2024年秋に健康保険証がマイナンバーカードに一本化へ 「マイナ保険証」で何が変わるのか? – マネーイズム
 

2024年秋に健康保険証がマイナンバーカードに一本化へ 「マイナ保険証」で何が変わるのか?

河野デジタル大臣は、10月13日、現在使われている「紙の健康保険証」を2024年秋に原則廃止して、マイナンバーカード(「マイナ保険証」)に一本化する方針を明らかにしました。政府は、マイナンバーカードの普及に向けて、取得して利用するとポイントがもらえる「マイナポイント」などを実施していますが、交付率は49%(22年9月末時点)にとどまっています。「マイナ保険証」への一本化は、これまでの「カードを作ると得する」という方策から、「ないと困る」に転換し、一気にその普及を進めることが主な目的といえるでしょう。一方、保険証がデジタル化されることで、利用者にとっては、いくつかのメリットが生まれます。同時に、気がかりな点も。何が変わるのかを中心に解説します。

デジタル化の加速を狙う

すでに本格運用されている「マイナ保険証」とは?

マイナンバーカードに健康保険証としての機能を持たせた「マイナ保険証」は、2021年10月20日からすでに本格運用が始まっています。病院などの医療機関や薬局の窓口でこれをカードリーダーにかざすことで、保険証として利用します。
 

その際、本人確認は、カードに内蔵されたICチップ内の「電子証明書」を使って行われます。マイナンバーそのものを使うことはないため、そこからナンバーが流出したりする恐れはありません。また、マイナンバーカードをカードリーダーにかざした後に、顔写真でも本人確認を行うため、保険証としての不正利用を防ぐ仕組みになっています。

普及率は20%

マイナンバーカードを保険証として利用するためには、後述するように、カード取得とは別の手続きが必要です(これから取得する場合には、同時に手続きすることもできます)。現在、カード自体の普及率は49%で、さらに健康保険証と紐づけられているのは全体の20%にとどまります。マイナンバーカードへの一本化が、ある程度日程を明確にして示されたことで、今後普及率が高まっていくのは、間違いないでしょう。
 

なお、今回同時に、

  • 24年度末に、マイナンバーカードとの一本化を目指す運転免許証について、さらに時期の前倒しを検討していること
  • 23年5月11日からマイナンバーカードの電子証明書をスマートフォン(Android)に搭載するサービスの提供を開始すること

についても発表されました。

マイナンバーカードを保険証にするメリットは?

述べたように、「マイナ保険証」には、病院などの医療機関や薬局の窓口で、カードをカードリーダーにかざすだけで保険証として使える、という便利さがあります。ただし、メリットはそれだけではありません。

・転居や転職しても継続して使える

「紙の保険証」では、引っ越しや就職、転職をしたら、その都度、保険証を切り替える必要がありました。「マイナ保険証」にすれば、その必要はなく、継続して健康保険証として使用することができます。

※健康保険組合など保険者への加入の届出は、必要です。
・医療保険の資格確認が円滑に行える

マイナンバーカードを保険証として使っていれば、窓口のカードリーダーにマイナンバーをかざせば、スピーディに医療保険の資格確認をすることができます。そのため、窓口での待ち時間を減らせるなどのメリットがあります。

・手続きなしで高額療養費制度における限度額以上の支払が免除

高額の療養費がかかった場合、一定限度額以上支払った分は後で健康保険組合などから返金がされます。ただし、今までは原則、いったん療養費の全額を支払った後で、手続きをして返金を受ける必要がありました。しかし、マイナンバーカードを保険証として使っていれば、窓口での支払が限度額までに抑えられるため、保険証利用者の負担は大きく減少します。

※自治体が独自に行っている医療費助成を利用する場合は、手続きは必要です。
・医療費控除の手続きが簡単に

マイナポータルを通じて医療費控除の手続きを行うことで、医療費控除などの金額が、自動で入力されるようになります。そのため、自分で医療費の金額などを計算する必要がなく、医療費控除の手続きがスムーズになります。

・医療機関の間で診療内容が共有される

例えば、医療機関でどんな薬を処方されたのかについては、「おくすり手帳」などで患者が自ら管理し、他の医療機関にかかる場合などには、自分で説明する必要がありました。しかし、「マイナ保険証」には自動でそうしたデータが記録されるため、医療機関の側で情報を共有することが可能になります。

・健康管理や医療の質が向上

今後の予定として、マイナンバーカードを保険証として使っている場合は、マイナポータル(政府が運営するオンラインサービス)から、自分の特定健診情報や薬剤情報が確認できるようになります。そのため、自分自身で健康管理を行ったり、医療機関や薬局などで受ける医療の質を向上させたりできるようになります。

・医療保険の事務コストの削減

これは、医療機関側のメリットになりますが、「マイナ保険証」が普及すれば、医療保険の事務コストの削減につながります。医療機関では、保険負担の医療費について国などに請求を行いますが、それらに関する事務量が減り、請求の誤りや未収金が多いなどの問題の解消に役立つものと期待されています。

「マイナ保険証」の課題

一方で、「マイナ保険証」には、今後改善、明確にすべき課題もあります。

使える医療機関が限られている

便利さがアピールされる「マイナ保険証」ですが、実は使える医療機関は、限られています。対応する医療機関は少しずつ増えていく予定ですが、システム導入によるコストの増加といった問題もあり、「全てでOK」となるまでには、時間を要しそうです。
 

「マイナ保険証」が使えるかどうかは、厚生労働省などのホームページで確認できます。

患者の負担が増える!?

