ベビーシッター利用支援事業は3種類!それぞれの対象者や補助額を比較 | MONEYIZM
 

ベビーシッター利用支援事業は3種類!それぞれの対象者や補助額を比較

ベビーシッター利用支援事業とは東京都や国の補助を受けて、全額無償、または一部の金額負担のみでベビーシッターを利用できる事業です。本事業は3種類あり、対象者や補助額、利用方法が異なります。
それぞれのベビーシッター利用支援事業の特徴と、金額補助を受けられるだけではない、他のメリットも解説していきます。

ベビーシッター利用支援事業とは

ベビーシッター利用支援事業とは、さまざまな事情によりベビーシッターの利用が必要になった保護者を対象に、東京都や国が全額、または費用の一部を補助する事業です。本事業は3種類に分けられ、「一時預かり利用支援型」「待機児童型」「企業主導型ベビーシッター利用支援事業」があります。
すべてベビーシッター利用料を助成する事業ですが、それぞれ支援する目的が異なります。また実施している自治体や対象者、補助額、申請の流れが異なりますので、このあと詳しく解説していきます。

ベビーシッター利用支援事業(一時預かり利用支援)

東京都が実施している制度で、名称のとおり一時的に保育が必要となった保護者に対してベビーシッター利用料を補助する事業です。他のベビーシッター利用支援事業と異なり、さまざまな理由での利用を認めているので、多くの方が利用できます。
令和2年度に開始された事業で、徐々に自治体数や利用可能時間が増え、対象年齢も拡大されてきました。
現在の補助対象期間は令和5年4月1日~令和6年3月31日までです。
 

事業を実施している自治体は下記です。
 

・千代田区
・中央区
・港区
・新宿区
・文京区
・台東区
・品川区
・目黒区
・中野区
・豊島区
・北区
・荒川区
・足立区
・葛飾区
・江戸川区
・武蔵野市
・狛江市

補助額と料金体系

児童一人につき1時間あたりの上限額は下記です。
 

・2,500円(午前7時~午後10時までの利用)
・3,500円(午後10時~翌日午前7時までの利用)

 

年間144時間分まで補助を受けることができます。
また、交通費やベビーシッター事業への入会金は補助対象外となります。
 

自治体によって内容が異なる場合があるので、詳しくは各自治体にお問い合わせください。

対象者

対象者は下記です。
 

<対象児童>
未就学児(台東区は小学3年生まで、狛江市は小学1~3年生のみ対象)

<対象者>
次の①または②に該当する方で、お住いの区市町村から、ベビーシッターの利用が必要であると認められた方。
①日常生活上の突発的な事情や社会参加などにより、一時的に保育を必要とするもの(保育認定の有無は問わない。)
②ベビーシッターを活用した共同保育(保護者等とベビーシッターによる保育)を必要とするもの

 

対象者の①の突発的な事情や社会参加とは、保護者の残業や病気、自己実現、学校行事、リフレッシュなど、幅広い理由が該当します。具体的には、リフレッシュのためにマッサージや美容室に行く際の利用、家事を行うために子どもを預ける場合の利用も対象となります。

申請の流れ

①東京都の認定事業者一覧から事業者を選び、直接利用契約を行う。(東京都のベビーシッター利用支援事業を活用したい旨を伝える)
②ベビーシッターを利用し、事業者へ直接料金を支払う
③ベビーシッター事業者に提出書類を発行してもらう
④提出書類を揃えて、自治体に申請する
⑤補助金が振り込まれる

 

補助されるまでの流れとしては、ベビーシッター利用後に一度支払いをした後、東京都へ申請をし、後ほど補助額が還付されます。

ベビーシッター利用支援事業(待機児童)

待機児童対策として東京都が行っている事業で、子どもが保育所等に入所できるまでの間、保育所等の代わりとして、ベビーシッターを1時間150円で利用できます。
平成30年から始まった事業で、「ベビーシッター事業者連携型」とも呼ばれています。
待機児童を対象に行っている事業のため、子どもが保育所等へ入所すれば利用できなくなります。また仕事が休みの日や、産休、育休中も利用できません。
現在の実施期間は令和5年4月1日~令和6年3月31日までです。
利用可能時間は月~土曜日の午前7時~午後10時まで、上限時間は1日11時間です。
 

事業を実施している自治体は下記です。

・新宿区
・台東区
・品川区
・大田区
・渋谷区
・中野区
・豊島区
・北区
・荒川区
・板橋区
・足立区
・葛飾区
・江戸川区
・三鷹区
・府中市
・国立市
・福生市
・狛江市
・東大和市
・武蔵村山市

補助額と料金体系

ベビーシッター利用料

1時間あたり150円(税込)

 

交通費やベビーシッター事業への入会金は補助対象外となります。

対象者

対象者は下記です。
 

次の①から③のいずれかに該当する方で、本事業の対象者である旨の通知書を受け取った方。
①保育所等の0~5歳児クラスに相当する待機児童の保護者
②0歳児で保育所等への入所申込みをせず1年間の育児休業を満了した後、お子さんの1歳の誕生日から復職する保護者(復職日以降、利用できます。)
③夜間帯保育を必要とする保護者

 

