不動産の売却時の税金は?計算方法や納付時期、確定申告など詳しく解説! | MONEYIZM
 

不動産の売却時の税金は?計算方法や納付時期、確定申告など詳しく解説!

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不動産の売却には、基本的に税金が発生します。場合によっては高額になることがあるので、あらかじめどんな税金がかかるか把握しておきたいですよね。
 

そこで本記事では、不動産の売却にかかる税金について詳しく説明します。また、税金を抑える特例についての解説や、架空事例でのシミュレーションで分かりやすく解説しています。ぜひ参考にしてください。
 

不動産を高く売るためのコツを知りたい方はこちらの記事をご確認ください。

不動産の売却にかかる税金

不動産の売却時にかかる主な税金は、以下のとおりです。

税金 内容 税額の計算方法 納付時期 納付方法
印紙税 不動産の売却時に発行する売買契約書に課される税金 200円~60万円
※契約金額によって異なる
不動産の売買契約を行うとき 契約書面に収入印紙を添付し消印する
登録免許税 不動産の名義変更にかかる税金 固定資産税評価額×0.4% 所有権移転登記の日もしくはそれ以前 司法書士の報酬に含めて現金納付もしくは収入印紙での納付
譲渡所得税
(所得税+住民税)
不動産の売却で得た利益に対してかかる税金 所有期間が5年超:20.315%
所有期間が5年以下:39.63%
不動産を売却した翌年の2~3月 翌年の確定申告で譲渡所得を申告し支払う
消費税 建物の売買や仲介手数料を支払うときなどに発生する税金 金額×10% 取引に伴って支払いを行うタイミング 支払い時に含まれる
相続税 相続財産に対してかかる税金 プラスの財産-マイナスの財産-各種控除に対して、計算式に基づいて一定の税率をかける 相続開始から10カ月以内 被相続人が住んでいた地域を管轄する税務署へ申告

 

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それぞれさらに具体的に解説します。

印紙税

印紙税は、不動産の売買契約書のような課税文書にかかる税金です。売買契約書に契約金額に応じた収入印紙を書面に添付し、消印することで納めます。
 

具体的な印紙税額は、以下のとおりです。なお、2024年3月31日までは、一定以上の契約金額で軽減税率が適用されます。
 

契約金額 通常税率 軽減税率
1万円未満 非課税 非課税
10万円以下 200円 200円
10万円超え50万円以下 400円 200円
50万円超え100万円以下 1,000円 500円
100万円超え500万円以下 2,000円 1,000円
500万円超え1,000万円以下 1万円 5,000円
1,000万円超え5,000万円以下 2万円 1万円
5,000万円超え1億円以下 6万円 3万円
1億円超え5億円以下 10万円 6万円
5億円超え10億円以下 20万円 16万円
10億円超え50億円以下 40万円 32万円
50億円超え 60万円 48万円
契約金額の記載がないもの 200円 200円

 

一般的な500万円〜1億円の土地や建物などの不動産なら、おおよそ5,000〜3万円の印紙税がかかると考えておきましょう。

登録免許税

登録免許税は、不動産の登記にかかる税金です。新築の建物に最初の所有者を登録する際や、売買や相続によって所有者を変えるときなどの登記簿の内容変更時に発生します。
 

通常、不動産の買い主が負担するものですが、抵当権抹消や住所変更登記をする場合は売り主が負担します。
 

抵当権抹消
⇒住宅ローンなどでお金を借りた際、貸主不動産を担保にするために設定した抵当権を外すための手続き

 

具体的な登録免許税額は、土地もしくは建物の不動産1つにつき1,000円です。例えば、戸建ての場合、土地と建物でそれぞれ1,000円かかるので、税額は合計2,000円となります。

譲渡所得税(所得税+住民税)

譲渡所得税は、不動産の売却時に売却益が出ると発生する税金です。
 

具体的な税額は、売却によって得た収入から諸経費や取得費を差し引き、所得税と住民税の税率をかけて求めます。
 

なお、不動産の所有年数が5年以下だと、税率が少し高くなるので注意してください。所有年数が5年に近づいており、特段理由がないなら、5年を超えるまで売却を待った方がお得です。
 

