政府が実施を検討する「イベントワクワク割」とは?「GoToイベント」との違いは? | MONEYIZM
 

政府が実施を検討する「イベントワクワク割」とは?「GoToイベント」との違いは?

政府は、新型コロナウイルス感染症のワクチン接種者などを対象にした「イベントワクワク割」の実施を検討しています。どのような中身で、いつから始まるのでしょうか? 昨年実施された「GoToイベント」とはどのような違いがあるのでしょうか?詳しく解説します。

「イベントワクワク割」の概要

キャンペーンの目的は?

「イベントワクワク割」は、新型コロナウイルス感染拡大の影響を受けているスポーツや音楽、文化芸術などのイベントの需要喚起を目的に、消費者の購入するチケット代金を割り引く国の事業です。割引を受けるためには、原則としてワクチン接種証明や検査証明などが必要で、このキャンペーンを通じて、特に遅れている若年層のワクチン接種を促す狙いもあるようです。

対象となるイベントは?

割引の対象になりうるイベントのジャンルは、次のようなものです。

  • 映画館
  • 演劇
  • 音楽コンサート
  • 芸能・演芸
  • 参加型スポーツイベント
  • スポーツ試合観戦
  • 展示会
  • 伝統芸能
  • 博物館・美術館・動物園・水族館
  • ファッションショー
  • 舞踊
  • 遊園地・テーマパーク など

オンライン配信イベントも、割引の対象です。ただし、旅行や飲食、宿泊を伴うイベントは対象になりませんので、注意が必要です。

割引はチケット代金の2割

具体的な割引率(国の給付率)は、各種イベントの「入場・視聴チケット」や、関連グッズなどの特典が付いた「特典付チケット」の2割(上限2,000円/枚)となっています。また、購入は「1回当たり5枚まで」という制限があります。

いつから始まるの?

当初は2022年5月スタートをめどに準備が進められましたが、オミクロン株の感染者数減少に反転の動きが見えたことから、延期になりました。岸田首相は、4月13日の衆議院本会議で、「イベント需要喚起に関する事業の開始については、感染状況等を踏まえて慎重に検討していくこととしており、現時点で直ちに始めることは考えてはおりません」と述べました。開始時期については、今のところ未定ということです。

「GoToイベント」とはどこが違う?

「予算未達」に終わった「GoTo」

「コロナ禍に苦しむイベント関連産業の活性化」という点では、同趣旨の「GoToイベント」が20年10月から実施されました(21年12月に終了)。「ワクワク割」に名称変更した今回は、どこか違いがあるのでしょうか?
 

GoToイベントは、緊急事態宣言の発令もあって、21年12月以降は給付対象がオンラインイベントに限定されてしまいました。それもあり、およそ1,200億円の財源(20年1次補正予算)の1割も使われずに終了になりました。

ワクチン接種などが条件に

最も大きな違いは、今回のワクワク割では、オンラインなどではなくフィジカルに開催されるイベントについては、「イベント参加者の新型コロナのワクチン接種歴または陰性の検査結果のいずれかが確認できること」が、割引の条件となっている点です。
経済産業省は、これにより「消費者が安心してイベントに参加できる環境を醸成していくとともに、文化芸術やスポーツに関するイベントに関わる方々に、新型コロナウイルス感染症の感染拡大防止策の定着を促す」としています。

具体的な確認方法は?

同省のイベント主催者向け公募要領補助資料によれば、接種歴などの確認方法は、当日イベント会場で提示、あるいはイベント当日までに証明書等が確認できるものについてチケット購入者がアップロードしたものを確認(来場時チェックはなし)など、イベントの実施形態に応じて主催者が判断する、としています。
 

また、接種歴、検査について、それぞれ次のような要件が示されています。
 

◆ワクチン接種歴の確認:下記いずれかを確認
①ワクチン接種証明書(書面)
②ワクチン接種証明書に類するもの
・新型コロナワクチン接種証明書アプリ
・地方自治体が発行するアプリ など
なお、ワクチン接種に関しては「2回目接種日から14日以上経過していること」と明示されており、「2回接種」が条件となるようです。
 

◆陰性の検査結果の確認:下記いずれかを確認
①PCR検査等(LAMP法等の核酸増幅法、抗原定量検査を含む)の検査結果
・有効期限は、検体採取日から3日以内
②抗原定性検査の検査結果
・有効期限は、検体採取日から1日以内
 

利用方法は?

登録事業者からチケットを購入

イベントワクワク割の給付金は、チケット購入者(消費者)を対象としたものですが、事業に参加する登録チケット販売事業者が、消費者に代わって給付金の申請・受け取りを行う「代理受領」の仕組みになっています。
消費者は、対象の業者からチケットを購入することで、2割引の特典を受ける(割引チケットを購入する)ことができます。

▲経済産業省 イベントワクワク割公式サイト(https://wakuwari.go.jp/)より引用

国からの給付は課税対象?

今説明したように、直接お金が支給されるわけではないものの、イベントワクワク割を利用して割り引かれた分は、国からチケットを購入した個人への給付になります。この金額には課税されるのでしょうか?
 

国による給付額は、消費者個人の「一時所得」として所得税の課税対象になります。ただし、一時所得には50万円の特別控除が適用されますから、他の一時所得(懸賞や福引きの賞金品、競馬や競輪の払戻金など)との合計額が年間50万円を超えない限り、税金を払う必要はありません。逆に言えば、他に高額の一時所得があった場合には、課税対象になっていないか、注意が必要です。
なお、この給付に消費税は課税されません。
 

このほか、イベントワクワク割の利用に際しては、以下のような注意点があります。 

● 学割やシニア割等の割引が付いているチケットも、割引対象となる。
● 事前購入ではなく、イベント会場で直接チケットを購入する場合でも、主催者がチケット販売事業者を兼ねており、本事業に登録済みで、かつイベント及びチケットが要件を満たしていれば、割引対象となる。
● イベントワクワク割の対象は、日本国内で開催されるイベントに限られる。オンライン配信イベントの場合も、原則として日本で撮影されているものに限り割引対象となり、海外からの配信は対象外。
● 新型コロナウイルス感染症の再流行、感染拡大などによりイベントの開催の自粛、施設使用制限などの要請が国または都道府県から発出された場合、要請の対象であるにもかかわらず、それに反して実施されたイベントは、給付対象外となる(ただし、オンライン配信のみによるイベントを除く)。
● 給付対象となるのは販売されたチケットで、実際に利用されたかどうかは問わない。ただし、不正転売目的や、ワクチン接種歴または陰性の検査結果の確認ができない場合などには、給付対象外となる場合がある。

まとめ

新型コロナで落ち込んだイベント関連需要の喚起を目的とした、イベントワクワク割の実施が検討されています。今のところスタート時期は未定で、今後のコロナの感染状況を睨みながらということになりそうです。割引チケットをゲットするためには、ワクチン接種証明などが求められます。

マネーイズム編集部
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