満期保険金を受け取る際の注意点と税務申告について解説 – マネーイズム
 

満期保険金を受け取る際の注意点と税務申告について解説

養老保険や学資保険などの保険が満期となったときに受け取る保険金のことを「満期保険金」と呼びます。保険料負担者と受取人が同じ場合に満期保険金を受け取る際、収入金額から必要経費を差引いてもなおプラスになる場合、所得税が課税されます。今回は「満期保険金」にかかる所得税について、ケース別に解説していきます。

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保険契約の満期で受け取る保険金

保険契約には満期保険金があるタイプがある

保険契約には大きく分けて「生命保険契約」と「損害保険契約」がありますが、両者の違いは保険法で次のように定義されています。
 

・生命保険契約
「保険契約のうち、保険者が人の生存又は死亡に関し一定の保険給付を行うことを約するもの」
 

・損害保険契約
「保険契約のうち、保険者が一定の偶然の事故によって生ずることのある損害をてん補することを約するものをいう」
 

要約すると、人を保険の対象とするのが生命保険契約、物を保険の対象とするのが損害保険契約ということです。
 

いずれの保険契約でもいえることですが、支払う保険料が戻ってこない、いわゆる「掛け捨て」のものもありますし、契約期間が満了した時点で、今まで掛けてきた保険料が戻ってくるものもあります。契約の満期により返ってくるお金が「満期保険金」です。

満期保険金の受け取り方法は二通りある

「満期保険金」を受け取る方法として、「一時金」で受け取る方法と「年金」で受け取る方法の二通りがあります。
 

・「一時金」として受け取る方法
 

受け取ることができる「満期保険金」の全額を一括で受け取る方法です。これを「一時金」と呼びます。
 

・「年金」として受け取る方法

 

受け取ることができる「満期保険金」を分割して受け取る方法です。一定期間にわたって支給されることから「年金」と呼ばれています。「年金」として保険契約の満期を仕事を辞める年齢に合わせる方もいます。
 

保険商品には、払い込んだ保険料を保険会社が預金性のある「資産」として預かり、利息をつけて返戻するものがあります。なかには保険料を保険会社が資産運用し、その運用益を満期保険金に上乗せして返戻するタイプの商品もあります。いずれの場合も、結果として払い込んだ金額より多くの保険金を受け取ることになります。
受け取った保険金から払い込んだ保険料を差し引いたときに「利益」が生じた場合、税法では、この「利益」に対して所得税が課税されます。また、保険料負担者と保険金受取人が異なる場合には贈与税が課税されます。
 

「掛け捨て」の保険契約であれば、返戻金がありませんので利益が生じることはありませんが、上記のような「満期返戻金」がある保険契約については注意が必要です。

満期保険金の所得区分について解説

契約関係によって「所得税」と「贈与税」に分かれる

保険契約は、その契約時に「契約者」「被保険者」「保険金受取人」を定めますが、これらの区分に応じて、課税される税目が違ってきます。
 

例えば、契約者、保険金受取人が全て同一人物の場合、受け取る満期保険金は「所得税」の課税対象となります。自分が契約した保険の満期保険金を自分で受け取るだけですので、他人への贈与といった問題は生じません。
 

これに対して、満期保険金の受取人が契約者ではない第三者が受け取る場合には「贈与税」が課税されることになります。保険金受取人の立場からみれば、自分が契約していない保険の満期保険金を無償で受け取ることになりますので、契約者から贈与を受けたとみなされるわけです。
 

「所得税」と「贈与税」は税額の計算方法や申告方法が異なります。
 

「所得税」であれば、所得が生じた年の翌年3月15日までに確定申告書を提出することになります。また「贈与税」であれば、贈与を受けた年の翌年3月15日までに贈与税申告書を提出することになります。

満期保険金を「一時金」により受け取るケース

「契約者」「保険金受取人」が同じ保険契約の満期保険金を「一時金」で受け取った場合の課税関係について解説します。
 

この場合、前述した通り「所得税」が課税されます。満期に伴い、臨時的に受け取る所得であることから所得税法上は「一時所得」に区分されます。
 

一時所得に限らず、課税される所得は「収入金額」から「必要経費」「特別控除額」を控除した残額となります。

収入金額 - 必要経費 - 特別控除額 = 課税所得

これを満期保険金に当てはめてみましょう。収入金額、必要経費、特別控除額はそれぞれ次のようになります。
 

(一時金の受取額 - 払込済保険料 - 特別控除額)= 一時所得 
                  (最高50万円まで)

