プロ野球選手の税金・年俸はいくら?日本人メジャーリーガーも | MONEYIZM
 

プロ野球選手の税金・年俸はいくら?日本人メジャーリーガーも

プロ野球選手は年俸が高いイメージがありますが、納める税金についても気になる方は多いのではないでしょうか。プロ野球選手は個人事業主として球団と専属契約を交わし、契約金や年俸・CMなど広告出演料を受け取ります。
 

WBCで活躍し、MVPに選ばれた大谷翔平選手はアメリカのMLBでプレーしていますが、アメリカと日本では税制の仕組みが異なります。プロ野球選手の収入と経費、日本とアメリカにおける税金などについて解説していきます。

プロ野球選手は個人事業主として所得税などを納める

プロ野球選手の収入と納める税金は?

プロ野球選手は、所属する球団と請負に関する専属契約書を交わす個人事業主(自営業者)です。
収入には主に以下の4つがあります。

契約金:球団と専属契約を交わす際にもらうお金
年俸:年間を通した報酬。一般的な個人事業主でいうと「売り上げ」にあたる
出来高:契約更改で年俸とは別に、活躍に応じて上乗せされる。成功報酬ともいえる
広告による収入:TV・雑誌・インターネットなど各種媒体の広告出演による収入

契約金は専属契約時に球団からもらうお金です。
国税庁のホームページには「一定の者のために役務を提供し、またはそれ以外の者のために役務を提供しないことを約束することにより一時に支払われるすべてのもの」に当てはまる契約金は源泉徴収の対象と記載されています。
 

契約金のうち「3年以上の期間特定の者と専属契約を結ぶことにより、一時に受ける契約金で、その金額がその契約による報酬の2年分以上であるものの所得」は臨時所得に分類されます。
 

前年に変動所得(事業所得や雑所得のうち漁獲による所得・印税や原稿料など)がなかった、前々年・前年に変動所得があっても合計額の2分の1が本年の変動所得の金額に満たない場合には「平均課税」で所得が申告可能です。
平均課税とは、収入の変動幅が大きい方に対して緩和する制度で、通常の所得税よりも税率が低めに設定されています。
よって入団時に契約金が多いプロ野球選手は、納める税金の負担が少ないといえます。
 

プロ野球選手は年俸制の選手がほとんどで、翌年に確定申告を行い所得税・復興特別所得税・住民税を納めます。2023年現在日本ハムファイターズ監督・新庄剛志氏が、翌年に税金の支払いがあることを知らず年俸の約8割の価格の車を買い「借金をした」というエピソードもあります。
 

出来高は活躍に応じて上乗せされるもので、歩合制・成功報酬ともいえるでしょう。
人気のあるプロ野球選手は、TVやインターネットなどに広告で出演し収入を得ることができます。
チームやクラブが広告契約を結び、出演することもあります。

プロ野球選手の経費

プロ野球選手の経費としては主に以下のものが挙げられます。

◆クラブ・バッド・スパイクなど使用する競技用具を購入した場合の費用※1
◆自宅から球場までの交通費※2
◆トレーニング費用・トレーナーに支払う報酬
◆税理士などに支払う報酬
◆マッサージなど体調の管理やメンテナンスに必要な費用
◆選手会の会費
◆後援者との会食など選手として必要な交際費
◆傷害保険料
※1スポンサーからPRを兼ねて無償で提供されることもある
※2遠征の旅費・宿泊費などは球団が負担する

ユニフォームや帽子などは、多くの場合球団が準備します。
プロ野球選手の経費の中で、自主トレーニングに必要な費用は経費に入れられるか否かの線引きが難しいと言われています。
 

例えばゴルフなど野球以外の競技でトレーニングをした際にかかる費用は「趣味でプレーしたのでは?」「野球と関係ない」とみなされることもあるでしょう。ただし、選手にとっては体幹を鍛えるといった総合的な運動能力を維持・向上させるために必要となる可能性があります。

プロ野球選手の年俸はいくら?日本人メジャーリーガーも

日本のプロ野球選手の年俸はいくら?

