ゼロゼロ融資の返済はどうする?2026年版・借換と経営改善サポート保証の活用法

[取材/文責]なかもとともあき

新型コロナウイルス感染症対応のため2020年から実施されてきた、いわゆる「ゼロゼロ融資」(実質無利子・無担保融資)は、すでに新規受付がすべて終了し、返済フェーズに完全に移行しています。2025年通年のゼロゼロ融資利用後倒産は433件(東京商工リサーチ集計)・636件(帝国データバンク集計)と、3年連続で高水準を維持しました。日銀政策金利は2025年12月に0.75%へ引き上げられ、いわゆる「金利のある世界」が本格化するなか、借換コストも上昇局面にあります。本記事ではゼロゼロ融資の仕組みを整理したうえで、現在利用できる借換・経営改善支援制度、そして2026年に経営者が押さえるべき対応策まで解説します。

1. ゼロゼロ融資とはなにか

1-1. ゼロゼロ融資の仕組み

ゼロゼロ融資とは、新型コロナウイルス感染症の影響を受けて売上が減少した中小企業・個人事業主に対し、「実質無利子(ゼロ)・無担保(ゼロ)」の条件で資金を貸し付ける緊急支援制度でした。一定の売上減少要件を満たせば、当初3年間の利子相当額を国(または都道府県)が補給し、信用保証協会の保証を受けることで原則無担保で利用できる仕組みです。
コロナ禍の事業継続を支えるため、2020年3月から日本政策金融公庫・商工組合中央金庫・民間金融機関の三本柱で順次拡大し、過去最大規模の中小企業向け資金繰り支援策となりました。

1-2. 返済開始日について

ゼロゼロ融資の返済猶予(元本据置)期間は最長5年で設定されていたケースが多く、2023年7月ごろから本格的な元本返済の開始時期がピークを迎えました。2024年以降は据置明けの事業者がさらに増え、返済負担と物価高・人手不足・金利上昇が重なる「三重苦」の局面が続いています。なお、新規受付はすでに終了しており、現在は返済フェーズの支援策が中心です。

2. ゼロゼロ融資の種類

2-1. 新型コロナウイルス感染症特別貸付(日本政策金融公庫)

日本政策金融公庫が実施していた制度で、売上高が一定割合減少した中小企業・個人事業主が対象でした。当初3年間の利子相当額を国が補給し、実質無利子で最大8,000万円を借入可能(中小事業向け)でした。なお2024年12月で新規受付を終了しており、現在は借換用途を中心とした「危機対応後経営安定貸付」などの後継制度で対応しています。

2-2. 新型コロナウイルス感染症特別貸付(中小企業向け制度)(商工組合中央金庫)

商工組合中央金庫(商工中金)が中堅・中小企業向けに実施していた制度です。要件・限度額は公庫の制度に準じ、当初3年間の利子相当額補給を受けられました。こちらも新規受付は終了済みで、既存借入の返済管理および借換相談が中心となっています。

2-3. 新型コロナウイルス感染症対応資金(民間金融機関)

民間金融機関(信用金庫・地方銀行・メガバンクなど)が信用保証協会の保証付きで実施した制度で、最大6,000万円・実質無利子(当初3年間)で利用できました。2021年3月末で新規受付終了し、その後は後述の「コロナ借換保証制度」(2024年6月終了)を経由して、現在は経営改善サポート保証等で借換対応が継続しています。

2-4. 特別利子補給制度

ゼロゼロ融資の「実質無利子」を実現するために、国が借入後3年分の利子相当額を一括補給する制度です。一定の売上減少要件を満たした事業者が対象でしたが、新規申請受付はすでに終了しています。