満期保険金における「収入金額」は実際に返戻された満期保険金の総額を指します。注意するのが「必要経費」です。当然ですが、保険契約は必ず保険料を払い込む必要があります。契約時に一括して一時払いするケースもありますし、毎月一定額を支払うケースもあります。これらの保険料は「満期保険金」を受け取るための「必要経費」とみることができます。
 

したがって「必要経費」として、満期までに払込済の保険料を控除することができます。
 

一時所得には「特別控除額」という特例があります。収入金額から必要経費を差し引いた残額から、さらに最高50万円を控除することができます。
 

さらに税額を計算する際には、一時所得の金額を1/2することができますので、他の所得区分と比べ優遇されているといえます。

満期保険金を「年金」により受け取るケース

次に、「契約者」「保険金受取人」が同じ保険契約の満期保険金を「年金」で受け取った場合の課税関係について解説します。
 

この場合も、「一時金」で受け取った場合と同じ「所得税」が課税されます。しかし、毎年一定額を分割して受け取ることから、所得税法上は「雑所得」に区分されます。
 

「雑所得」も収入金額から必要経費を控除して所得を計算する点は同じですが、「一時所得」と違い「特別控除額」がないのがポイントです。
 

年金の受取額 - 払込済保険料/年金の総支給見込額 = 雑所得 

              

「必要経費」として控除できる払込済保険料についても、年金の受取額に対応した部分の保険料だけを控除することになります。
 

その他の所得の状況によって変わりますが「一時金」と「年金」を比較した場合、一般的には「一時金」で受け取った方が有利です。特別控除額や1/2を乗じることができるという点で「年金」(雑所得)よりも所得税を抑えられます。
 

満期保険金を「贈与」により受け取るケース

満期保険金を「贈与」により受け取った場合、所得税とは計算式が異なります。
 

満期保険金 - 110万円(贈与税の基礎控除額) × 贈与税率 = 贈与税額

              

受け取った満期保険金から、贈与税の基礎控除額110万円を差し引きした残額に贈与税率を乗じて税額を計算します。
 

なお、払込済保険料は贈与を受けた方が負担していませんので贈与税の計算上、引き算することはできませんので注意してください。
 

満期保険金にかかる確定申告の進め方と注意点

満期保険金にも「必要経費」はある

「満期保険金」を受け取った方のなかには、所得税を多く納めなければならないと思う方もいるのではないでしょうか。保険金が高額になればなるほど、所得税がいくらかかるのか?といった納税が気になるのは当然のことです。
 

しかし、前段で述べた通り、満期保険金にも必ず「必要経費」があります。「必要経費」とは収入を得るために要した経費のことです。したがって、「払込済保険料」は保険金を受け取るために要した経費となりますので、「満期保険金」から控除することができるのです。
 

所得金額によっては扶養控除が受けられないケースも

満期保険金を受け取った年の確定申告で、もう一つ注意したいのが「配偶者控除」「扶養控除」などの人的控除です。
 

「配偶者控除」や「扶養控除」には、「控除対象者の年間合計所得金額が48万円以下」という所得要件があります。納税者本人以外の配偶者や、両親やお子さんなどの扶養親族が「満期保険金」を受け取った場合には特に注意が必要です。
 

48万円の「年間合計所得」には、一時所得や雑所得として計算した金額が含まれます。
 

給与所得 40万円 + 満期保険金にかかる一時所得 10万円 = 50万円

              

上記の例のように、給与所得のみであれば人的控除を受けられるケースでも、満期保険金による一時所得が発生したために48万円をオーバーしてしまうこともあり得ます。
 

確定申告をする際には、ご本人の「満期保険金」だけではなく、配偶者や扶養親族などの人的控除を受ける方の受取分も十分把握する必要があります。
 

まとめ

繰り返しになりますが「満期保険金」は契約関係によって、課税される税金が変わってきます。所得税なのか贈与税なのかを契約書などから内容を十分確認したうえで、確定申告を行い忘れずに申告するようにしましょう。
 

奥谷佳子
Webライター/ライター フリーランスとして様々な記事を執筆する傍ら、経理代行業なども行う。 自身のリアルな経験を活かし、税務ライターとして活動の場を広げ、実務で役立つ生きた税法の解説に努めている。 取材を通じて経営者や個人事業主と関わることも多く、経理や税務ほか、SNSを使った情報発信の悩みにも応えている。
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