譲渡所得税税額の計算方法は、「不動産売却時に譲渡所得税がかかった場合の計算方法」で解説しているので参考にしてください。
 

譲渡所得税の納付は、不動産を売却した翌年の2〜3月の確定申告時に行います。

相続税

相続税は、被相続人が死亡して相続が開始した際に発生する可能性がある税金です。
 

被相続人の死亡を知った翌日から10カ月以内に、被相続人の住所を管轄している税務署に申告する必要があります。なお、相続財産の金額が基礎控除以下であった場合、申告は不要です。
 

相続財産の金額は、預貯金や不動産のプラスの財産から借金やローンなどのマイナスの財産を含みます。それらを差し引きして残った金額が、相続税の計算対象です。
 

仮に不動産の評価額が5,000万円だとして、住宅ローンが1,000万円残っているなら、4,000万円が相続税の計算の対象となります。
 

また、相続税における基礎控除は、以下の式で求められます。
 

3,000万円+600万円×法定相続人数

※法定相続人:民法で定められた被相続人の財産を相続する権利を持っている人

 

例えば、法定相続人が2人いた場合、基礎控除額は4,200万円となります。つまり、相続財産の金額が4,200万円以下であれば、相続税の申告は必要ありません
 

一方、基礎控除額で相殺できず、特例による控除を活用して相続資産の金額を0にできた場合は、特例の適用のために申告が必要です。特例に関しては「不動産売却で譲渡所得税がかかったときに使える税金の特例」で解説しています。

不動産売却時に譲渡所得税がかかった場合の計算方法

不動産売却時に譲渡所得税額がかかった場合、以下の計算式で税額を求めます。
 

譲渡所得税額=(①譲渡所得額-②特別控除額)×③税率

 

一見難しそうですが、①〜③のステップで計算していけば求められるので安心してください。

ステップ①譲渡所得額を求める

まずは譲渡所得額を求めます。譲渡所得額は、以下の式で計算可能です。
 

譲渡所得額=譲渡価額-(取得費+譲渡費用)

 

譲渡価額とは、不動産が売れた価格のことを指します。
 

そして、取得費は、売却する不動産を取得するためにかかった費用のことです。例えば、以下のようなものが該当します。
 

  • 不動産の購入代金
  • 不動産の購入時の仲介手数料や印紙税など
  • 不動産の建築にかかった費用
  • 設備費用

 

相続した不動産のように取得費が不明の場合は、譲渡価額の5%を概算取得費にすることができます。
 

ただし、売却する不動産が建物の場合は、取得費用の合計から減価償却費を差し引く必要があるので注意してください。
 

減価償却費
⇒時間経過による建物の価値の減少分

 

減価償却費は以下の計算式で求められます。
 

減価償却費 = 取得価額 × 0.9 × 償却率 × 経過年数※
※1年未満の場合、6カ月以上は1年、6カ月未満は切り捨て

 

償却率は建物の構造と異なり、以下のとおりです。
 

建物の構造 耐用年数 償却率
鉄骨鉄筋コンクリート造又は鉄筋コンクリート造 70年 0.015
れんが造、石造又はブロック造 57年 0.018
金属造 骨格材の肉厚4mm超 51年 0.020
骨格材の肉厚3mm超4mm以下 40年 0.025
骨格材の肉厚3mm以下 28年 0.031
木造又は合成樹脂造 33年
木骨モルタル造 30年 0.034

 

上記を基に減価償却費が求められたら、取得費から差し引きます。
 

最後の譲渡費用とは、不動産の売却にかかる費用です。例えば、以下のような費用が該当します。
 

  • 不動産の売却時の仲介手数料や印紙税など
  • 測量費用
  • 解体費用
  • ハウスクリーニング費用
  • 各種書類の発行費用

 

相続した不動産を売却する場合は、登記簿の変更費用もかかるので注意してください。
 

これらを計算し、譲渡価額から譲渡費用と取得費の合計を引けば、譲渡所得額が求められます。

ステップ②特別控除額を差し引く

譲渡所得額が分かったら、税金の控除の特例を適用する場合、譲渡所得額からその特別控除額を引きます。
 

例えば、居住用の不動産を売却した場合は、3,000万円の特別控除が受けられるので、その分を譲渡所得額から差し引きます。
 

不動産の売却時に使える特例は「不動産売却で譲渡所得税がかかったときに使える税金の特例」で解説しているので、よければ参考にしてください。

ステップ③税率を乗じる

特別控除額を差し引いたら、その金額に譲渡所得における税率をかけて譲渡所得税額を求めます。具体的な税率は、売却する不動産の所有期間が5年未満か以上かで大きく変わります。
 