「マイナ保険証」の本格導入後に明らかになったのは、「紙の保険証」を使うよりも、患者の自己負担額が増える、という問題でした。今触れた医療機関のコスト増対策として、「マイナ保険証」利用者の診療報酬を上乗せしたためですが、わざわざカードと保険証を紐づける手続きを行ったにもかかわらず、負担額が増えることには、批判も高まりました。
 

この点では、「マイナ保険証」利用者の診療報酬を引き下げ、「紙の保険証」利用者は逆に引き上げることで、前者の方が割安になる制度設計に向けた検討が始まっています。

セキュリティは万全か?

デジタル化で心配になるのは、個人データが流出したり、システムトラブルなどによる不利益(例えば、保険資格の確認ができなくなる)が生じたりしないか、ということです。マイナンバーカードにさまざまな情報が集約されることで、紛失や盗難時のリスクも高まります。国は、そうしたことに対応するセキュリティ対策について、繰り返し説明していく必要があるでしょう。

マイナンバーカードの取得は急ぐべき?

「マイナポイント第2弾」を実施中

マイナンバーカードと健康保険証の一本化を具体的にどのように進めていくのか、まだ不透明な部分はありますが、「2024年秋までには、保険証付きのカードを取得してください」という国の方針が示されました。マイナンバーカードを持っていない場合、取得を急ぐのがいいのでしょうか?
 

1つ考慮すべきなのは、現在行われているマイナポイント第2弾です。マイナンバーカードを作成し、条件を満たせば、最大2万円分のポイントが付与される、という事業です。
 

具体的には、

  • カードの新規取得などで最大5,000円分
  • 健康保険証としての利用申込みで7,500円分
  • 公金受取口座の登録で7,500円分

のポイントがもらえます。
 

カード申請は22年末まで

ただし、カードの申請期限は、「2022年末」まで、マイナポイントの申込み期限(健康保険証の利用申し込み、公金口座の登録)は「2023年2月末まで」となっています。マイナンバーカードを未取得で、マイナポイントの恩恵を受けたい場合には、少なくとも22年末までにカードの申請申し込みを行う必要があるわけです。
 

「マイナポイント」(「マイナンバーカード」申請方法)について、詳しくは
マイナポイントとは? | マイナポイント事業

マイナンバーカードを保険証にするための手続き

すでにマイナンバーカードを持っていて、健康保険証の利用登録を行っていない場合、それをすれば、「マイナポイント」がやはり7,500円分付与されます。最後に、その手続きを説明しておきましょう。

事前準備

事前準備として、次のものが必要です。
 

①マイナンバーカード
②数字4桁の暗証番号
数字4桁の暗証番号とは、マイナンバーカードを受け取る際に市区町村の窓口で設定した利用者証明用電子証明書のパスワードのことです。
③スマホ(マイナンバーカード読取対応のスマホで申し込みの場合)
④ICカードリーダー(パソコンで申し込みの場合)

・マイナポータルのアプリをインストール

マイナポータルのアプリをインストールします。スマートフォン版のアプリは「GooglePlay」または「AppStore」からインストールします。パソコン版のアプリは、マイナポータルのサイトからインストールできます。

・保険証利用の申し込み

マイナポータルの画面を立ち上げ、保険証利用の申し込みを行います。手順は次の通りです。
 

①マイナポータルの画面(保険証利用)で「利用を申し込む」もしくは「健康保険証利用申込」をタップすると「保険証利用登録」も画面が開きます。
②利用規約の確認が行われるため「同意して次へ進む」をクリックします。
③マイナンバーカード読取の画面に切り替わるので「申し込む」をクリックします。パソコンで申し込みをする場合は「申し込む」をクリックする前に、ICカードリーダーを接続し、マイナンバーカードをセットしておく必要があります。
スマホで申し込みをする場合は「申し込む」をクリックした後で、マイナンバーカードを端末にかざす必要があります。
④パスワード入力
「申し込む」をクリックすると、パスワードの入力画面に切り替わります。数字4桁の暗証番号の入力が求められるので暗証番号を入力し、「OK」もしくは「申し込み」をクリックすると申し込みの完了です。

※マイナンバーカードの保険証の利用は、セブン銀行ATMからも申し込めます。その場合は、マイナンバーカードと数字4桁の暗証番号を準備し、セブン銀行ATMの画面の案内にしたがって、操作していきます。

まとめ

2024年秋に現在の健康保険証が廃止され、マイナンバーカードと一体化される方針が示されました。事実上、マイナンバーカードの取得が「義務化」される方向です。現在実施されているマイナポイント第2弾を利用したい場合には、今年末というカード申請期限、23年2月末というマイナポイントの申込期限までに必要な手続きを終えるようにしましょう。
 

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マネーイズム編集部
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