ふるさと納税で住民税が控除される!ワンストップ特例制度も解説 | MONEYIZM
 

ふるさと納税で住民税が控除される!ワンストップ特例制度も解説

自治体の特産物など返礼品が受け取れるふるさと納税は、住民税から控除が受けられます。住民税の控除について、くわしい仕組みがわからない人も多いでしょう。今回は、ふるさと納税の住民税控除について説明します。手軽に申請できるワンストップ特例制度や所得税の控除についてもあわせてみていきましょう。

ふるさと納税で住民税が控除される!計算式も確認

ふるさと納税をすると受けられる住民税の控除について、仕組みをくわしく解説します。控除額を求める計算式も確認しておきましょう。

ふるさと納税で住民税が控除される

ふるさと納税で自治体に寄附すると、寄附金控除として住民税から控除を受けられます。ふるさと納税をした翌年の6月以降に控除されることになっています。控除の対象金額は、納税額のうち自己負担分2,000円をのぞいた金額です。ただし寄附すると自動的に控除されるわけではなく、申請する必要がある点に注意してください。

ふるさと納税で住民税がどれくらい控除される?

ふるさと納税をすると、いくら住民税から控除されるのでしょうか。みていきましょう。住民税からの控除には「基本分」と「特例分」があります。基本分と特例分を合わせた金額が、住民税からの控除額です。計算式はそれぞれ以下のとおりです。

〇住民税控除額の計算式
【基本分】
住民税控除額(基本分)=(ふるさと納税額-2,000円)×10%

自己負担分の2,000円を除いた金額の10%が基本分の控除額です。
【特例分】
住民税控除額(特例分)=(ふるさと納税額-2,000円)×(100%-10%(基本分)-所得税の税率)

 

特例分では、住民税控除額が住民税所得割額の20%を超えた場合、計算式は「(住民税所得割額)×20%」に変わってきますので注意してください。
 

なお、実際にいくら控除されたかは「住民税決定通知書」で確認できます。住民税決定通知書の「税額控除額」の欄から確認しましょう。自営業などの人は6月ごろに郵送されますし、会社勤めをしている人は会社から渡されます。

ふるさと納税で住民税の控除が手軽にできるワンストップ特例制度とは

ふるさと納税で住民税の控除を受けるには、申請する必要があると前述しました。確定申告もその1つですが、さらに手軽な仕組みがあります。確定申告を行わなくても寄附金控除が受けられる仕組みを「ワンストップ特例制度」と言います。会社勤めで年末調整を受けている人は、このワンストップ特例制度を利用できますのでぜひ検討してみてください。申請方法は以下のとおりです。
 

【ワンストップ特例制度の申請方法】

➀「寄附金税額控除に係る申告特例申請書」を入手する
まずは「寄附金税額控除に係る申告特例申請書」を入手しましょう。総務省のホームページからも入手できますし、寄附先の自治体からもらうことも可能です。
②「寄附金税額控除に係る申告特例申請書」に記入する
申請書の必要事項を記入します。記入漏れのないように注意してください。
➂そのほかの必要書類を準備する
ワンストップ特例制度では、マイナンバーカードや本人が確認できる書類が必要です。次のいずれかの組み合わせを準備しましょう。

〇パターン1

マイナンバーカードのコピー(表面、裏面の2枚)

〇パターン2

次のうち1点
・マイナンバー通知カードのコピー
・マイナンバーの記載されている住民票の写し
次のうち1点
・運転免許証のコピー
・パスポートのコピー

〇パターン3

次のうち1点
・マイナンバー通知カードのコピー
・マイナンバーの記載されている住民票の写し
次のうち2点
・健康保険証のコピー
・年金手帳のコピー
・提出先の自治体が認める公的書類のコピー
 

④自治体に郵送する
申請書とそのほかの必要書類が準備できたら、寄附した自治体に郵送して提出します。申請期限に注意しましょう。ワンストップ特例制度の申請期限は、ふるさと納税をした翌年の1月10日です。
 

なお、ワンストップ特例制度は「確定申告をしないこと」が前提です。会社員でも副業の所得が20万円を超えたり、給与が2,000万円超だったりと確定申告が必要な人は利用できません。また、ワンストップ特例制度が利用できるのは、寄附先の自治体が5つまでの場合です。5つとは寄附した自治体の数ですので、たとえば同じ自治体に2回寄附した場合、1つとしてカウントします。

所得税の控除についても確認しておこう

ふるさと納税は住民税だけでなく、所得税からも控除が受けられます。ふるさと納税による所得税の控除について説明します。
所得税からも控除されると聞いたときに、疑問になりやすいのが「所得税と住民税の控除ではどちらが得なのか」ということではないでしょうか。前提として、確定申告をした場合は所得税と住民税から控除され、ワンストップ特例制度を利用した場合は住民税からのみ控除されます。実は合計控除額はどちらもほぼ変わりません。ワンストップ特例制度を利用すると所得税の控除は受けられないものの、その分も含めて住民税から控除されるのです。
住民税の控除は翌年分から減額される形でしたが、所得税では当年分から減額されます。また所得税からの控除の場合、控除額が源泉徴収額を上回る場合は還付されるという違いもあります。所得税の控除額の計算式は以下のとおりです。

〇所得税控除額の計算式

所得税控除額=(ふるさと納税額-2,000円)×所得税の税率

 

2037年中の寄附までは、所得税の税率は「復興特別所得税」の税率を加えた率になります。復興特別所得税とは、東日本大震災からの復興の財源を確保するために課せられる税金で、基準所得税額の2.1%を所得税とあわせて納付するものです。合計税率は「所得税率×102.1%」ということになります。
ふるさと納税で寄附金控除を受けるのに気を付けたいのが、控除できる金額に上限がある点です。上限額は家族構成や収入などによって異なります。
住民税基本分なら所得額の30%以下、住民税の特例分では個人住民税所得割額の20%以下、所得税は所得額の40%以下が控除限度です。紹介した限度額に1つでも当てはまれば、その金額が限度額の基準になる点に注意しましょう。所得税の控除額が所得の40%を超えていなくても、住民税特例分の控除額が個人住民税所得割額の20%を超えているなら自己負担が増えることになります。
2,000円の自己負担で全額控除したい場合、あらかじめ限度額を確認しておくと安心です。限度額は以下のシミュレーターでも確認できますので、利用してみてください。
 

・総務省:寄附金控除額の計算シミュレーション
・ふるなび:控除額シミュレーションと計算方法

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ふるさと納税!6月からの住民税は本当に減ってる?確認するポイントがあります!【3分かんたん確定申告・税金チャンネル】

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まとめ

ふるさと納税はお米や海鮮物、お肉など嬉しい返礼品がもらえますし、寄附した金額も自己負担分の2,000円をのぞいて住民税や所得税から控除されます。また、ふるさと納税は「自治体を応援する」制度でもあります。以前住んでいた場所や旅行で訪れた土地など、思い出の自治体がある人も多いのではないでしょうか。寄附をして応援するのもいいものです。まだふるさと納税をしたことがない人は、ぜひ一度検討してみてください。
 

渡邉身衣子
東証1部上場企業法務部の経験を経て金融ライターとして独立する。ビジネス実務法務検定2級を取得済み。難しくなりがちな金融・税金・法律をやわらかく解説します。
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