実は、住民税非課税世帯になるためには、一定の条件が必要です。ここでは、住民税非課税世帯の対象者について、さらに詳しく見ていきましょう。

住民税のしくみはどうなっている?

まずは、住民税のしくみから見ていきましょう。
 

住民税とは、個人が住んでいる各自治体に納める税金のことです。住民税には、都道府県民税と市区町村民税の2つがありますが、原則、都道府県民税と市区町村民税は同時に徴収されるため、区別して把握する必要はありません。
 

重要なのは、どちらも所得割と均等割から構成されているということです。所得割と均等割を合わせて自治体に納めます。所得割と均等割は、次のようになっています。
 
●所得割
所得割とは、個人の所得金額に応じて課される住民税のことです。前年の所得金額を基に、計算されます。一般的な税率は、都道府県民税4%、市区町村民税6%です。

※自治体によって、異なることがあります。

所得割は、次の計算式で計算します。

所得割=(給与や事業などの所得金額-所得控除)×税率10%

例えば、所得金額300万円、所得控除50万円の場合の所得割は、次のようになります。
所得割=(給与や事業などの所得金額300万円-所得控除50万円)×税率10%=25万円

※土地や建物の売却などの分離課税がある場合は、計算方法が異なります。

●均等割
均等割とは、各自治体のサービスを受けていることに対して納める税金のことです。均等割は前年の所得金額がいくらかに関わらず、均等に税金が課されます。均等割の一般的な金額は、都道府県民税1,500円、市区町村民税3,500円です。

※自治体によって、異なることがあります。

住民税非課税世帯に該当するためには、所得割と均等割のどちらも非課税でなければいけません。

住民税非課税世帯の対象となる条件

次に、住民税非課税世帯の対象となる条件を見ていきましょう。所得割と均等割それぞれの住民税非課税世帯の対象となる条件は、次の通りです

1.所得割

・単身者の場合
前年度の所得金額が45万円以下
 

・扶養家族がある場合(同一生計配偶者または扶養親族がいる場合)
35万円×(本人+同一生計配偶者・扶養親族の数)+42万円以下

2.均等割

均等割が非課税となるのは、次の3つのいずれかの場合です。
 
・生活保護法による生活扶助を受けている人
・障害者・未成年者・寡婦(寡夫)で、前年中の合計所得金額が135万円以下の人(給与所得者の場合は、年収204万4000円未満の人)
・前年中の合計所得金額が市町村等の条例で定める額以下の人
 
例えば、東京23区内の場合は、次の通りです。

◆単身者の場合
前年度の所得金額が45万円以下
 

◆扶養家族がある場合(同一生計配偶者または扶養親族がいる場合)
35万円×(本人+同一生計配偶者・扶養親族の数)+31万円以下
 

通常、均等割が非課税の場合は所得割も非課税になることから、均等割が非課税の場合は、住民税非課税となります。

住民税非課税世帯に対する優遇措置

住民税非課税世帯に該当すると、住民税が非課税となるほか、さまざまな優遇措置を受けることができます。住民税非課税世帯に対する主な優遇措置には、次のものがあります。
 

●高額医療費負担の軽減
1か月の医療費が一定金額以上を超えた場合は、高額医療費として超えた金額が支給されます。住民税非課税世帯は、1か月の医療費負担の上限が低く設定されています。
 

●介護保険料負担の軽減
介護保険の保険料について、住民税非課税世帯は1か月の負担金額が軽減されます。
 

●2歳未満の保育無償化
現在、3歳から5歳までは幼稚園や保育所、認定こども園などの利用料が無償化されています(食材料費、行事費など一部費用は有料)。住民税非課税世帯では、2歳未満であっても、幼稚園や保育所、認定こども園などの利用料が無償化されます。
 

●高等教育の修学支援制度
大学・短期大学・高等専門学校・専門学校を対象として、授業料等減免制度の導入や給付型奨学金の支給の拡充が行われています。これは、一定の上限金額まで授業料などを減免したり、学生生活を送るのに必要な学生生活費を賄える給付型奨学金の支給をする制度です。
高等教育の修学支援制度は、住民税非課税世帯やそれに準ずる世帯の学生が対象となっています。
 

●国民年金や国民健康保険料負担の軽減・減免
国民年金や国民健康保険料は、収入金額などによって保険料の金額や軽減・減免措置などが受けられるように設定されています。住民税非課税世帯の人は、国民年金や国民健康保険料負担が軽くなるように設定されています。
 

●給付金の対象
新型コロナウイルスの影響拡大により、国から住民税非課税の世帯等を対象として、臨時特別給付金が支給されています。それ以外にも、各自治体が支給する給付金の対象となっていることがあります。
 

これらの優遇措置を受けるためには、あらかじめ申請が必要なケースもあるので、注意しましょう。
 

今回ご紹介した優遇措置は一部です。これ以外にも、各自治体で独自の優遇措置を設けていることがあります。詳細は、自治体のホームページなどでご確認ください。

まとめ

住民税非課税世帯とは、住民税が非課税となっている世帯のことです。住民税を課税されている者が一人もいない世帯が住民税非課税世帯になります。
 

住民税には、都道府県民税と市区町村民税の2つがあり、それぞれに所得割と均等割があります。住民税非課税世帯に該当するためには、所得割と均等割のどちらも非課税でなければいけません。
 

住民税非課税世帯に該当すると、住民税が非課税となるほか、様々な優遇措置を受けることができます。例えば、高額医療費負担の軽減や介護保険料負担の軽減、高等教育の修学支援制度などです。
 

これらの優遇措置を受けるためには、あらかじめ申請が必要なケースもあります。
住民税非課税世帯に当てはまる場合は、優遇措置の申請を忘れずに行いましょう。

長谷川よう
会計事務所に約14年、会計ソフトメーカーに約4年勤務。個人事業主から法人まで多くのお客さまに接することで得た知見をもとに、記事を読んでくださる方が抱えておられるお困りごとや知っておくべき知識について、なるべく平易な表現でお伝えします。
「助成金/補助金/猶予/減免」カテゴリの最新記事