出産にお金はいくらかかる?受け取れる補助金や医療費控除についても解説 | MONEYIZM
 

出産にお金はいくらかかる?受け取れる補助金や医療費控除についても解説

人生で大きなイベントといえば、出産です。しかし、出産には分娩費や入院費など多くの費用がかかります。そこで気になるのが、出産に必要な費用や、国などの支援制度の内容ではないでしょうか。
 
ここでは、出産費用の相場から出産で受け取ることができる補助金、医療費控除まで詳しく解説します。

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出産費用は46万円!医療費控除の対象になる?出産で受け取れるお金の種類とは?【3分かんたん確定申告・税金チャンネル】

 

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出産にお金はいくらかかる?

出産を考える際に気になるのが、出産にかかるお金のことです。出産費用は高額のため、どれぐらいのお金が必要なのか事前に知っておきたいという人も多いです。ここでは、出産におよそどれくらいかかるのか見ていきます。
 

厚生労働省が令和2年に公表した「出産育児一時金について」という資料の中に、令和元年度の出産費用についての記載がありました。それによると、令和元年度(速報値)の出産費用は、平均値で460,217円 、中央値で451,120円と、45万円程度の金額になっていることがわかります。
ここでいう出産費用とは、室料差額や産科医療補償制度掛金、その他の費目を除いた出産費用の合計額です。
 

なお、出産費用は国立病院など国や自治体が運営する公的病院と民間が運営する私的病院、診療所で金額が異なります。平均値でみると、公的病院は443,776円といちばん安く、次いで診療所457,349円、私的病院481,766円となっています。平均値が一番高い私的病院と一番低い公的病院では4万円程度の差があります。
 

また、平均値を都道府県でみると、東京都が一番高く536,884円、一番低いのが鳥取県の341,385円と、地域によって大きく金額の差があることもわかります。
 

ただし、この金額はあくまで室料差額などの費用を除いた出産費用です。これ以外にも定期検査など、さまざまな費用が必要になります。

出産で受け取れるお金とは

見てきた通り、出産費用は45万円程度かかります。これは、個人が支出するには大きな金額です。そこで、国や自治体などでは、出産に対するさまざまな支援を行っています。
ここでは、さまざまな支援のうち、出産で受け取れるお金について見ていきましょう。
出産で受け取ることができるお金には、次のものがあります。
 

・出産育児一時金

出産育児一時金は、子供を出産すると1児につき42万円が支給される手当金です。協会けんぽや国民健康保険など、加入している健康保険より支給されます。そのため、出産育児一時金は会社員、個人事業主、フリーランスなど働き方に問わず、誰でも受け取ることができます。
 

また、出産育児一時金は、申請することで、病院に支払う出産費用から直接差し引くことができるので、出産時に多くのお金を用意する必要がなく安心です。

・出産手当金

妊娠・出産をすると、仕事を休まざるを えない人も多いです。仕事を休めば、収入が減り、生活が苦しくなります。そこで、出産により会社を休んだ人を対象に支給されるのが、出産手当金です。1か月の平均給与額のおおむね2/3の金額となります。出産手当金は、会社に勤めている従業員などが対象となっているため、個人事業主やフリーランスは、受給することができません。

・児童手当

児童手当とは、中学生までの子供がいる家庭に月額で支給される手当金です。これは、出産というよりもその後の子育てに対する支援です。年齢や子供の数によって次のように金額が異なります。

3歳未満:月額一律15,000円
3歳以上:月額10,000円(小学校修了前の第3 子以降は15,000円)
 

児童手当は、住んでいる各市区町村より振り込まれるため、会社員、個人事業主、フリーランスなど働き方に問わず、誰でも受け取ることができます。
 

児童手当は、月額で計算されますが、毎月支給されるわけではありません。原則として、毎年6月、10月、2月に、それぞれの前月までの4か月分の手当が支給されます。

・高額医療制度

高額医療制度とは、医療機関や薬局などの窓口で支払った医療費の金額が、1か月で一定の金額を超える場合に、その超えた金額を支給するという制度です。出産費用も、高額医療制度を利用することができます。

