空き家を放置すると固定資産税が6倍に!? 「特定空き家」の基準と対策を解説 – マネーイズム
 

空き家を放置すると固定資産税が6倍に!? 「特定空き家」の基準と対策を解説

公開日:
2022/07/20
 

不動産(土地、家屋)を所有している人には、固定資産税の納税義務があります。ところが、それが「空き家」の場合、状況によっては税金が6倍にはね上がる可能性があるのをご存知でしょうか。固定資産税が高額になる「特定空き家」の基準とは?空き家対策はどうしたらいいのか、考えてみます。

固定資産税とはどんな税金?

市町村が課税

固定資産税は、各市町村(東京23区は都)が課税する地方税で、毎年1月1日に不動産を所有している個人や事業主が対象となります。都市計画法に基づく市街化区域内にある土地や家屋には、別に都市計画税が課税されます。
 

税率は、土地と建物それぞれにつき、「自治体が決定した固定資産評価額×1.4%(都市計画税は0.3%)」です(自治体によって違う税率を適用している場合もあります)。

住宅用地は税が軽減される

このうち土地に関しては、住宅用地の場合は、次のような特例控除(減額措置)が適用されます。

● 200㎡以下の部分:課税標準額(固定資産税計算の基になる金額)を評価額の1/6に減額(都市計画税は1/3に減額)
● 200㎡を超える部分:同じく1/3に減額(都市計画税は2/3に減額)

例えば、200㎡以下で評価額が1,800万円の住宅用地の固定資産税は、

1,800万円×1/6×1.4%≒4万2,000円

となります。

固定資産税が高額になる「特定空き家」とは?

「宅地」ではなくなる

この固定資産税は、たとえ誰も住んでいない空き家であっても、その所有者に対して普通の住宅同様に毎年課税されます。それどころか、次に説明する「特定空き家」に指定されると、さらに高額の税負担を強いられる可能性があるのです。
 

その理由は、今説明した「宅地の特例控除」の対象から外されてしまうからです。わかりやすく言えば、住宅用地とはみなされなくなってしまうのです。その結果、「評価額の1/6」という特例がなくなる=納税額が6倍になる、というわけです。
 

さきほどの例(200㎡以下、評価額1,800万円)だと、年間の固定資産税は

1,800万円×1.4%=25万2,000円

となる計算です(宅地ならば4万2,000円)。

どんな空き家が該当するのか?

「特定空き家」は、2015年施行の「空き家等対策の推進に関する特別措置法」に盛り込まれました。全国的に空き家が増えることにより、周囲の生活環境が悪化するだけでなく、家屋の倒壊や火災などのリスクの増大が社会問題化したことが、背景にありました。「課税強化」により問題の多い空き家を減らそう、という強い政策的な意図が感じられます。
 

もちろん、空き家が全てこうした措置の対象になるわけではありません。国土交通省が定めたガイドラインによれば、具体的には次のようなケースが「特定空き家」に該当します。

  • イ) そのまま放置すれば倒壊等著しく保安上危険となるおそれのある状態
  • ロ) そのまま放置すれば著しく衛生上有害となるおそれのある状態
  • ハ) 適切な管理が行われていないことにより著しく景観を損なっている状態
  • ニ) その他周辺の生活環境の保全を図るために放置することが不適切である状態

「特定空き家」指定→増税の流れ

ただ、仮に「特定空き家」に指定されても、さきほどの特例対象からすぐに外れるわけではありません。そこに至るまでに一定の猶予期間があり、その間に空き家の状況が改善されれば、指定が解除され、増税を回避することも可能です。
 

「特定空き家」に関しては、次のようなステップを踏んで自治体による対応が行われます。

  • ① 自治体による空き家の調査
  • ② (該当する場合)「特定空き家」に指定
  • ③ 自治体による「助言・指導」
  • ④ (改善されない場合)空き家を修繕ないし除去するよう「勧告」
  • ⑤ (改善されない場合)「命令」
  • ⑥ 行政代執行

 
上記の③、④の間に行政の納得する手立てを講じれば、指定解除の可能性があります。逆に④「勧告」を受けたにもかかわらずそのまま放置したり、対策が不十分だったりした場合には、固定資産税の住宅用地特例の対象から除外され、翌年から税額が6倍になるわけです。
 

自治体の「勧告」に従わないと、「命令」に切り替わり、それも無視すると50万円以下の罰金が科せられ、最終的には自治体が空き家を取り壊す「行政代執行」ということになります。なお、解体費用は所有者に請求(差し押さえ)されます。

有効な空き家対策を注意点とともに解説

住んでもいない家のために経済的なペナルティまで課せられたのでは、目も当てられません。空き家を所有している、ないし所有する可能性のある場合には、マイナスを避け、できることなら利益を生む対策を真剣に考える必要があります。
 

