未成年・学生でも投資できる?メリット・デメリットと注意点、おすすめは少額・積立・分散 | MONEYIZM
 

未成年・学生でも投資できる?メリット・デメリットと注意点、おすすめは少額・積立・分散

「未成年・18歳未満の学生だけど投資したい」「未成年の子どもに教育の一環として投資をさせたい」というケースは多いのではないでしょうか。
未成年(学生)でも投資は可能ですが、売買は親権者の同意が必要です。また、証券会社の口座開設や取引については証券会社によって対応が異なります。本記事では、未成年(学生)の投資のメリット・デメリットや大手ネット証券会社の取り扱い、おすすめの投資方法などを解説していきます。

未成年(学生)でも投資はできるが、売買は親権者の同意が必要

未成年(学生)は口座開設・取引などで親権者の同意が必要になる

18歳未満の未成年者(学生を含む)の投資(有価証券の現物取引)は可能ですが、多くの場合は親権者の同意が必要です。
信用取引・FXについては、原則未成年者は不可とされています。

未成年者の法律行為については、民法第5条で以下の規定があります。
 

第5条 未成年者が法律行為をするには、その法定代理人の同意を得なければならない。ただし、単に権利を得、又は義務を免れる法律行為については、この限りでない。

 
引用:民法【e-GOV】
 

「法律行為」の中には「売買」などの契約も該当します。
 

未成年者(学生)の証券会社の口座開設・取引などは、証券会社によって取り扱いが異なりますのでチェックしておきましょう。
 

口座開設 本人の取引 未成年者が取引できる商品
楽天証券 親権者(未成年後見人を含む)が楽天証券に総合取引口座を開設している場合は、未成年者も「未成年口座」が開設できる
親権者全員もしくは未成年後見人の同意が必要
未成年者が15歳以上の場合は本人が取引できる
満18歳未満であっても婚姻を行うと成人として扱われ、自身で取引が可能
国内株式(現物)、IPO、PO、立会外分売、外国株式(米国・中国・アセアン) 投資信託、債券、金・プラチナ、貸株サービス、定時為替
※信用取引・FX・先物などは不可
SBI証券 満18歳未満・未婚の未成年者は、親権者のいずれか一方(または未成年後見人)がSBI証券で取引口座を開設していると開設できる
親権者全員又は未成年後見人の同意書と証明書類の提出が必要
結婚している未成年者は一般口座開設ができる
満15歳以上は自身で取引ができる
満15歳未満の方は、親権者または未成年後見人が本人に代わり財産を管理することを目的として取引
国内株式現物、PTS取引(SBI PTS)、単元未満株(S株)、新規上場・公募増資・売出、立会外分売、外国株式、投資信託、債券
※先物・オプション取引・信用取引などはできない

 

ネット証券会社の大手2社では、親権者・未成年後見人が口座を開設しており同意を得ると「未成年口座」が開設できます。
15歳以上は自分の判断で売買ができますが、親権者などの監督の下での取引をおすすめします。

少額・積立・分散投資がおすすめ

未成年者・学生にかかわらず、投資初心者には投資信託の少額・積立・分散投資がおすすめです。
投資にはリターン(利益や損失)とリスク(リターンの振れ幅)があります。
リスクは「危険」「損失」といった意味合いで使われることがありますが、投資では「不確実性」「リターンの振れ幅」を意味します。
 

出典:高校生のための金融リテラシー講座 | 金融庁
 

金融商品別のリスク・リターンを見てみましょう。
 

出典:高校生のための金融リテラシー講座 | 金融庁
 

株式はリスク・リターンが高いため、初心者には難しいといわれています。一方で、投資信託は投資家から集めたお金をプロが代わりに株式や債券などに投資するものです。
少ない金額を毎週・毎月など時間を分散して積立で購入すると、安い時には多く買い高い時には少なく買うことが可能です。(ドルコスト平均法)
日本・先進国・新興国など国や地域を分散すると、さらにリスクを軽減できます。
また、長期で運用することで価額の値動きに対応できリスクをおさえられるでしょう。
長期投資は複利効果(元本に加え、運用で得られた利益を再投資し利益が利益を生む)によって効率的な資産形成も期待できます。
 

出典:高校生のための金融リテラシー講座 | 金融庁
 

金融庁が公表している長期・分散・積立投資のシミュレーションは以下のとおりです。
 

出典:考えてみませんか!?“NISA”で資産形成!! | 金融庁

未成年者・学生が投資をするメリット・デメリット

未成年者・学生が投資をするメリット

未成年者・学生の投資には以下のようなメリットがあります。
 

1. 金融の基礎知識が身につく
2. 投資期間が長くなる
3. 政治・経済に興味をもつきっかけになることも

 