3. ゼロゼロ融資の効果とリスク

3-1. ゼロゼロ融資の効果

ゼロゼロ融資は「コロナ禍で資金繰りが困難になった中小企業の倒産を抑制する効果」として大きな役割を果たしました。実際、コロナ禍直後の2020〜2021年の企業倒産件数は約6,000件台と半世紀ぶりの低水準まで落ち込み、本来であれば資金ショートで倒産していたはずの多くの中小企業が、この制度で事業継続できたとされています。
当初3年間の利子相当額補給により、利息負担なしで運転資金・つなぎ資金を確保できる点も中小企業にとって大きなメリットでした。コロナで売上が急減した飲食店・宿泊業・観光業を中心に、ゼロゼロ融資が事業継続の生命線となったケースが数多くあります。また、無担保で借入できることから、不動産などを保有しない小規模事業者・個人事業主にも門戸が開かれた点も大きな意義がありました。

3-2. ゼロゼロ融資のリスク

一方で、元本据置明けの本格返済フェーズに入った2023年以降、ゼロゼロ融資利用後の倒産件数は急増しています。

・東京商工リサーチ集計:2025年通年433件(累計2,272件超、2020年7月以降)

・帝国データバンク集計:2025年通年636件(3年連続600件超)

・全体倒産件数:2025年は4年連続増加・2年連続1万件超え(帝国データバンク 1万425件)

業種別に見ると、ゼロゼロ融資後倒産は飲食店が最多で、宿泊業・建設業・運輸業・小売業が続きます。コロナ禍で売上が大幅に落ち込んだ業種は、コロナ後の客足回復が想定より緩やかな一方で、原材料費・人件費・エネルギー費の上昇が利益を直撃しており、ゼロゼロ融資の返済原資を確保できない事業者が増えています。
さらに、2025年は人手不足倒産が427件と過去最多を更新し、物価高倒産も949件と過去最多に達しました。ゼロゼロ融資後の返済負担に加えて、これらの複合的な経営リスクが圧迫要因として重なっている状況です。
加えて、2025年12月の日銀政策金利引き上げ(0.75%)により、短期プライムレート連動の運転資金融資金利も段階的に上昇しています。借換時の金利水準そのものが上がっているため、純粋な「金利削減目的」の借換は成立しにくく、「経営改善計画とセットで返済負担を軽減する」アプローチが現実的な選択肢となっています。

4. ゼロゼロ融資の返済負担を軽減する、現行の借換・経営改善支援制度

コロナ借換保証制度(民間ゼロゼロ融資の借換を支援する保証制度)は、2024年6月30日に新規受付終了しました(能登半島地震被災事業者のみ2024年12月31日まで延長)。2026年現在は、その後継として整備された複数の制度を組み合わせて活用するのが基本となります。

4-1. 経営改善サポート保証(経営改善・再生支援強化型)

中小企業庁が運営する後継保証制度です。経営サポート会議や中小企業再生支援協議会等の支援により策定した再生計画に基づいて、事業再生を実行するために必要な資金の借入を保証する制度です。

・取扱期限:2027年3月31日まで延長

・保証割合:100%(プロパー融資を含む混合型は80%)

・保証限度額:最大2億8,000万円(別枠)

・経営改善計画の策定・モニタリングが要件

従来の「経営改善サポート保証(感染症対応型)」は2025年3月31日で取扱終了となり、本制度に統合・延長された形です。

4-2. 危機対応後経営安定貸付(日本政策金融公庫)

日本政策金融公庫のセーフティネット貸付(経営環境変化対応資金)の一種で、コロナ禍の影響により業況が悪化した事業者の借換・運転資金需要に対応する貸付制度です。コロナ特別貸付の借換用途として実質的な後継制度となっています。

4-3. その他の代替支援策

上記2制度のほか、現在は以下の保証制度・貸付制度も借換・追加運転資金の選択肢として活用できます。

小口零細企業保証:従業員20人以下(卸売・小売・サービスは5人以下)の小規模事業者を対象に100%保証で借入可能。コロナ融資の100%保証→100%保証の借換にも対応

