近年、富裕層の間で「ウイスキー投資」が注目を集めています。ウイスキー投資とは、ウイスキーをボトルやカスク(樽)で保管もしくはファンドを経由して購入し、利益を得る手法です。
長期間熟成させたヴィンテージウイスキーは人気があり、オークションなどで元値の数十倍の値段がつくこともあります。日本のウイスキーが国際的な賞を受賞していることも注目ポイントの1つです。
今回はウイスキー投資の中でもボトル・カスク投資の概要とメリット・デメリット、リスクや注意点、ウイスキー投資に役立つアプリなどを解説していきます。
ウイスキー投資は、長期間適切に保存し熟成させることで売却益を狙う
長期間熟成させたヴィンテージウイスキーは、値段が数十倍になることも
ウイスキー投資は、長期間適切に保存し熟成させることで価格の上昇を見込む投資です。
ファンドを経由して投資することも可能ですが、今回はボトル・カスク投資について解説していきます。
ウイスキー投資は売却益(キャピタルゲイン)を狙う投資ですので、株式の配当金のようなインカムゲインを得る投資より比較的高リスク・高リターンといえるでしょう。
近年ウイスキーの市場価値は上昇傾向にあります。「RARE WHISKY 101」が発表した世界で人気のある1,000本を対象にした指数の推移は以下のとおりです。
さらにKD Market Insightsの調査では、世界のウイスキー市場は2022年から2032年の予測期間には年平均成長率5.2%で成長し、2032年には約1025億米ドルの規模に達すると予測されています。
希少価値のあるヴィンテージウイスキーは人気があり、2023年11月にはイギリスのスコッチウイスキー「ザ・マッカラン1926」がロンドンで競売にかけられ、218万7,500ポンド(約4億1,000円)で落札されました。60年間熟成されたもので、蒸留酒のボトルとしては史上最高額です。
ウイスキー投資には、ボトル、カスク(樽)、ファンドへの出資という3つの方法があります。ボトルはカスク(樽)より量が少ないため比較的低リスク・低リターンといわれています。
ウイスキーの樽(カスク)投資も高い成長率が見込める
ウイスキーの樽(カスク)投資は、需要が多いものの流通量が少ないため大きな売却益が期待できます。
株式会社クレア・ライフ・パートナーズが発表したBC20(異なる蒸溜所・種類から抽出された20のサンプルカスクの市場での価値の変動)は、2021 年末最大の伸び率を示しました。
同社ではウイスキーカスクの平均予想年間資本成長率は13.12%と発表しています。
ただし、ボトル投資と比べ量が多くカスクを適切に保管・管理する必要がありますので高リスク・高リターンの投資方法といえます。
カスクの保管・維持管理は日本国内だけではなく、欧米の蒸留所で行うこともあります。
ウイスキー投資のメリット・デメリット
ウイスキー投資のメリット
ウイスキー投資は、上記のとおり成長率が高く高値での売却が期待できます。ただし、Rare Whisky 101の調査結果を見ると近年のピークは2022年後半で、2023年に入ってからは価格が下落傾向にあります。
個人でもアプリなどで売却が可能で、ウイスキーが好きな方にとっては、趣味と実益を兼ねた投資という魅力もあります。
ウイスキー投資のデメリット
ウイスキーは、適切に保管しないと資産価値が下がってしまいます。
また、今後ウイスキーそのものの価値が下がる可能性もあります。
ヴィンテージウイスキーの需要はウイスキーを好む富裕層に限定されていますので、買い手が付かないと売却ができないというデメリットもあります。
株や債券などは投資する際にデータや数値が豊富で一定の指標が存在しますが、ウイスキー投資は新しい投資手法ですので明確な根拠が得られない可能性がある点もデメリットとなるでしょう。
「理論的に納得しないと投資したくない(または保有し続けることが難しい)」という方にとっては、おすすめできない投資と言えます。
ウイスキー投資のリスク・注意点
オーナーに不利な契約を持ちかけられることも
ウイスキーのカスク(樽)投資をする場合は、専門業者と契約を交わします。
業者の中には、十分な説明をせずオーナーに不利な契約をもちかける所もありますので注意しましょう。
カスク(樽)は、保管中に漏れており量が減ったという事例があります。保管場所で自然災害が起こり破損してしまうリスクもあります。
また、業者が倒産するリスクなども想定されます。
ウイスキー投資にあたってチェックすべきポイントとは
ウイスキー投資をする際には、ウイスキーの品質や成長率、価格・ブランドなどについて市場調査を行い購入するウイスキーを選ぶよう心がけましょう。
カスク(樽)投資をする方は、業者選びに加え保管場所の立地や設備も重要なポイントです。
また、近年ワールド・ウイスキー・アワードなどウイスキーのコンペティションで日本のウイスキーの受賞が多く人気が高まっています。
サントリーの山崎・響・白州、ニッカウヰスキーの竹鶴ピュアモルトなどが受賞しています。
国内のウイスキーは、海外より手に入りやすいためまずは価格を調べてみるのも良いでしょう。
免許がいることも
酒類を継続的に販売する場合などには、酒類小売業免許が必要となる可能性があります。
インターネットで売買するケースでも、「通信販売酒類小売業免許」が必要となるケースがありますのであらかじめ調べておきましょう。
アプリでもウイスキー投資ができる
2024年4月12日現在、ウイスキーの売買ができるアプリや、自身が好きなウイスキーをAIで診断して購入できるアプリ、ウイスキーをNFT(非代替性トークン)として投資するアプリなどがあります。
ウイスキーの売買ができるアプリ「DEPO」は、取引価格の参考にもなります。気になる方はチェックしてみましょう。
まとめ
この記事でウイスキー投資のメリット・デメリットに加え、リスクや注意点を把握し慎重に検討していきましょう。