所有期間 合計税率 所得税率 住民税
5年以下(短期譲渡所得) 39.63% 30.63% 9%
5年超(長期譲渡所得) 20.315% 15.315% 5%

 

もし8年住んだ不動産を売った際に500万円の譲渡所得額があった場合、長期譲渡所得として取り扱われるので、譲渡所得税が76万5,750円、住民税額が25万円かかり、税額は合計101万5,750円となります。
 

同じ条件で所有期間が5年以下だったら、短期譲渡所得となるので、譲渡所得税が153万1,500円、住民税額が45万円かかり、税額は合計198万1,500円まで上がってしまうのです。
 

売却予定の不動産の所有期間が5年を迎えるなら、それを待ってからの方が税金的にお得といえます。

不動産売却で譲渡所得税がかかったときに使える税金の特例

不動産の売却で譲渡所得税がかかったときに使える税金の特例は、主に以下の5つです。
 

  • 居住用財産を譲渡した場合の3000万円の特別控除の特例
  • 所有期間10年超の物件に対する軽減税率の特例
  • 被相続人の居住用財産(空き家)にかかわる譲渡所得の特別控除の特例
  • 特定の居住用財産の買い換えの特例
  • 相続財産の取得費加算の特例

 

知らずにいると、税額が高くなってしまう可能性があるので、それぞれ説明します。また、上記の特例を適用させるには、確定申告が必要なので注意してください。

居住用財産を譲渡した場合の3000万円の特別控除の特例

マイホーム(居住用不動産)を売った際に、最高3,000万円の特別控除が受けられます。ただし、以下のような家屋には適用されないので注意してください。
 

  • この特例の適用を受けることだけを目的として入居した家屋
  • 居住用家屋を新築する期間中だけ仮住まいとして使った家屋
  • 趣味や娯楽、保養のために所有している家屋(例:別荘)

 

所有期間の長短に関係なく、最高3,000万円の控除額なので、マイホームを売る時は必ず使いたい特例です。

所有期間10年超のマイホームを売ったときの軽減税率の特例

所有期間10年を超えるマイホームを売った際に、軽減税率が適用される特例です。具体的には以下のとおりで、譲渡所得額が6,000万円以下の部分の税率が14.21%まで下がります。
 

譲渡所得額 合計 所得税 住民税
6,000万円以下 14.21% 10.21% 4%
6,000万円超 20.315% 15.315% 5%

 

譲渡所得額が6,000万円超えの部分については、通常の長期譲渡所得の税率と変わりません。

被相続人の居住用財産(空き家)にかかわる譲渡所得の特別控除の特例

相続した空き家や土地などを売却する場合、一定の要件を満たすと最高3,000万円までの控除を受けられる特例です。要件には、主に以下のようなものがあります。
 

  • 昭和56年(1981年)5月31日以前に建築された
  • 区分所有建物登記がされている建物でない
  • 相続の開始の直前において被相続人以外が居住をしていない
  • 相続から譲渡時まで、事業用や貸付用または居住用に使われていない
  • 譲渡時において一定の耐震基準を満たすものである
  • 相続の開始日から3年を経過する日の属する年の12月31日までに売る
  • 売却代金が1億円以下である

 

他にもさまざまな要件があるので、不安な方は専門家に相談してみるのがおすすめです。
また、この特例は現在2023年12月31日まで※のものとなりますので注意してください。

※今後の税制改正で延長となる可能性はございます。

特定の居住用財産の買い換えの特例

今住んでいるマイホームを2023年12月31日までに売り、代わりのマイホームに買い換えたときに、一定の条件を満たせば譲渡所得に対する課税を繰り延べられる特例です。この特例を適用させるために必要な主な条件は、以下のようなものがあります。
 

  • その年の1月1日において所有期間が10年を超えている
  • 住まなくなった日から3年を経過する日の属する年の12月31日までに売る
  • 売ったマイホームと買い換えたマイホームは、日本国内にあるものである
  • 買い換える建物の床面積が50平方メートル以上のものであり、買い換える土地の面積が500平方メートル以下のものである
  • 売った年かその前年に取得したときは、売った年の翌年12月31日までに買い換え先の住宅に住む
  • 売った年の翌年に取得したときは、取得した年の翌年12月31日までに買い換え先の住宅に住む

