家族が死亡すると葬儀などで出費がかさむため、支出面を心配する人が多く見られます。一方、支出があるのと同時に国や自治体から死亡時にもらえるお金も存在するため、上手く活用して支出面の心配を取り除きましょう。今回は家族が死亡した際に、もらえるお金について解説します。
死亡時に公的機関からもらえるお金とは
死亡一時金
死亡一時金は、国民年金の第1号被保険者が36カ月以上、保険料を納めたにもかかわらず、老齢基礎年金や障害基礎年金を受けずに死亡した際に支給されるお金です。受取人は生計を同じくしていた遺族であり、複数人が該当する場合は配偶者・子・父母・孫・祖父母・兄弟姉妹の順に受取人が決まります。ただ、死亡一時金は遺族基礎年金を受け取る場合には支給されません。一般的には遺族基礎年金を受給したほうがトータルで受け取れる金額が大きいため、受け取りの際には注意が必要です。
葬祭費
国民健康保険に加入している場合は、被保険者が死亡した際に葬儀代金の補填として埋葬費がもらえます。自治体からもらえるお金で支給額は市区町村によって異なります。お金をもらう際は市区町村の役所へ出向き、国民健康保険担当部署で手続きが必要です。告別式をした日から2年以内に手続きをしなければならないため、できるだけ早く済ませておきましょう。
埋葬費給付金
国民健康保険や社会保険などに加入していると、被保険者が死亡した際に埋葬費が支給されます。給付対象は保険によって少々異なりますが、被保険者に生計を維持してもらっていた人が対象です。もらえるお金の額は加入している保険によって少々異なります。また、必要な手続きや申請書類も保険によって異なるため、加入している保険の情報を参照してください。
遺族年金
国民年金に加入して遅延なく保険料を納付していれば、被保険者が死亡した際に遺族年金の受け取りが可能です。被保険者と生計を共にしていた遺族が、本来本人に支給される予定であった年金を遺族年金として受け取れます。また、国民年金以外にも厚生年金や共済年金に加入していると遺族年金が支給される場合もあります。いずれの保険でも遺族年金の受給にあたっては手続きが必要となるため、遺族年金の受給を考えている場合は問い合わせや手続きを進めるようにしましょう。
児童扶養手当
親のどちらかが死亡してしまいひとり親家庭になった場合は、児童扶養手当が受け取れる可能性があります。こちらは扶養する家族などの人数によって所得制限が設けられているため、申請すれば必ず受け取れるとは限りません。一部のみ支給されたり支給対象外になったりする場合があります。手当が支給されるのは子供が18歳になる年度末までですが、細かな条件は市区町村によって異なります。手続きも市区町村の役場にておこなうため、申請する際にルールについて確認するようにしましょう。申請は死亡してからできるだけ早く、忘れずに手続きが必要です。
死亡時に勤務先からもらえるお金とは
慶弔金
多くの会社では福利厚生の一環として何かしらの慶弔金制度が用意されています。どのような条件でどの程度支払われるのかは会社によって異なりますが、お見舞金のような形で慶弔金を支給する会社が大半です。具体的な制度内容は会社ごとに異なるため、まずは慶弔金の存在について確認してみましょう。
死亡退職金
死亡退職金は死亡した人が本来受け取るべきだった退職金を指します。在職中に死亡した社員の遺族に対して支払われます。慶弔金と間違えられやすい制度ですが、慶弔金は非課税であるのに対して死亡退職金は相続税の課税対象です。死亡してから3年以内に支給が確定した場合は相続税の課税対象に、3年を経過してから支給が確定した場合は遺族の一時所得として所得税の課税対象になるため、支給が確定したタイミングによって取り扱いが変わることには注意が必要です。また、死亡退職金専用の非課税額が設けられており、「非課税額=500万円×法定相続人数」で求められます。死亡退職金を受け取る際は、課税対象と非課税額に注意しましょう。
死亡時に保険会社からもらえるお金とは
死亡保険金
生命保険には死亡保険が存在していて、何かしらの理由で死亡した際に保険金が支給されるようになっています。支給金額や受け取り方は加入している保険によって異なるため、本人が加入している保険証書などの確認が必要です。遺族のためにお金を残す仕組みではありますが、課税所得となる場合があります。想定していたよりも手元にお金が残らない可能性もあるため、疑問点がある場合は専門家に相談することをおすすめします。
死亡給付金
生命保険ではなく医療保険などに加入している場合は、死亡給付金が支給されるかもしれません。実質的には死亡保険に近いものですが、給付される条件が死亡保険とは少々異なります。
基本的に死亡給付金は死亡した事実に対してもらえるお金です。医療保険の中でも万一に備える部分といえます。また、医療保険には違いないため、死亡給付金として医療費に対する給付も受けられます。死亡前に入院したり手術をしたりしていたならば、それらについても保険会社へ請求しましょう。
死亡時に手続きすればもらえる可能性のあるお金とは
高額療養費制度の請求
死亡前の医療費が高額になっている場合は、遺族が本人に代わって高額療養費の請求が可能です。高額療養費制度はすべての健康保険で適用されるため、社会保険でも国民健康保険でも気にすることなく請求できます。高額療養費制度は年齢や年収などによって、医療費の自己負担額上限が決定される制度です。こちらの制度を利用すると払い過ぎた医療費を返金してもらえるため、入院の長期化などで医療費が高額になっている場合は手続きしましょう。
遺族年金の請求
ご説明したとおり手続きをすれば遺族年金をもらえる可能性があります。ただ、遺族年金は死亡一時金を受給した場合には支給されないものであるため、どちらの請求手続きをおこなうかは検討しなければなりません。また、遺族年金についてご説明しましたが、年金に加入している期間が納付すべき期間の3分の2に満たない場合は支給の対象外です。年齢が若かったり年金の支払いができていなかったりすると受給できない場合もあるため、条件について確認することが重要です。
まとめ
死亡時にもらえるお金についてご説明しました。公的機関や勤務先からいくつものお金をもらえる可能性があるため、可能な限り速やかに手続きしましょう。家族が死亡したタイミングで手続きに時間を割くのは難しいかもしれませんが、締め切りが短いものもあるため速やかな対応を求められます。なお、死亡時にもらえるお金の内容によっては、相続税などの税金がかかるかもしれません。税金がかかると手元に残るお金の額が少なくなるため、不安があるならば専門家に相談すると安心です。