日本プロ野球選手会では、年俸調査を実施しています。
2023年の会員支配下公示選手721名の平均年俸は4,312万円です。
平均年俸が最も多い球団は巨人で6,807万円、2位はソフトバンクで6,763万円です。
最も少ない球団は日本ハムで2,569万円という結果でした。
会員支配下選手の年俸総額は310億8,990万円で、過去最高額です。

日本人メジャーリーガーの年俸は、大谷翔平選手が1位と推定されている

近年は海を渡ってアメリカのMLB(メジャーリーグベースボール)で活躍する選手が増えています。
WBC(ワールドベースボールクラシック)でも活躍し、MVPに選ばれた大谷翔平選手の年俸は2023年度で3,000万ドル(推定)と言われています。MLBの選手の中では19位で、日本人メジャーリーガーの中で1位です。
 

ダルビッシュ有選手は1,800万ドル、鈴木誠也選手は1,700万ドル、吉田正尚選手は1,500万ドルと報道されています。(全て推定額)
大谷選手は2023年現在ロサンゼルス・エンゼルスに所属していますが、今季終了後にフリーエージェントになる可能性があります。残留した場合は「658億円の超大型契約になるのでは」というニュースもあります。

野球選手の税金はいくら?

アメリカの場合

日本人メジャーリーガーの税金はどうなっているのでしょうか?
 

日本では、国内に住所があるまたは1年以上の居所を有する個人を「居住者」と呼び、居住者以外の個人を「非居住者」と規定しています。
居住者はすべての所得に対して日本で税金が課されます。
 

居住者のうち①日本国籍がない、②過去10年以内で日本国内に住所または居所を有していた期間の合計が5年以下であるの2点を満たす者は「非永住者」と定義されます。
 

非永住者は、日本に住所・居所がある者はすべての所得に課税されます。また、日本国籍を有していない者・ 過去10年以内に日本国内に住所・居所があった期間の合計が5年以下の者は国外から送金されたものなどに対して課税されます。
 

よって日本人メジャーリーガーは、日本・アメリカの両方に税金を納めている人もいるでしょう。
 

大谷選手の場合は非居住者で「国内源泉所得」のみに課税されます。大谷選手はTVやインターネットなどで数多くのCMに出演していますが、「国内で行う事業の広告宣伝のための賞金品」は国内源泉所得の範囲内として国税庁のホームページに記載されています。
よって事業者が大谷選手に出演料を支払う際に、所得税・復興特別所得税を源泉徴収し納付していると推測されます。
 

アメリカでは、個人の所得税は、①連邦個人所得税と②州所得税の2つが課されます。
連邦個人所得税率の目安(2023年・単身)は以下のとおりです。

出典:「米国 税制 所得税(個人)」❘ 独立行政法人日本貿易振興機構(ジェトロ)
 
アメリカと日本は日米租税条約などがあり大谷選手の私的な状況・住所によっても異なりますので、「○円」と特定するのは困難です。
ただし、一部報道では契約規模5億ドルの場合アメリカで納める所得税は約1億9,000万ドルになると言われています。

日本の場合

日本のプロ野球選手は個人事業主として所得税などを支払います。
年俸や契約金・広告出演料など全ての収入から、経費や各種控除などを差し引いた金額の1,000円未満の端数金額を切り捨てた後に以下の税率で計算します。

出典:「所得税の税率」❘ 国税庁
 

2023年日本のプロ野球選手の平均年俸は4,312万円です。経費や各種控除を差し引いた後の金額が3,000万円と仮定して計算してみましょう。
 

3,000万円×40%=279.6万円=920.4万円
 

所得税は920.4万円になります。
所得が高い分、納める税金も高額といえるでしょう。

まとめ

プロ野球選手の収入や経費、日本人メジャーリーガーの年俸、税金について解説しました。
日本人メジャーリーガーの税金は試算することが困難ですが、日本のプロ野球選手で課税される所得が3,000万円の場合は約920万円の所得税を納付します。

田中あさみ
大学在学中に2級FP技能士を取得、会社員を経て金融ライターとして独立。金融・投資・税金・各種制度・法律・不動産など難しいことを分かりやすく解説いたします。米国株・ETFを中心に資産運用中。
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