※入院時の食費代や差額ベッド代などは除く

1か月の医療費の上限額は年齢や所得金額によって異なりますが、多くの場合、出産費用で高額医療制度を利用できます。高額医療制度は、厚生労働省が行っている施策であるため、会社員、個人事業主、フリーランスなど働き方に問わず、誰でも利用することができます。
 

上述したお金を受け取るためには、加入する健康組合や自治体などへの申請が必要です。
忘れずに、申請を行いましょう。このほかにも、自治体独自の支援が設けられている場合もあります。

出産にかかったお金は医療費控除の対象

お金を受け取る制度ではありませんが、出産費用は医療費控除の対象となります。ここでは、出産費用と医療費控除の関係について見ていきましょう。

そもそも医療費控除とは

出産費用と医療費控除の関係について見ていく前に、まずは医療費控除とはどのようなものかを簡単に説明しましょう。
 

医療費控除とは、1年間に支払った医療費が一定金額以上の場合に、その超えた医療費部分を所得金額から控除するというものです。本人が支払った医療費だけでなく、生計を一にする配偶者やその他の親族の医療費も対象になります。
 

医療費控除の金額は、次の計算式で求めます。

医療費控除額=(1年間に支払った医療費の金額-保険金などで補てんされる金額)-10万円(所得金額が200万円未満の人は、総所得金額×5%の金額)

出産育児一時金や高額医療で戻ってきた金額は「保険金などで補てんされる金額」になります。そのため、出産費用から出産育児一時金などを差し引いた金額が10万円を超えると、医療費控除の対象となります。

例)出産費用100万円、出産一時金42万円、高額医療で戻ってきた金額20万円の場合
他に医療費はなく、所得金額は200万円以上とする

この場合の医療費控除の金額は、次のようになります。

・保険金などで補てんされる金額=出産一時金42万円+高額医療で戻ってきた金額20万円=62万円

・医療費控除=出産費用100万円-保険金などで補てんされる金額62万円-10万円=28万円

医療費控除は年末調整での控除対象外です。そのため、医療費控除を受けるためには、会社員であっても確定申告を行います。確定申告書に医療費控除に関する事項などを記載して、申告します。また「医療費控除の明細書」を作成し、確定申告書に添付する必要があります。

医療費控除の対象になるものとならないもの

原則、出産費用は医療費控除の対象となります。しかし、中には出産にかかる費用であっても、医療費控除の対象とならないものもあります。出産にかかる費用で、医療費控除の対象になるものとならないものには、次のものがあります。
 

1.医療費控除の対象になるもの
・妊娠がわかってからの定期検診や検査、通院費用
・出産で入院する際のタクシー代
・一般的な出産にかかる費用(分娩費、入院費、食事代など)
 

2. 医療費控除の対象にならないもの
・実家で出産するための実家への交通費(帰省代)
・入院にあたっての、寝巻きや洗面具など身の回り品を購入した費用
・差額ベッド代
・入院中に出前など病院で出される食事以外のものを飲食した場合にかかった費用

まとめ

出産には、多くのお金がかかります。厚生労働省が公表した資料によると、一般的におおよそ45万円程度の出産費用がかかります。これは、個人が支出するには大きな金額です。そこで、国や自治体などでは、出産育児一時金や出産手当金など、出産に対するさまざまな支援を行っています。
 

また、出産費用は医療費控除の対象です。しかし、中には出産にかかる費用であっても、医療費控除の対象とならないものもあります。さらに、医療費控除を受けるためには、確定申告をする必要があります。
 

出産に対するさまざまな支援を受けるためには、加入する健康組合や自治体などに申請が必要です。必ず申請を行いましょう。

長谷川よう
会計事務所に約14年、会計ソフトメーカーに約4年勤務。個人事業主から法人まで多くのお客さまに接することで得た知見をもとに、記事を読んでくださる方が抱えておられるお困りごとや知っておくべき知識について、なるべく平易な表現でお伝えします。
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