基本的には待機児童となった子どもの保護者が対象です。
①の方は保育所等への入所申込みをしていることが条件となります。また保育所等への入所が決定した場合、内定した保育所等入所月の前月末日まで利用することができます。
自治体によって内容が異なる場合があるので、詳しくは各自治体にお問い合わせください。

申請の流れ

①対象者確認申請書を自治体へ提出
②自治体から対象者確認書を受け取る
③東京都の認定事業者の中からベビーシッター事業者と契約
④アカウント発行申請書等を自治体に提出(ベビーシッター利用開始の10日前までに)
⑤アカウントを受け取る
⑥パソコンで助成券を発行する
⑦助成権の番号をベビーシッターに伝え、ベビーシッターを利用する

企業主導型ベビーシッター利用支援事業

これまで紹介したベビーシッター利用支援事業は東京都が行う事業でしたが、この事業は内閣府が委託する事業で、もともとは「内閣府ベビーシッター割引券」などと呼ばれていました。
保護者は勤めている会社を通してベビーシッターの割引券を受け取り、ベビーシッターを利用する際に割引券を使います。
会社は、本事業に該当する企業と認められ、国へ手数料を納めると割引券をまとめて発行してもらうことができます。会社は、発行された割引券を希望する従業員に配布することで、従業員は割引を受けられるという仕組みです。
先に紹介した2つの事業は東京都のみの事業でしたが、「企業主導型ベビーシッター利用支援事業」は内閣府が主導している事業なので、全国どこの会社でも登録可能です。

補助額と料金体系

割引券は1枚2,200円です。
児童1人につき1日2枚まで、1家庭につき1カ月最大24枚まで利用できます。
最大割引額は1カ月52,800円(2,200円×24枚)です。

対象者

<対象児童>
乳幼児または小学3年生までの児童、その他次の①~③に該当する小学6年生までの児童
①身体障がい者手帳の交付を受けている場合
②療育手帳の交付を受けている場合
③その他、地方公共団体が実施する障害児施策の対象となるなど、①②のいずれかと同等程度の障害を有すると認められた場合

 

対象となる保護者の規定はされていません。保護者が割引券を配った会社に勤めており、子どもが対象児童であれば補助を受けることができます。

申請の流れ

①会社に申請し割引券を受け取る
②対象のベビーシッターを利用する
③割引券をベビーシッター事業者に提出し、足りない金額を支払う

 

会社によって割引券の申請や配布の方法は異なるため、気になった方は会社の担当者へご確認ください。
ご自身の会社が企業主導型ベビーシッター利用支援事業に登録されているかは、こちらから確認することができます。
 

制度を利用するメリット

ベビーシッター利用支援事業は利用者にとっても、事業者にとってもメリットのある事業です。

・税制改正により受けた補助金が非課税になる
・翌年度4月以降に保育園は入園しやすくなる
・事業主は低コストで手厚い福利厚生が構築できる

 

ベビーシッター利用料金が補助されるだけではない、上記3つのメリットを1つずつ解説していきます。

税制改正により受けた補助金が非課税になる

令和3年度からは、ベビーシッター利用支援事業で受けた補助金が非課税対象になりました。
本来、補助金や助成金は雑収入となるため所得税や住民税の課税対象であり、本事業も元々は課税対象でした。しかし税制改正により令和3年分の補助からはコロナの影響を受ける子育て世代の負担を軽減するために、ベビーシッター利用支援事業も非課税対象へ変更されました。
そのため、これまでよりベビーシッターを利用しやすい環境になりました。

翌年度4月以降に保育園は入園しやすくなる

ベビーシッターを利用すれば、認可保育園の選考基準である点数が加点されるため、翌年度以降に認可保育園に入園しやすくなります。
認可保育園に入園する際、保護者の就労状況や持病といった家庭の状況を点数化し、「保育園に入る必要性が高い家庭」から優先的に入園が決まります。自治体によって加点の内容は異なりますが、ベビーシッターの利用を加点項目に設定している自治体は多いです。
ベビーシッターを利用していることを証明する「受託証明書」を自治体に提出することで加点を受け、保育園入園の優先順位を上げることができます。

事業主は低コストで手厚い福利厚生が構築できる

「企業主導型ベビーシッター利用支援事業」を利用すれば、企業は低コストで福利厚生を導入することができ、従業員も安心して子育てと仕事を両立することができます。
企業主導型ベビーシッター利用支援事業は割引券を従業員に配布しますが、割引された分のお金はすべて企業が負担するわけではなく、国も分担します。そのため企業としてもコストを押さえて福利厚生を行うことができます。
ベビーシッター割引券という福利厚生は、子育てをする従業員の離職を防ぐ効果も期待できます。

まとめ

ベビーシッター利用支援事業は子育てと仕事を両立している保護者にとってはとても助かる事業です。しかしまだベビーシッターは高コスト、手間、不安感という理由で浸透していない現状です。本事業を利用することで、子育てする保護者の負担は少しでも軽減されると思います。対象者で興味のある方は、各自治体にぜひお問い合わせください。

なかもとともあき
法政大学を卒業後、地方銀行で3年間勤務。その後、ITベンチャー企業に転職し立ち上げ期の経理や人事労務を経験。補助金代理申請の担当も行っていました。読者の視点に近い、わかりやすい文章を書くことを意識しています。
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