安定した運用資産である金!相場が上がるケースについて解説 | MONEYIZM
 

安定した運用資産である金!相場が上がるケースについて解説

不動株式、国債、投資信託など、投資資産と呼ばれるものは数多く存在しますが、そのなかの一つに「金」があります。安定した投資資産として信頼性が高いといわれる「金」は今でも人気のある資産です。今回は「金」相場が今後上がるとした場合、どのようなケースが想定されるかを中心に解説していきます。

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安定資産として注目される「金」

貨幣はなぜ「お金」と呼ばれるのか?

日本では貨幣のことを「お金」と呼びます。なぜ「お金」と呼ぶのかについては諸説ありますが、世界的にみても貨幣に実際の「金」が使用されていたケースは数多くあります。例えば日本では、江戸時代に使われていた小判は純金ではないにせよ、金が使用されていました。また、カナダの法定通貨である「メイプルリーフ金貨」は純度の高い金貨として現在でも使用されています。
 

古くから「金」が貨幣として使用されてきた理由には、材質が劣化しにくい、希少性があるなどが挙げられますが、物々交換の時代から「金」が世界的に普遍的な価値を持つものとして重宝されてきたことには違いありません。

「金」が選ばれる理由とは

では、なぜ「金」にそれだけの価値があるのかについて簡単に解説します。
1.希少価値がある
たとえば物々交換を例に挙げてみましょう。誰もが欲しがる交換物を自分が持っていれば、自分が希望する交換物は誰からでも容易に手に入れることができます。
 

物々交換の時代から、金が取引に使われていた一番の理由がその希少性です。地球上には約23万トンの「金」が存在するといわれていますが、この量が今後増加することはまず考えられません。裏を返せば、地球上に約23万トンしかない希少金属であるといえます。この希少性から、誰もが欲しがる交換物として「金」を求めた結果、金が普遍的な価値を持つことになりました。
 

2.利便性が高い
いくら価値のあるものでも、交換物として使うにあたって重かったり、大きかったりしては使い勝手が悪くなります。交換物として使うには「小さくても価値が高い」ことがポイントになります。小さくても価値があるものの例にダイヤモンドがありますが、加工や他の形への成形が難しい点が欠点として挙げられます。その点「金」は金属ですので、溶解して別な形に成形することも可能ですので、利便性が高いといえます。
 

3.劣化しにくい
「金」は他の金属と比べても錆びにくく、劣化しない金属といわれています。経年劣化がありませんので、その価値をいつまでも保ち続けることができるという点も安定資産と呼ばれる理由の一つです。

近年の金相場の推移について解説

相場を決めるのは「需要」と「供給」のバランス

「金」は投資資産ですから相場が存在します。現在の金相場はかつての「固定相場制」から「変動相場制」に移行しており、「需要」と「供給」のバランスにより相場が毎日のように変動しています。
 

相場の基本的な仕組みとして、金を購入しようとする「需要」と、金を売却しようとする「供給」が同じ数量であれば相場は変動しません。相場が変動するのは「需要」と「供給」のバランスが崩れたときです。
 

例えば「需要」の増加に対して「供給」が少なければ、供給する側の売主としては、買主の求めに対してより高い価格で売却することが可能となります。その結果、金相場は上昇することになります。
 

逆に、金を購入しようとする「需要」が減少し「供給」が過多になれば、供給する側の売主としては売却するために、より価格を下げなければなりません。その結果、金相場が下落することになります。
 

過去の金相場の上昇・下落をみても、相場が「金」に対する「需要」と「供給」によって変化してきたことが読み取れます。

経済が不安定になると「金」に資産が集中しやすい

では、具体的にどのようなケースで金相場が上昇するのか?その理由について解説していきます。比較対象として貨幣を挙げてみましょう。
 

貨幣の価値を担保しているのは発行元である国です。日本でいえば日本銀行がそれにあたります。
 

戦争や恐慌など、世界的に経済状態が不安定になると貨幣の価値を担保している国の力が弱くなります。最悪、デフォルトが起こって国が貨幣価値を担保することができなくなれば、持っている貨幣は紙屑同然となるでしょう。もし、手持ちの資産を全て貨幣として所有していたとすれば、一気に全資産を失うことになります。
 

