消費税が15%以上に増税される?岸田政権が狙う「大増税」の内容とは | MONEYIZM
 

消費税が15%以上に増税される?岸田政権が狙う「大増税」の内容とは

岸田政権は所得税減税を行うことで物価高の対策を実施する一方で、大増税に向けた動きも進めています。物価高は一向に収まる気配がありませんが、増税の動きは着実に進んでいるように見えるわけです。
 

そうした中で、今回、関西経済連合会が「中長期的な税財政のあり方に関する提言」を発表し、消費税の引き上げを提言しています。ここではこうした動きも踏まえて、岸田政権が目指す「大増税」の中身について考察します。

増税の動きが加速している理由

今回の増税に向けた動きが加速している要因のひとつとして、昨年10月に開催された政府税制調査会で「未来永劫、10%のままで日本の財政がもつとは思えない」「今後の高齢化の進展に合わせて、遅れることなく、消費税率の引き上げについて考えていく必要がある」といった意見が相次いだことがきっかけとされています。
政府税制調査会とは、内閣総理大臣の諮問に応じて、税制に関する基本的事項を調査審議する内閣府の所属の機関のことです。この機関は、各界の代表者および学識経験者からなる30人以内の委員によって構成され、今後の税制改革に大きな影響を与える組織といわれています。

この税制調査会での議論をもとに、有識者からは「財務省は、岸田政権のうちに増税への道筋を付けておきたいと目論んでいるのでは?」といった意見も出ています。
また、増税への最速スケジュールとして「22年から議論を始めて、23年末の税制改革大綱でまとめ、24年1月から始まる国会で可決、同年10月ごろに実施」という予想も出ているようです。
 

また関西経済連合会が発表した「中長期的な税財政のあり方に関する提言」には、政府が目標とするプライマリーバランス*の黒字化が2025年度までにできなければ、消費税の引き上げを検討すべきとしています。

※プライマリーバランスとは、社会保障や公共事業をはじめ様々な行政サービスを提供するための経費(政策的経費)を、税収等で賄えているかどうかを示す指標のことを指します。

 

この提言によれば、日本の財政はここ数年で大幅に悪化し、プライマリーバランスの黒字化のためには消費税を15%程度への引き上げが必要との認識です。さらに消費税15%では債務残高対GDP比を安定的に逓減できないため、消費税を18%まで上げる必要があるとしています。
 

また経団連も「2024年度税制改正に関する提言」の中で、消費税の引き上げを提言しています。経団連は具体的な数値を示していませんが、2012年5月の『成長戦略の実行と財政再建の断行を求める~現下の危機からの脱却を目指して~』をもとに、消費税19%という数値が出てきているのが現状です。
 

人口減の社会の中で、将来の社会保険料を抑制するためには、消費税を増税して対応していくべきだという主張につながります。たしかにこうした見方は正しい側面がありますが、財界が声高に増税を叫ぶのは、消費税増税と法人税減税がセットだという話が出ているからです。
 

また社会保険料が上がれば企業負担も上がるわけですから、それよりも消費税増税も提言するという考え方も一面として正しく思えます。こうした議論がなされている中で、消費税が実際に上がるのかどうか、またいつ上がるかについては不透明です。
 

今後増税・導入が検討される税金とは

消費税以外の税金においても増税策が検討されており、物価高騰や円安の影響に伴い、これからも国民の負担が増えていくのは避けられそうにありません。
 

今後増税および導入が検討されている税金は現時点で6つ挙げられています。
 

<現在検討中の増税(新設)項目一覧>
項目 実施時期(予想)
相続税・法人税 2024以降の適切な時期
所得税 今回の所得税減税を受けて除外の可能性あり
炭素税 2024年
退職所得控除見直し 2024年
配偶者控除の見直し 2024年

 

消費税増税に関しては、岸田首相が完全否定しており、このまま増税の方向へは行かないと予想されます。一方、消費税の減税については否定するものではないとしており、減税に関して含みを持たせた発言に終始しています。
 

前述したように、所得税減税の実施を検討しているなかで、消費税の増税の議論をしては、物価高対策という主張がかすんでしまうのは間違いありません。実際に消費税増税を検討していたとしても、現時点でそれを議論することはできないでしょう。
 

またエコカー減税については2023年4月30日までの時限立法でしたが、2026年4月30日まで適用されることとなりました。ただし初回車検時の燃費基準や条件は以下のように変更されています。基準がかなり厳しくなっているため、以前よりも免税や減税される対象者は減ると考えられます。

免税 50%減税 25%減税
2023年12月31日まで 電気自動車等 2030年度基準75%達成 2030年度基準60%達成
2030年度基準120%達成
2030年度基準90%達成
2024年1月1日~2025年4月30日まで 電気自動車等 2030年度基準80%達成 2030年度基準70%達成
2030年度基準120%達成
2030年度基準90%達成
2025年5月1日~2026年4月30日まで 電気自動車等 2030年度基準90%達成 2030年度基準80%達成
2030年度基準125%達成
2030年度基準100%達成

 

他にも、老後生活の支えにもなる退職金も見直しが検討されています。
現在、退職金にかかる税金の控除額は、勤続年数に応じて増えていく仕組みとなっていますが、こちらに関して「勤続年数にかかわらず控除額を一律とする」という変更案が政府税制調査会で議論されており、有識者曰く、最短で再来年春からの実施もありえるそうです。

まとめ

日本で消費税が導入されたのは1989年で、当時税率は3%でした。その後、5%に引き上げるまでに8年を要し、5%から8%に引き上げられるまでには17年も要しています。安倍晋三政権では8%、10%と短期間で2度も引き上げています。今まで3回にわたって消費税率の引き上げが行われましたが、逆に税率が引き下げられたことは一度もありません。
そして近い将来、消費税が15%に増税される可能性もでてきました。消費税増税が可決された場合は、国民の負担が大いに増える可能性があります。今後の議論の行方を注視しましょう。

マネーイズム編集部
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