外貨建て保険とはどんなもの?そのポイントや注意点を解説 – マネーイズム
 

外貨建て保険とはどんなもの?そのポイントや注意点を解説

契約者は外貨で保険料を支払い、保険会社が集めた保険料を外貨で運用する「外貨建て保険」という保険商品があります。外貨を基準に保険料や保険金が設定されるため、注意すべき点もあります。
 

ここでは、外貨建て保険の概要やメリット、注意点などについて解説します。

そもそも外貨建て保険とは

外貨建て保険とは、米ドルなどの外貨で保険料を支払い、外貨で運用される保険商品のことです。保険金や解約返戻金も外貨ベースで計算されます。もちろん、保険料の支払いや保険金・解約返戻金の受け取りを円で行うことも可能です。その場合は、為替レートに応じて外貨を円に変換します。
 

保険料の支払いや運用、保険金の計算が外貨で行われるということ以外は、円建ての保険と仕組みはほとんど同じです。契約者の年齢や性別に応じて保険料や満期時の保険金を設定し、保険料を支払います。
 

また、外貨建て保険商品の種類も終身保険や養老保険、個人年金保険など、円建て保険と同様のものがあります。

外貨建て保険のメリットとデメリット

ここでは、外貨建て保険のメリットとデメリットを見てみましょう。
 

外貨建て保険のメリット

外貨建て保険には、4つのメリットがあります。
 

・日本よりも利回り(運用利益率)が高い
低金利時代が続く日本に比べて海外の利回りは高く、円建てよりも資産を増やせる可能性があります。長期金利の指標である10年債金利を日本とアメリカで比較すると、日本が0.233%であるのに対し、アメリカは3.071 %となっています(2022年8月29日現在)。米ドルで資産運用をしたほうが、円よりも高い運用成果が期待できます。
 

また、利回りの高い海外と日本で同額の死亡保障がある終身保険商品の場合、外貨建て保険のほうが保険料は安くなる傾向にあります。
 

・保障と貯蓄の両立ができる
外貨建て保険には、終身保険や養老保険、個人年金保険といった種類があります。これらは、いずれも死亡など万が一の際は保険金が支払われ、満期になれば保険金(終身保険は中途で解約すれば解約返戻金)が受け取れます。つまり、保障に備えつつ、貯蓄もできる商品です。
 

貯蓄面で海外の利回りのよさを活用しつつ、万が一にも備えられる点は外貨建て保険の強みです。
 

・受取金額が多くなる可能性がある
外貨建て保険の契約時よりも、満期や解約時の為替が円安である場合、円換算で支払った額よりも受け取る保険金・解約返戻金が多くなる可能性があります。
 

・資産のリスクを分散させられる
通貨の相場は日々変動しています。日本円だけで資産を持っていると、円安になった際にすべての資産の価値が低下してしまいます。しかし、資産の一部を外貨で保有することで、資産全体の価値低下を小さくできます。

外貨建て保険のデメリット

外貨建て保険には当然デメリットもあります。すべてのデメリットに共通するのは、為替変動の影響を受けるということです。
 

・元本割れや損失が出る可能性がある
メリットで「円換算で、支払った額よりも受け取り時の金額が多くなる可能性がある」と述べましたが、逆のケースもあります。契約時よりも満額時のほうが円高になった場合、支払った保険料が目減りし、元本割れを起こす可能性があります。
 

・支払う保険料と受け取る保険金が未確定
外貨建て保険では、支払保険料や受け取る保険金が外貨ベースで設定されます。しかし、実際の支払いや受け取りは日本円で行うことになります。保険金の支払いを月払いにしていると、為替の影響を受け、毎月支払う金額が変動し、家計のやりくりをするうえでは計算が難しくなります。
 

・為替手数料がかかる
外貨建て保険では、契約者が保険料を支払う際、手持ちの日本円を外貨に換える必要があります。また、保険金や解約返戻金を受け取る際も、外貨を日本円に換えなければなりません。どちらの場合も、為替手数料がかかります。
 

