介護保険料が上がる?介護保険料が上がる基準について解説 | MONEYIZM
 

介護保険料が上がる?介護保険料が上がる基準について解説

介護保険料が上がるという話を聞いたことがあるでしょうか。もちろんすべての人の介護保険料が上がるわけではありません。
 

介護保険料が上がる人は特定の年齢以上で年収が一定の基準以上の人のみです。この記事では介護保険料が上がる人の条件とその理由について解説します。
 

※記事の内容は2023年11月末時点の情報を元に作成したものであり、現在の内容と異なる場合があります。

現在の介護保険料は?

今後の介護保険料の話をする前に現在の介護保険料がどうなっているか知っておく必要があります。介護保険料は現役世代と65歳以上で負担額が異なります。
 

第1号被保険者 第2号被保険者
対象となる人 65歳以上の人 40~64歳で医療保険に加入している人
受給失格 要介護もしくは要支援認定を受けた者 16種類の特定疾病により要介護もしくは要支援認定を受けた者
保険料の徴収 市町村が徴収 医療保険の保険料と合わせて徴収
保険料の金額 基準額×保険料率(健保の場合) 標準報酬月額×保険料率
標準賞与額×保険料率
 国保の場合
世帯ごとの所得や資産、被保険者に応じて賦課される

65歳以上の介護保険料

65歳以上の介護保険料は、各市町村が定める基準額に9段階の保険料率をかける形になります。ただしこの9段階も自治体によって違います。たとえば東京都の千代田区であれば、本人の合計所得金額と同一世代の方の住民税課税状況によって、15段階です。
 

平成13年年〜令和5年度の全国平均は月額6,014円で、現状では地域差があります。保険料率は第9段階が1.7倍の保険料がかかり、年間所得用件が320万円以上です。今回の改定でこの上の段階を作ることになります。

現役世代の介護保険料

現役世代の介護保険料は次のように決められます。まず給与から50等級の標準報酬月額を割り出します。その標準報酬月額に各健保が定めている保険料率をかけて介護保険料を算出する仕組みです。
 

賞与に関しては1,000円以下を切り捨てた標準賞与額に、保険料率をかけて介護保険料を算出します。
 

介護保険料率は各健保によって異なり、たとえば協会けんぽであれば令和5年度は1.82%です。国保の場合は世帯ごとの所得や被保険者の数によって介護保険料が決まるため、各健保とは異なります。

介護保険料の推移

厚労省のホームページによれば、介護保険料は高齢化に伴い、年々上がり続けています。65歳以上の介護保険料は、基準額の全国加重平均が平成12年度の2,911円から令和5年度に6,014円に上がっています。
 

現役世代は、平成12年度の2,075円から令和5年度に6,216円(見込み額)に上がっているわけです。平成12年度と比べて約3倍になっており、現役世代だけで高齢者を支えることが難しくなっている現状がよくわかります。

なぜ65歳以上の介護保険料が上がるのか

今回、介護保険料を上げるという案が出ていますが、そもそもなぜ65歳以上に限定されているのでしょうか。ここではその理由について解説します。

現役世代の保険料の増額は限界に

前述したように介護保険料を現役世代だけで負担するのは難しいのが現状です。まず第一に、現役世代は自身や家族の生活費や教育費など、さまざまな支出があります。これらの支出に加えて、高い介護保険料を負担することは、経済的な負担が大きくなります。
 

第二に、現役世代は将来の自身の介護費用にも備えなければなりません。高齢化が進む社会では、自身が介護を必要とする可能性も考慮に入れなければなりません。そのため現役世代は自身の老後のために貯金や投資をする必要があります。介護保険料の負担が増えると、これらの貯金や投資が難しくなるわけです。
 

さらに現役世代は将来の不安も抱えています。失業や経済的な困難に直面した場合、介護保険料の負担はますます困難になります。現役世代は自身や家族の生活を守るためにも、経済的な安定を確保しなければなりません。
 

少子高齢化が進む中で、このままでは現役世帯の負担がさらに増えると予想される状況です。現役世代の負担が増えればますます少子高齢化が進み、悪循環になる可能性が高いでしょう。

高齢化のため支払い能力のある高齢者に負担してもらうしかない

高齢者だからといって、誰しもがお金がないわけではありません。裕福な高齢者もいるのが現状です。そのため高齢者の中でも所得が高い方には、さらに介護保険料を負担してもらう方法が考えられています。
 

一方で低所得者の負担は少なくすることで、制度が持続していくようにすべきだという考えです。そのため65歳以上の負担がすべて上がるわけではなく、一定の所得以下の人の負担は減ることになります。

65歳以上の介護保険料が上がる基準と金額は?

