フリーランスは業界特化の保険に加入できる!具体例と加入する際のポイントを解説 | MONEYIZM
 

フリーランスは業界特化の保険に加入できる!具体例と加入する際のポイントを解説

フリーランスや個人事業主として働くにあたって課題になりやすいのが、どの健康保険に加入するかです。日本は国民皆保険制度であるため、フリーランスや個人事業主も何かしらの保険に加入することが求められます。業界特化の保険は、フリーランスや個人事業主の保険の加入先として有用です。今回はフリーランスや個人事業主が加入できる、業界に特化した保険を解説します。

フリーランス/個人事業主が加入できる業界特化の保険とは

フリーランス/個人事業は基本的に国民健康保険へ加入

フリーランス/個人事業主は基本的に市区町村が運営する国民健康保険へ加入します。会社員などのように雇用されている人とフリーランス/個人事業主が加入する保険は異なる仕組みです。
国民健康保険はフリーランス/個人事業主が加入するものですが、本人だけではなく家族も加入できます。フリーランス/個人事業主の家族で個別に保険に加入していないならば、フリーランス/個人事業主が手続きすることで被保険者になれる制度です。
なお、保険料は国民健康保険を提供する市区町村ごとに算出方法と結果が異なるため、具体的な数値については居住する市区町村のWebサイトなどを確認してください。

業種ごとの健康保険への加入も可能

フリーランス/個人事業主は市区町村の国民健康保険に加入するだけではなく、業種ごとに特化した国民健康保険組合に加入することも可能です。国民健康保険組合は特定の業種、業界の人だけが加入できる健康保険で、状況によっては国民健康保険よりも保険料が安い、サービスが手厚いなどのメリットがあります。
なお、国民健康保険組合の種類は数多くありますが、すべての業種、業界について存在しているわけではありません。以下で代表例をご紹介しますが、それ以外の国民健康保険組合については存在するか各自ご確認ください。

フリーランス/個人事業が加入できる保険の例

文芸美術国民健康保険組合

文芸美術国民健康保険組合はフリーランス/個人事業主でデザイナーやアニメーター、小説家などとして活躍している人が加入できます。
保険料は組合員の収入に左右されず、1人あたり月額21,100円と定められています。組合員の家族が加入する場合は1人あたり月額11,600円です。保険料の支払いは口座振替で6回、4回、2回、1回から選択できます。
なお、文芸美術国民健康保険組合に加入するためには、事前に加盟団体に加入しておかなければなりません。こちらの団体に加盟するためには審査や加入料が必要となるため、その点は注意が必要です。

東京都弁護士国民健康保険組合

東京都弁護士国民健康保険組合は、特定の弁護士会に所属している弁護士かそれ以外の弁護士会に所属していても特定の地域に居住している弁護士が加入できる健康保険です。フリーランス/個人事業主で活躍する弁護士以外でも上記の条件を満たせば加入可能です。
保険料は組合員の収入によって変化せず、1人あたり月額27,800円、介護保険賦課被保険者である場合1人あたり月額33,300円です。組合員の家族が加入する場合は1人あたり月額12,000円、介護保険賦課被保険者の場合は家族1人あたり月額17,500円です。保険料は年間4回の支払いで、口座振替と振込の選択肢があります。
また、東京弁護士会国民健康保険組合では、保険の提供だけではなく保養施設の利用などのサービスが提供されています。独自のサービスがあるため、これらも活用できると良いでしょう。

東京美容国民健康保険組合

東京美容国民健康保険組合は、東京都内の事業所で働き、東京都、神奈川県、千葉県、埼玉県、茨城県、山梨県に居住する美容師が加入できる健康保険組合です。
保険料は組合員の収入に左右されませんが、事業主は1人あたり月額22,000円で従業員は1人あたり月額16,500円です。介護保険賦課被保険者である場合は事業主は1人あたり月額19,000円で従業員は1人あたり月額13,500円です。フリーランス/個人事業主として働きながら、アシスタントなどを雇う際は保険料が異なります。家族が加入する場合は1人あたり月額8,500円、介護保険賦課被保険者の場合は家族1人あたり月額11,500円で固定です。
また、東京都内を中心にがん検診や人間ドックを受けられる医療機関と協定を結んでいます。これらの医療機関で検診や人間ドックを受ける際は費用が助成され、低価格で身体の状況を把握可能です。