2022年4月から、日本では資産形成の授業が高校でスタートしました。
しかし金融広報中央委員会の「子どものくらしとお金に関する調査」によると、日本の高校生は世界で行われた金融リテラシー調査類似の設問における正答率がレベル1~3(易しい~普通)は、OECD13カ国の平均より低いことが分かっています。
 

出典:子どものくらしとお金に関する調査(第3回) | 金融広報中央委員会
 

一方で、難易度が高めのレベル4・5は正答率が高いです。
投資をすると上記のリスク・リターンなど金融の基礎知識が身につきます。
 

株式市場は政治や経済とも密接な関わりがありますので、政治・経済に興味を持つきっかけになることも期待できます。
 

そして早くから投資をすることで、投資期間が長くなりリターンが大きくなる可能性が生まれるでしょう。

未成年者・学生が投資をするデメリット

未成年者や学生が投資をすると、投資に夢中になってしまい勉強や部活などがおろそかになってしまう可能性があります。
 

多額の損失を出してしまう、高リスクの投資に手を出してしまう恐れもあります。
金融商品を売買する時には、親権者・未成年後見人があらかじめ内容を確認してみてはいかがでしょうか。

未成年者・学生が投資をする際の注意点

投資詐欺に注意

消費者庁の公表資料によると、学生に高額な投資用USBメモリを購入させるトラブルが多発しています。
 

友人・知人から「先輩の投資の話を聞いてみない?」と誘われ、先輩とカフェなどで会い投資用システムの勧誘を受け情報が入ったUSBを購入してしまうという事例です。
USBは学生にとっては高額といえる50万円程度で売りつけられ、ローンに手を出してしまう学生も存在します。
USBの情報で儲けられないと、今度は先輩が「友達を紹介してくれたら5万円」などと勧誘を迫るケースもあるようです。
「絶対に儲かる投資」「楽に稼げる方法」は存在しません。
投資を含めた詐欺行為には気をつけ、怪しい勧誘ははっきりと断るようにしましょう。

親権者の監督下での取引を

経験を積んだ大人と比べて、未成年や学生は高リスクの投資やよく分からない金融商品を購入してしまう傾向があります。
金融商品を売買する際には、親権者などに意見を聞き取引を行いましょう。
まだ授業で資産形成について習っていない未成年者・学生は、金融庁の下記のサイトに目を通しておきましょう。
 

基礎から学べる金融ガイド
https://www.fsa.go.jp/teach/kou3.pdf
高校生のための金融リテラシー講座
https://www.fsa.go.jp/news/r3/sonota/20220317/package.pdf
中学生・高校生のみなさんへ
https://www.fsa.go.jp/teach/chuukousei.html#chuukousei

未成年者・学生の投資、確定申告は必要?

所得を得た方は確定申告が必要です。
例えば未成年者・学生で他の収入がなく、投資で基礎控除の48万円を超える利益を出した年には雑所得として翌年に確定申告を行います。
 

住民税は、未婚の未成年者で前年の合計所得金額が135万円以下(給与のみの場合は給与収入が2,043,999円以下)であれば、住民税は非課税です。既婚者は未成年者とみなされません。
ただし、130万円を超えると親の社会保険の扶養から外れてしまいます。
 

特定口座・源泉徴収ありの場合は、所得がいくらあっても確定申告が不要です。
未成年者や学生は「親の扶養に入っている」というケースが多いでしょう。
親と同居している16歳以上19歳未満は年間の所得が48万円以下の場合「控除対象扶養親族」として、親の所得から38万円が控除されます。
 

19歳以上23歳未満で、親と同居しており年間所得が48万円以下の方は「特定扶養親族」に該当し親は63万円の所得控除が受けられます。
 

未成年者・学生が一定の所得を得ると確定申告が必要になり、場合によっては扶養から外れてしまう点に注意しましょう。

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子どもでも株式投資はできる?【未成年のお金の知識】

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まとめ

未成年者・学生でも投資は可能ですが、売買時には親権者などの同意を得ることをおすすめします。まずは少額・積立・分散投資を検討してみましょう。

田中あさみ
大学在学中に2級FP技能士を取得、会社員を経て金融ライターとして独立。金融・投資・税金・各種制度・法律・不動産など難しいことを分かりやすく解説いたします。米国株・ETFなどを中心に資産運用中。CFP(R)の相続・事業承継に科目合格、現在も資格取得に向けて勉強中。