大手損保4社、100社以上で企業保険の事前調整実施が明るみに – マネーイズム
 

大手損保4社、100社以上で企業保険の事前調整実施が明るみに

日本の損害保険業界が大きな危機に直面しています。9月27日に損害保険大手の東京海上日動火災保険、損害保険ジャパン、三井住友海上火災保険、そしてあいおいニッセイ同和損害保険の4社が、企業向けの保険料を事前に調整していた事実が明らかになりました。企業向け保険のカルテル疑惑を巡り、取引先との不適切な行為の対象は少なくとも計100社以上にのぼることが判明しました。
 

保険業界に揺れる問題|報告書精査と法令違反時の処分検討

この事実は、金融庁が4社に対して保険業法に基づく報告徴求命令を発行したことを受けてのもので、4社は9月29日までにこれに関する報告書を金融庁に提出する予定となっています。
この問題は、特定の業種や企業を超え、広範囲にわたる不適切な取引の実態を露呈しています。事前調整の行為は、企業向け保険の9割を占める4社の寡占状態にあり、業界内での公正な競争が阻害されていたとの疑念が浮上しています。
 

問題とされているのは複数の損保会社で契約を引き受ける「共同保険」。これにより、例えば工場の火災などの巨額のリスクが発生した場合、事前に決められたシェアに応じて複数社が保険金を分担して支払う仕組みとなっていました。共同保険の引き受けでは事務連絡の必要性もあり、各社の担当者は互いに連絡を取り合う関係にあるといいます。
 

不適切な行為の最初の手がかりとなったのは、東急グループ向けの火災保険契約でした。見積額として提示される保険料の水準が、各社の営業担当者間で事前に調整されていたことが発覚しました。さらに、小売りや製造業、鉄鋼や石油元売り業界、鉄道や空港など、多岐にわたる業種でこの事前調整や情報交換が行われていた疑いが持たれています。
 

金融庁は、各社からの報告書の提出を受け、これを詳細に精査する方針です。法令違反が確認された場合、業務改善命令やその他の行政処分を検討するとのことです。公正取引委員会もまた調査を進めており、独占禁止法に違反する行為が確認されれば、損保会社各社に対して再発防止措置や課徴金納付の命令が下される可能性があります。
 

今回の問題は、保険業界における公正性や透明性を巡る大きな課題として、今後の動向に注目が集まっています。

マネーイズム編集部
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