船員保険

船員保険は海上で働く「船員」が加入できる健康保険組合です。個人や民間企業が保有する船舶はもちろん、外国籍の船舶でも日本企業や官庁が手配している船ならば保険の対象となります。
保険料は利率で定められているため、組合員の収入に左右される仕組みで、算出対象の10.75%です。雇用されている場合は雇用主との折半がありますが、フリーランス/個人事業主として個人で活躍している場合は全額の負担が求められます。
なお、海上で働く人向けの保険組合ということもあり、海上で発生したトラブルを下船後もサポートしてくれる制度があります。海上では早急に通院することが難しいため、下船後、3カ月はサポートの利用が可能です。

フリーランス/個人事業主が業界特化の保険へ加入する際のポイント

保険料は全額自己負担

フリーランス/個人事業主が健康保険に加入する場合、保険料の全額を自分で負担しなければなりません。会社員として働いていると保険料は会社と折半となりますが、会社に属していないため折半できず、保険料が会社員として働いている場合よりも高額になりがちです。また、家族が健康保険に加入する場合も、同様に保険料は全額自己負担です。扶養家族を健康保険に加入させる必要があるならば、その点も考慮しておきましょう。

業界で働いているからといって加入できるとは限らない

説明したとおりフリーランス/個人事業主は業界特化の保険に加入できる仕組みです。ただ、その業界で働いていると、保険組合に加入できるとは限りません。
例えば、上記で説明した文芸美術国民健康保険組合は、加入するにあたって保険組合の「加盟団体」に所属しておく必要があります。加盟団体に所属するためには自分の作品を提出して認めてもらう必要があるなど、ある程度の時間が必要です。また、所属を認められない場合もあり、こうなると保険組合にも加入できなくなります。
同様にそれぞれの保険組合でも加入するための条件が設けられています。「〇年以上働いていること」などのような条件が定められている場合もあるため、事前に必ず確認しておきましょう。

各種手続きはすべて自分で対応する必要がある

それぞれの保険において各種手続きはすべて自分で対応しなければなりません。加入手続きはもちろん、扶養家族が増えた場合や保険の適用を申請する場合も自分での手続きが必要です。会社員の場合は総務部門などが手続きを代行してくれるケースが大半です。自分で細かく手続きする必要はなく、指示に従って書類などを作成すると後は専門の部署が対応してくれます。しかし、フリーランス/個人事業主になると基本的にそのような手続きを代行してくれる人がいません。健康保険に関する手続きが生じた際は、書類の作成から提出、保険組合とのやり取りまで自分でしなければなりません。

☆ヒント
健康保険への加入は義務付けられているため、フリーランス/個人事業主も必ず加入しなければなりません。加入先や手続きなどの判断に困った際は、専門家に相談してアドバイスを受けると安心できます。

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まとめ

フリーランス/個人事業主が加入できる業界特化の健康保険について解説しました。基本的には国民健康保険に加入しますが、フリーランス/個人事業主として活躍する業種によっては、その業界に特化した保険組合に加入することが可能です。
どの保険組合に加入できるかは、自分が活躍している業界によって異なります。また、保険料や提供されている保険の内容は、加入先によって変わります。フリーランス/個人事業主として業界特化の保険組合に加入する際は、事前に保険料などの特徴を確認しておきましょう。
 

松崎ぶっち
立命館大学卒。
在学中に起業・独立などにあたり会計や各種監査などの法規制に対応するためのシステム導入ベンダーを設立。紆余曲折を経て多くのシステムを経験。
システム導入をされるお客様の起業活動を通じて得た経験、知見を活かし皆さんの気になるポイントを解説します。
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