以下に代表的な活用策を挙げましたが、家がボロボロになってからでは、できることの選択肢は狭まります。中には“期間限定”のものもありますから、早めに検討を始めるようにしましょう。

そのまま売却する

使わない家や土地が高く売れれば、それに越したことはありません。仮に売値が希望額に届かなくても、毎年の固定資産税の支払いを含めた維持費を考えれば、メリットが生まれる場合もあるでしょう。
 

不動産を売った場合には、譲渡所得に対して所得税、住民税が課税されます。譲渡所得は、「譲渡収入〈不動産の売却額〉-(取得費〈不動産の購入額〉+譲渡費用〈仲介業者への手数料など〉)」で計算します。
 

これも国の「空き家対策」の一環なのですが、空き家を売却した場合には、算出した譲渡所得から最大で3,000万円を差し引くことができる「空き家の譲渡所得の3,000万円控除」の特例が設けられています。ただし、以下のような要件を満たす必要があります。

  • ・昭和56年(1981年)5月31日以前に建てられた建物である
  • ・相続の開始の直前において被相続人以外に居住をしていた人がいなかった
  • ・相続発生から3年以内に1億円以下で売却する
  • ・敷地とともに建物を売却する場合は、新耐震基準に適合するリフォームを施す、などの方策が必要。または建物を解体し更地で売却する
  • ・令和5年(2023年)12月31日までに譲渡する など

また、空き家を相続した際に相続税を納めている場合には、その申告期限の翌日から3年を経過する日までに売却すると、譲渡所得の計算上、売却した空き家に対応する相続税額を取得費に加算することができます(相続税の取得費加算の特例)。さきほどの計算式で分かるように、取得費が大きいほど譲渡所得の金額を圧縮することができ、税額も少なくなります。

■注意点

住宅需要が少ない地域などでは、売却までに時間がかかることも考えられます。説明した「優遇措置」の恩恵を得るためにも、早めのアクションが大事です。“上物”があるために売却が難しいというケースでは、後で述べる建物の解体を選択するのも1つの方法です。

賃貸物件として活用する

空き家が人に貸せる状況にあれば…という条件付きにはなりますが、賃貸物件として活用できれば、経済的なメリットは大です。家賃収入で固定資産税や維持費などの負担をカバーしたうえで、月々安定的な利益を得ることも可能でしょう。人が住むことにより、「特定空き家」の指定を回避できるのも利点です。

■注意点

ただし、多くの場合はリフォームが必要になるでしょう。入居者を募るためには、初期費用として数百万円単位の出費が必要になるかもしれません。賃貸後は、大家として物件の維持管理に責任を負わなくてはなりませんし、「他人」が住むことでトラブルが起こる可能性もゼロではありません。そもそも入居者が見つからないリスクもありますから、確実に収入が得られるかどうかの検討は必須です。

建物を解体して売却ないし活用する

一般的に、古くなった建物を解体して更地にしたほうが、買い手はつきやすいでしょう。所有したまま活用するにしても、コインパーキングにしたり太陽光パネルを設置したりと、選択肢は広がります。

■注意点

解体にもコストがかかります(通常100万円以上)。さらに、建物がなくなると、さきほど説明した固定資産税の特例控除がなくなり、税額は6倍になります。更地にしたのに、買い手も借り手も見つからない、という最悪のシナリオを避けるために、やはり十分な「市場調査」が必要になるでしょう。

親族に住んでもらう

親族に住んでもらえば、空き家ではなくなります。ある程度維持管理を任せることができ、先々「特定空き家」に指定されるような住居の荒廃も防ぐことができるはずです。固定資産税分の家賃をもらえば、税負担もなくなります。

■注意点

気心の知れた親族だからと安易に決めると、トラブルになる可能性もあります。誰がどのような形で住むのかは、親族間で話し合い、了解を得ておくのが理想です。

とりあえず「管理サービス」を利用する

空き家の増加に伴って、それを管理するサービスも増えました。所有する空き家をどうするのか迷うとき、将来住む予定がある場合などには、「特定空き家」に結びつく建物の傷みを防ぐためにも、とりあえずそうした業者に依頼するのもいいでしょう。

■注意点

空き家管理サービスの利用にも、もちろんコストが発生しますから、サービス内容などをよく検討する必要があります。

まとめ

空き家を放置して「特定空き家」に指定されると、課税される固定資産税が6倍になる可能性があります。回避するためには、売却、賃貸などの方法がありますが、将来を見据え、なるべく早い時期から対策を講じることが大切です。

マネーイズム編集部