経営力強化保証:認定経営革新等支援機関の支援を受けることを条件に、保証料を低減(80%保証)。経営改善計画の伴走支援と組み合わせて利用可能

セーフティネット保証4号・5号:業況悪化業種や自然災害等で売上減少した事業者向けの別枠保証制度

4-4. 申請手続きの流れ

現行制度を活用した借換・経営改善資金の申請は、概ね次の流れで進めます。

1. 事前相談:認定経営革新等支援機関(税理士・公認会計士・金融機関等)に相談し、現状の借入・収支・キャッシュフローを整理

2. 経営改善計画の策定:売上計画・利益計画・返済計画を含む3〜5年程度の経営改善計画を作成。中小企業庁の「405事業(早期経営改善計画策定支援事業)」を活用すれば、計画策定費用の3分の2(上限額あり)が補助される

3. 金融機関への申込:取引金融機関を通じて信用保証協会または日本政策金融公庫へ申込

4. 保証審査・融資審査:計画の妥当性・返済可能性を審査。必要に応じて経営サポート会議で関係金融機関と調整

5. 保証決定・融資実行:条件付保証・条件付融資となるケースもあるため、計画達成のKPIを明確にしておく

6. モニタリング:計画期間中(半期〜年次)の進捗を金融機関・支援機関に報告。計画と実績の差異が大きい場合は計画見直しを検討

書類準備からモニタリング期間まで含めて長期にわたる手続きとなるため、早めの相談と計画的な準備が成功のカギです。なお、2026年度政府予算では「中小企業資金繰り支援事業」に総額228億円が計上され、利差補給・無担保融資促進・経営力強化支援の3本柱で資金繰り支援が継続されています。

5. YouTubeで「ゼロゼロ融資」について解説中!

5-1. ビスカス公式YouTubeチャンネルのご案内

ビスカス公式YouTubeチャンネル「3分でわかる税金」では、ゼロゼロ融資の仕組み・返済対策・借換制度の活用法について、税理士・FPがわかりやすく解説しています。文章だけでは理解しにくい数値計算や、認定経営革新等支援機関への相談手順なども動画で確認できるため、経営者・個人事業主のみなさまの資金繰り判断にぜひお役立てください。

6. まとめ

コロナ禍の中小企業を支えたゼロゼロ融資は、現在新規受付がすべて終了し、返済フェーズに完全移行しています。2025年通年のゼロゼロ融資後倒産はTSRで433件・TDBで636件と、3年連続で高水準を維持しました。さらに2025年12月の日銀利上げによる「金利のある世界」のなかで、借換コストも上昇局面にあります。

・コロナ借換保証は2024年6月終了。後継「経営改善サポート保証(経営改善・再生支援強化型)」が2027年3月まで利用可能

・日本政策金融公庫は「危機対応後経営安定貸付」で借換需要に対応

・物価高・人手不足・金利上昇の三重苦に備え、認定支援機関との連携で経営改善計画を早期に策定することが重要

・2026年度政府予算では「中小企業資金繰り支援事業」に228億円が計上され、利差補給・無担保融資促進・経営力強化支援の3本柱で支援が継続

返済負担に不安を抱える経営者・個人事業主の方は、税理士・認定経営革新等支援機関・取引金融機関へ早めにご相談ください。早期に経営改善計画を策定し、複数の現行支援制度を組み合わせて活用することで、無理のない返済スケジュールへの再構築が可能です。

法政大学を卒業後、地方銀行で3年間勤務。その後、ITベンチャー企業に転職し立ち上げ期の経理や人事労務を経験。補助金代理申請の担当も行っていました。読者の視点に近い、わかりやすい文章を書くことを意識しています。卒業後は大手建設会社で営業として勤務しており、その後大手コンサルティング会社に転職。不動産や税金、建築の専門知識を保有。経験や知識を活かして、中学生でも分かりやすい記事を心がけています。

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