国家的、世界的な不安定状態が起これば、誰もが貨幣という形で資産を持つより、普遍的な価値を持つ「金」に資産を置き換えたいという動きに出始めます。つまり金に対する「需要」が高まるということです。その結果、金相場は上昇します。過去にも金相場が上昇した背景には、世界的な経済状態の不安定がありました。
 

逆に経済状態が安定し、株式や投資信託による運用益が見込めるようになると、価値の変わらない「金」よりも貨幣のほうに資産が移動します。運用益を生み出す可能性が高い投資資産を購入するために貨幣を求める動きが始まるのです。結果として、金に対する「需要」が低くなります。金を手放す方が増え「供給」が増加しますので世界的に金相場が下落することになります。

将来的に金相場は上がるのか?

金相場が上がる要因とは?

最後に、金相場が今後上がる可能性についていくつか事例を挙げてみましょう。
 
1.戦争などによる世界的な経済恐慌
先にも述べたとおり、世界的に経済状態が不安定になると、貨幣や株式を発行する国や企業の力が弱まり、その価値を担保できなくなる可能性が高まります。戦争や紛争、世界的な大企業や金融機関のデフォルトなどに起因した世界的な経済恐慌が起これば、安定資産である「金」に需要が集中し、相場が上がる可能性があります。
 

2.新型コロナウイルス感染症の拡大
現在も続いている新型コロナウイルス感染症の蔓延も金相場を上げる可能性があります。
感染被害がさらに拡大し、経済活動が止まれば世界的に経済が大打撃を受けます。その結果、企業活動に支障をきたし、投資に対する動きも鈍くなります。運用益が見込めずリスクだけを抱えた資産より安定した「金」に資産が移動する可能性があります。
 

3.通貨の信用力低下
ドル、ユーロ、日本円は世界的にも信用が高い基軸通貨として流通しています。もしこれらの国家に、体制変更や崩壊などが起これば、貨幣はその価値を失うことになります。
かつて、ジンバブエでハイパーインフレーションが起こったケースでは、貨幣価値が数十億分の一にまで下落し、貨幣を持つ意味がなくなったことがあります。
基軸通貨国で同様のことが起こる可能性は低いですが、もしそのような事態が起これば「金」に資産が集中することも起こりうるかもしれません。

「金」の価値が変わる可能性は低い

結論からいえば、金相場が将来的に暴落するような事態が起こる可能性は低いと考えられます。その理由としてはやはり、金が持つ「希少性」が挙げられます。
科学技術の進化により、人工で金を生成できるようになったり、海水中に溶け込んでいる金を抽出する技術が確立されれば別ですが、金の産出量が増加することはありません。
つまり「希少性」は今後も変わることはないのです。
 

総量が変わらなければ価値が下落することはあり得ませんので、「金」は今後も安定した価値をもつ投資資産として取り扱われるでしょう。

まとめ

資産運用を考えている方にとって、そこから生み出される運用益は魅力あるものです。先物取引やFXなど、読みが当たれば莫大な利益を生み出すことができる投資もありますが、安定した資産運用を検討しているのであれば、普遍的な価値を持つ「金」を保有するのも一つの方法かもしれません。

奥谷佳子
Webライター/ライター
フリーランスとして様々な記事を執筆する傍ら、経理代行業なども行う。 自身のリアルな経験を活かし、税務ライターとして活動の場を広げ、実務で役立つ生きた税法の解説に努めている。 取材を通じて経営者や個人事業主と関わることも多く、経理や税務ほか、SNSを使った情報発信の悩みにも応えている。