為替手数料は1米ドルあたり数銭円程度ですが、保険料を月払いする場合などは大きなコストになる可能性があります。

外貨建て保険のポイント・注意点

外貨建て保険を始めるにあたって、知っておきたいポイントと注意点を解説します。

生命保険料控除や個人年金保険料控除が受けられる

外貨建て保険も、円建て保険と同様、払った保険料に応じて「生命保険料控除」とよばれる所得控除を受けることができます。加入している保険を合計して計算し、会社員の人は年末調整時、個人事業主などは確定申告時に所得控除を適用することで、所得税や住民税の金額を減らせます。
 

生命保険料控除は「生命保険料控除」「介護医療保険料控除」「個人年金保険料控除」の3つに区分されます。外貨建て保険の場合、終身保険や養老保険には生命保険料控除、個人年金保険には個人年金保険料控除が適用されます。
 

また、生命保険料控除と個人年金保険料控除は、2012年1月1日以降に契約したものを「新契約」、2011年12月31日以前に契約したものを「旧契約」とよび、控除額が異なります。新契約の最高控除額は各4万円、旧契約の最高控除額は各5万円(旧契約には介護医療保険料控除がありません)です。新契約・旧契約合わせて最高控除額は12万円です。
 

以上をまとめると、次のようになります。

新契約 新生命保険料控除
(最高4万円)
新個人年金保険料控除
(最高4万円)
介護医療保険料控除(最高4万円)
旧契約 旧生命保険料控除
(最高5万円)
旧個人年金保険料控除
(最高5万円)

生命保険料控除額は、新契約・旧契約それぞれ次の表を参照に算出します。

【新契約】

年間の支払保険料等 控除額
2万円以下 支払保険料等の金額
2万円超4万円以下 支払保険料等×1/2+1万円
4万円超8万円以下 支払保険料等×1/4+2万円
8万円超 一律4万円

【旧契約】

年間の支払保険料等 控除額
2万5,000円以下 支払保険料等の全額
2万5,000円超5万円以下 支払保険料等×1/2+1万2,500円
5万円超10万円以下 支払保険料等×1/4+2万5,000円
10万円超 一律5万円

なお、新旧双方の契約に加入している場合、生命保険料控除、個人年金保険料控除ともに以下の計算方法で控除額を算出します。
 

  • 旧契約の年間支払保険料等の金額が6万円超の場合、旧契約について上記の表をもとに算出した金額(最大5万円)
  • 旧契約の年間支払保険料等の金額が6万円以下の場合、新契約・旧契約それぞれについて上記の表をもとに算出した金額の合計(最大4万円)

為替動向や為替リスクに注意が必要

上述したように、外貨建て保険は為替の影響を受け、保険料や保険金、解約返戻金の金額が変動します。特に、契約時に保険料を一括支払いする商品の場合、支払時と保険金(または解約返戻金)受け取り時の間に為替の変動が大きいと、大きな影響を受ける可能性があります。
 

保険に加入するときは、為替の動向を注視し、できるだけ得になるタイミングを見極めましょう。たとえば、米ドル建て保険に加入するのは、円高のときがおすすめです。米ドルで提示された保険料を支払う場合、円高のときのほうが支払う日本円が少なくなるからです。
 

外貨建て保険の商品は養老保険や終身保険など、貯蓄性が高いものです。しかし、為替変動の影響を受けるため、投資的な性質も持ち合わせていることを知っておく必要があります。

まとめ

外貨建て保険は、円建て保険と仕組みや商品の種類などはほぼ同じです。ただし、保険料や保険金などが外貨で設定されるため、円を外貨に換えて保険料を支払ったり、保険金や解約返戻金を外貨から円に換えて受け取ったりする際、為替変動の影響を受けます。
 

もちろん、為替リスクばかりでなく、メリットもあります。外貨建て保険で支払った保険料は、日本よりも利回りが高い海外で運用されるため、円建て保険よりも効率的な資産形成が期待できます。為替変動をうまく利用すれば、支払った保険料よりも多くの保険金を受け取ることも可能です。
 

また、円建て保険と同様に外貨建て保険も、生命保険料控除を適用できるため、所得税や住民税の節税に活用できます。
 

リスクとメリットを理解したうえで、資産運用の一手段として外貨建て保険にもチャレンジしてみてください。
 

長谷川よう
会計事務所に約14年、会計ソフトメーカーに約4年勤務。個人事業主から法人まで多くのお客さまに接することで得た知見をもとに、記事を読んでくださる方が抱えておられるお困りごとや知っておくべき知識について、なるべく平易な表現でお伝えします。