 

他にも細かい要件があるので、詳しくは国税庁のホームページを確認したり、税理士に相談したりするのをおすすめします。
ただし、この特例は非課税になるわけではなく、買い換え後の不動産を売却するときに課税されるので注意してください。

相続財産の取得費加算の特例

相続した財産を相続開始から3年以内に売却すると、相続税額のうち一定金額を取得費に加算できる特例です。具体的な計算式は、以下のとおりとなります。
 

相続税額×(売却した不動産の相続税評価額÷{相続税の課税価格+債務控除額}

 

例えば、相続税額が500万円で、売却した不動産の相続税評価額が5,000万円、{相続税の課税価格+債務控除額}が1億円だとしましょう。すると、上記の計算で求められる250万円を、取得費に加算できます。つまり、その分譲渡所得税の負担を軽減できるのです。

不動産売却時の譲渡所得税のシミュレーション

実際に下記の条件で、譲渡所得税をシミュレーションしてみます。
 

  • 新築で購入したマンション(居住用・鉄筋コンクリート造)
  • 築年数12年
  • 5,000万円(うち建物費用3,000万円)で購入
  • 7,000万円で売却
  • 取得にかかった各種費用250万円
  • 譲渡費用350万円

 

まずは譲渡所得額を求めるために、取得費用を計算します。取得費用は不動産の購入にかかったり価格に取得にかかった各種経費を足し、減価償却費を引いて求めます。
 

減価償却費は、以下の計算式で求められ、486万円です。
 

減価償却費486万円=建物の購入価格3,000万円×0.9×償却率0.015×12年

 

ここから取得費を計算すると、4,764万円となります。
 

取得費4,764万円=不動産の購入価格5,000万円+取得にかかった各種経費250万円ー減価償却費486万円

 

次に、譲渡所得額が以下の計算式で求められ、1,886万円です。
 

譲渡所得額1,886万円=譲渡価額7,000万円ー(取得費4,764万円+譲渡費用350万円)

 

そして、今回はマイホームの売却なので、「居住用財産を譲渡した場合の3000万円の特別控除の特例」が利用できるので、その分の金額を控除します。
 

譲渡所得税発生なし:譲渡所得額1,886万円<特別控除額3,000万円

 

すると、譲渡所得額より控除額が上回るので、譲渡所得税は発生しません。
 

今回のケースで特例が適用しない場合は、譲渡所得額1,886万円に長期譲渡所得としての税率がかかり、税額は383万1,409円となります。このように税額が大きく変わってしまうので、税金の特例は忘れずに適用しましょう。

不明点は専門家に相談を

売却を検討中の方は、本記事や国税庁のホームページを確認しながらシミュレーションをしてみましょう。ただ、本記事の内容を読んでもお分かりのとおり、税制は非常に複雑です。かつ、頻繁に改正されて情報が変わっていきます。
 

正確な税額が知りたい場合は、査定と一緒に不動産会社に相談してみたり、税理士や税務署に相談してみましょう。国税局のホームページでチャットボット(ふたば)や電話での無料相談も受け付けています。
 

もし、売却に向けた第一歩となる「不動産会社選び」でつまづいている場合は、不動産一括査定サイトの活用をおすすめします。
 

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まとめ

不動産売却は、売却金額がそのまま自分の手元に残るわけではありません。印紙税や登録免許税、今回詳しく解説した譲渡所得税など、さまざまな税金がかかります。相続した不動産であれば、相続税が発生するかもしれません。
 

今回の記事でどのくらいの税金がかかるのか確認し、スムーズに売却手続きを進められるようになりましょう。

増田賢人
青山学院大学教育人間科学部卒。在学時からFP2級を取得し、お金に関わるジャンルを得意とするライターとして活動。その後、上場企業へ入社し、Webマーケティング担当として従事。現在はお金ジャンルを得意とする専業ライターに転身。「お金の知識は知ってるだけで得する」という経験を幾度もしており、多くの人にお金の基本を身につけてもらいたいと思い執筆を続けている。
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