前述したように65歳以上のすべての人の介護保険料が上がるわけではありません。介護保険料が上がるのには基準があります。ここでは介護保険料が上がる基準について解説します。

所得が410万円以上の人は月最大約5,000円増える

今まで厚労省の基準で9段階だった保険料率を13段階まで増やすことを検討しています。
 

段階 所得 保険料
第1段階 世帯全員が市町村民税非課税かつ本人年金収入等80万円以下 引き下げ
第2段階 世帯全員が市町村民税非課税かつ本人年金収入等80万円超120万円以下 引き下げ
第3段階 世帯全員が市町村民税非課税かつ本人年金収入等120万円超 引き下げ
第4段階 本人が市町村民税非課税かつ本人年金収入等80万円以下 変わらず
第5段階 本人が市町村民税非課税かつ本人年金収入等80万円超 変わらず
第6段階 合計所得120万円未満 変わらず
第7段階 合計所得120万円以上210万円未満 変わらず
第8段階 合計所得210万円以上320万円未満 変わらず
第9段階 合計所得320万円以上410万円未満 変わらず
第10段階 合計所得410万円以上500万円未満 保険料引き上げ
第11段階 合計所得500万円以上590万円未満 保険料引き上げ
第12段階 合計所得590万円以上680万円未満 保険料引き上げ
第13段階 合計所得680万円以上 保険料引き上げ

出典:給付と負担について | 厚生労働省
 

このように10段階~13段階まで追加することになります。10段階は410万円以上となり、介護保険料が上がります。想定されるのは約140万人です。一方、13段階が680万円以上で、月額5000円増える可能性があります。
 

ただし繰り返しになりますが、こちらはあくまでも標準モデルですので、各自治体によって対応は変わってくるでしょう。前述した千代田区のようにすでに所得要件で15段階に分けている自治体もあります。
 

千代田区の場合はすでに以下のようになっています。8段階までは同じですが、9段階以降は以下の通りです。
 

段階 合計所得
第9段階 合計所得320万円以上500万円未満
第10段階 合計所得500万円以上750万円未満
第11段階 合計所得750万円以上1000万円未満
第12段階 合計所得1000万円以上1250万円未満
第13段階 合計所得1250万円以上1500万円未満
第14段階 合計所得1500万円以上2000万円未満
第15段階 合計所得2000万円以上

出典:介護保険料について(65歳以上) | 千代田区

市町村民税非課税の低所得者は介護保険料が下がる

先ほどの表を見ていただくとわかりますが、支払い能力に応じて介護保険料を支払う仕組みなので、介護保険料が下がる世帯もあります。
 

世帯全員が市町村民税非課税の低所得者約1,300万人は、介護保険料が下がる見込みです。ただしあくまでも所得ベースでの話なので、資産を多く持っている高齢者の方は介護保険料が変わりません。
 

所得ベースではなく、相続税など、資産ベースで介護保険料を支払う仕組みが必要という意見もあります。たしかに相続税などを介護保険料に回すという意見は現実的かもしれません。

まとめ

ここまで介護保険料の引き上げについて解説してきました。少子高齢化が進む中で、現役世代だけでは、高齢者を支えきれないのはたしかです。高齢者の中でも所得がある高齢者は、それなりの負担をせざるをえないでしょう。
 

今後もさらに少子高齢化が進むと考えられます。今後、介護保険料がどのように変わるかわかりませんので、最新情報に注意しておきましょう。

福井俊保
渋谷区で一から立ち上げたプログラミング教室スモールトレインで代表として、小学生に対するプログラミングと中学受験の指導に従事。またフリーランスのライターとしても活躍。教育関係から副業までさまざまな分野の記事を執筆している。 著書に『AI時代に幸せになる子のすごいプログラミング教育』(自由国民社)、共著で『#学校ってなんだろう』(学事出版)がある。
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