56号+三冠王で「3億円の家」ゲットの村上選手 手放しで喜べない?税金のこと – マネーイズム
 

56号+三冠王で「3億円の家」ゲットの村上選手 手放しで喜べない?税金のこと

プロ野球(NPB)東京ヤクルトスワローズの村上宗隆選手が、スポンサーから「3億円の家」を贈られることになり、話題を集めました。セントラルリーグのレギュラーシーズン最終戦で、NPBの日本人記録となる56号ホームランを放ったことに加え、三冠王(打率・打点・本塁打でトップ)を獲得した“ご褒美”で、村上選手のリクエストに応じた家を建ててもらえるそうです。スーパースターならではの話ではありますが、もちろん3億円相当の物件が「ただ」で手に入るわけではなく、しかるべき税金が発生します。いったいどんな税が、どのくらいかかってくるのでしょうか?

課税されるのは、どんな税金か

賞は1億円から3億円に増額

村上選手に家を贈るのは、ヤクルト球団のトップスポンサーである㈱オープンハウスグループ。同社は9月4日、球団ホームページに、ヤクルト主催ゲームで村上選手が56号ホームランを打った場合には、「特別なホームラン賞」として、「オープンハウスグループが販売する『好立地の東京の家』上限金額1億円(税込)」を贈呈する、と公表していました。そして10月3日のレギュラーシーズン最終戦で、村上選手は見事この条件をクリアしたのでした。
 

加えて、この試合で三冠王も確定させたことで、贈られる家は、1億円から3億円に格上げされることになりました。なお、同社は、「(家の)立地や間取りはシーズン終了後に村上選手と相談のうえ決定」する、としています。
 

ここまでは景気のいい話ですが、では、贈られた家に対する税金は、どのくらいになるのでしょうか?

「贈与税」ではない理由

当然のことながら、所得税の計算は、所得を確定させるところから始まります。はじめにお断りしておくと、実は時価3億円の家といっても、税金の計算上の評価額が3億円とは限りません。実際には、それよりも「割安」な評価になることも多いのですが、ここでは村上選手がもらう家の評価額=3億円という前提で、話を進めたいと思います。
 

まず、そもそも、課税されるのが「何税」なのかを考えてみます。家を「贈られる」のですから、「贈与税」が連想されるのですが、この税金は、親から子へのように、個人から贈与が行われたときに課税されるものです。今回は、オープンハウスグループという法人からもらうことになりますから、贈与税の課税対象とはなりません。
 

なぜ法人から個人への贈与が贈与税の対象外かというと、贈与税が相続税の「補完税」という性質を持っているからです。法人には相続は発生しない(相続税の課税原因が生ずることがない)ので、受け取った側に贈与税が課せられることもない、という理屈です。
 

結論としては、村上選手のケースは、贈与税ではなく、所得税が課税されると考えられます。贈られたものではあるのですが、税法上は「所得があった」という判断に基づいて、課税されるわけです。ちなみに、送った側の法人には、法人税が課税されます。

どのくらい課税されるのか?

法人→個人の贈与は、原則として「一時所得」

課税されるのが所得税だとして、次に問題になるのは、「何所得」なのかということです。所得には「給与所得」「事業所得」「譲渡所得」などの9種類と、そのどれにも分類されない「雑所得」の計10種類があって、それぞれ課税の仕方などが異なるのです。
 

法人から個人への贈与については、原則として、そのうちの「一時所得」とされています。他には、懸賞や福引きの賞金品、競馬や競輪の払戻金などがこれに該当するのですが、この一時所得の課税所得(実際に税金がかかる所得)は、次のように計算します。
 

総収入金額-収入を得るために支出した金額-特別控除額(50万円)=一時所得の金額×1/2

 

最後の「×1/2」がポイントで、今回の件を当てはめると(収入を得るために支出した金額は「0円」として計算)、「3億円-50万円=2億9,950万円×1/2」で、1億4,975万円が所得税の課税対象になります。これを球団から受け取る年棒など他の所得と合算した金額に、定められた税率を掛けたものが、支払う所得税額ということになるのです。
 

所得税(分離課税に対するものなどを除く)の税率は、5%から45%までの7段階があり、所得が増えるほど税率も高くなる「累進課税」です。村上選手の今季推定年俸は2億2,000万円ですから、その所得は、間違いなく最高税率45%のゾーン(所得4,000万円以上)にあります(※)。さらに、一律10%の住民税も課税されます。
 

ですから、支払う税金の税率は、所得税45%+住民税10%の55%。3億円の家に課せられる分の税額は、「1億4,975万円×55%≒8,236万円」で、3億円の30%弱が税金として徴収される計算です。

※この段階には、一律約480万円の控除額(税率を掛けて算出した金額から差し引ける金額)があります。

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「事業所得」の可能性も

ただし、国税庁ホームページでは、一時所得に該当する「法人から贈与された金品」について、「業務に関して受けるものを除く」という但し書きが記されています。ですから、この贈与が、通常の年俸と同じ「事業所得」と認められる可能性もあり、その場合には、納税額は大きく違ってきます。
 

事業所得ならば、そのまま他の所得と合算しなくてはなりません。もらった家にかかる税金は、「3億円×55%=1億6,500万円」です。「特別賞」の半分以上は、税金として「消える」ことになるわけです。
 

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個人からの贈与だったら

「法人からもらうものなので、課税されるのは所得税」と説明しましたが、仮にこの家が個人からの贈与で贈与税が課税されるとしたら、税額はいくらになるのかもみておきましょう。
 

贈与税もやはり累進課税となっており、4,500万円超の最高税率は55%です。110万円の基礎控除額がありますから、「(3億円-110万円)×55%≒1億6,440万円」。ここから、一律の控除額640万円を引いた約1億5,800万円が納税額となります。

不動産には、他にも税金がかかる

なお、不動産を取得した場合には、これ以外にも税金がかかります。
 

取得時には、

  • 登録免許税(登記の際に支払う)
  • 不動産取得税

の2つがかかります。
 

また、不動産所有者には、固定資産税、都市計画税(都市計画区域内にある場合)が、毎年課税されます。

まとめ

村上宗隆選手にスポンサーから3億円の家がプレゼントされ、話題になりました。贈与であっても、法人から贈られるものなので、かかる税金は贈与税ではなく、所得税。一時所得であればもらった家の評価額の3割、事業所得とされれば半分以上の税金を納めることになります。
 

マネーイズム編集部