出張費は経費にできる?出張費を経費にする方法や注意点を解説 | MONEYIZM
 

出張費は経費にできる?出張費を経費にする方法や注意点を解説

出張費とは、出張中に発生するさまざまな支出のことです。出張中には多くの支出が発生しますが、果たして出張費は経費にできるのでしょうか。

結論から言うと、原則、出張費は経費にできます。ただし、気を付けなければならない点もあります。
ここでは、出張費を経費にする方法や注意点などを詳しく解説します。

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そもそも出張費とはどんなもの?

出張費が経費にできるかどうかを考えるためには、そもそも出張費とはどのようなものかを知っておく必要があります。
ここでは、出張費の内容や仕訳について見ていきましょう。

出張費とは出張にかかった経費

出張中には、さまざまな支出が発生します。このうち、業務をする上で必要な支出を出張費といいます。業務をする上で必要な支出は、原則、経費にできます。そのため、出張費も原則、法人、個人事業主ともに経費になります。
 

詳細については後述しますが、出張した際の経費や出張先の食事代、宿泊費などの支出が、出張費として経費にすることができます。

出張費を支払った場合の仕訳

出張費は、法人、個人事業主ともに経費になります。そのため、出張費を支出した際には、帳簿付けが必要です。
 

出張費には、先に会社が従業員に現金を渡す方法と、後で実費を支払う方法の2つがあります。それぞれについて、見ていきましょう。

1.先に従業員に現金を渡す方法

このケースは先に一定の現金を従業員に渡し、後日精算する方法です。

例)出張にあたり、従業員に5万円の現金を支給した。実際にかかった出張費は4万円だったので、現金1万円の返金を受けた。

・現金支給時の仕訳

借方勘定科目 借方金額 貸方勘定科目 貸方金額 摘要
仮払金 50,000円 現金 50,000円 出張仮払金

先に現金を渡した場合では、まだ出張費の金額が確定していないため、仮払金や前払金などの勘定科目で処理をします。

・精算時の仕訳

借方勘定科目 借方金額 貸方勘定科目 貸方金額 摘要
出張費 40,000円 仮払金 50,000円 出張費精算
現金 10,000円

貸方勘定科目を仮払金とすることで、仮払金を精算する仕訳を行います。

2.後で実費を支払う方法

このケースは、先に従業員が出張費を立替払いし、後で実費を会社から支給される方法です。

例)従業員が出張から戻ってきたので、領収書と引き換えに、実際にかかった出張費4万円を現金で支払った。

・従業員が出張先で経費を支払った時
仕訳不要
 

この時点では、会社のお金の動きはないため、仕訳は不要です。
 

・精算時の仕訳

借方勘定科目 借方金額 貸方勘定科目 貸方金額 摘要
出張費 40,000円 現金 40,000円 出張費

従業員に実際にかかった出張費を支払った時点で、初めて経費になります。

出張費にすることができる支出とは

出張中には、さまざまな支出が発生しますが、出張費にできるのは業務をする上で必要な支出だけです。ここでは、出張費にできる支出を詳しく見ていきましょう。出張費にすることができる主な支出には、次のものがあります。
 

・宿泊代
出張先で泊まるホテル代などの宿泊代は、出張費になります。ただし、必要以上に高級なホテルなどの宿泊代については、出張費にすることができません。また、会社の出張旅費規定で宿泊料の上限が定められている場合は、その上限額までは出張費にできます。
 

・交通費
業務をする上で必要な電車代や新幹線代、バス代などの交通費は、出張費にできます。
 

・一部の食事代
原則、従業員の食事代は従業員本人が生活をする上で必要な支出であるため、経費にすることはできません。これは、出張先での食事も同じです。
 

ただし、食事付のホテルしか空いていない場合など、宿泊の一部として出される食事への支出については出張費にできます。
 

・日当
出張費の精算は、事務の手間がかかります。特に、出張が多い会社ではその手間は大きな負担となります。
 

そこで、利用されているのが日当です。出張費を一定金額の手当として支給します。出張手当は実費精算をする必要がなく、支給額を経費にできます。そのためには、出張旅費規程を作成し、その中に日当についての規定も含める必要があります。
 

また、たとえ出張旅費規程があっても、日当が必要以上に高額である場合は経費にできないので、注意が必要です。

出張費に計上する際の注意点

次に、出張費に計上する際の注意点について見ていきましょう。

出張費にできない支出とは

出張中の支出の中には、出張費にできないものがあります。それは、大きく分けて次の2つの支出です。
 

・業務に関係ない支出
業務に関係のない支出は、経費にできません。これは出張でも同じです。
 

例えば、出張のついでに観光に行った際の支出は私的な支出になるので、出張費にはできません。また、食事代についても、原則、私的な支出と考えて、出張費にはできません。
 

・経費にはなるが、出張費以外の勘定科目で会計処理するもの
出張費以外の勘定科目で会計処理しなければならないものは、出張費にできません。例えば、得意先に土産を購入した費用は、接待交際費で処理する必要があります。また、出張先で得意先と飲食した場合も、原則は接待交際費になります。
 

このほかにも、会社の管理上、出張費以外の勘定科目で管理している支出があれば、その勘定科目に合わせて処理します。

高額な支出は出張費と認められない

社会通念上、妥当と認められない高額な支出は、出張費と認められず、経費にが できません。これは、上述したとおり日当についても同じで、出張旅費規程があっても、高額な日当は認められることはありません。
 

では、出張費として認められる金額の基準はあるのでしょうか。実は、国税庁では出張費の目安となる金額を公表していません。そのため、自分で社会通念上、妥当と認められる金額を考える必要があります。
 

例えば、人事労務や医療介護経営分野で、調査研究や提言を行っている民間シンクタンクの株式会社産労総合研究所では、定期的に国内・海外出張旅費に関する調査結果を公表しています。
 

株式会社産労総合研究所の「21年度国内・海外出張旅費に関する調査結果」 によると、出張費の金額は、次のようになっています。
 

・国内宿泊料
日本の全地域において一律に支給される宿泊料の平均は、9,149円でした。また、実費で支給される宿泊料の平均は、9,750円でした。そのため、おおよそ9,000円から1万円程度の宿泊料が目安となりそうです。
 

・海外出張
海外出張における1日あたりの滞在費(日当+宿泊料+食事代+雑費)の平均は、北米1万7,307円、中国1万5,458円、東南アジア1万5,474円となっています。そのため、おおよそ1万5,000円から1万8,000円程度の滞在費が目安となりそうです。
 

今回ご紹介したのは、あくまで目安の一例です。これらを目安に、自社独自の事情を考慮して、出張旅費規程に定める金額を決定しましょう。

まとめ

出張中に生じるさまざまな支出のうち、業務をする上で必要な支出を出張費といいます。
出張費は原則、法人、個人事業主ともに経費になります。
 

出張費になる支出には、宿泊代や交通費、日当、一部の食事代などがあります。しかし、業務に関係ない支出や出張費以外の勘定科目で会計処理するものは、出張費にはならないので注意が必要です。
 

また、高額な支出は出張旅費規程で定められていたとしても、出張費と認められません。出張旅費規程で出張費の金額を定める際には、一般的に見て妥当な金額にします。
 

このように出張費には、さまざまな注意点があります。注意点に気を付けて、正しく出張費を経費で落としましょう。

長谷川よう
会計事務所に約14年、会計ソフトメーカーに約4年勤務。個人事業主から法人まで多くのお客さまに接することで得た知見をもとに、記事を読んでくださる方が抱えておられるお困りごとや知っておくべき知識について、なるべく平易な表現でお伝えします。
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