「デジタル・フロンティア:マインクラフト、フォートナイト、ロブロックス:ゲーム経済圏の覇者たちの戦い」 | MONEYIZM
 

「デジタル・フロンティア:マインクラフト、フォートナイト、ロブロックス:ゲーム経済圏の覇者たちの戦い」

ゲームを遊びながら稼ぐ「Play-To-Earn」の時代に突入し、ゲーム内でお金を稼ぐと聞いても、そんな生き方があることが浸透しつつあるように思います。
たとえばゲームのダンジョン内でアイテムを売って稼ぐことも、購入することもできる。
この構造は現実世界と変わらず、すでにゲーム内に農民、商人、職人のような役割を持ったプレイヤーがお金をやり取りしているのです。つまりゲームのなかで収入のほとんどを得ているプレイヤーにとっては、ゲームのなかこそ現実世界といえるのかもしれません。
そこで今回はZ世代にとっては当たり前の「ゲーム経済圏」について考察していきます。

「MMORPGという新たなゲーム体験」

<世界で最も売れたゲームはマインクラフト>

2024年現在、世界3大ゲームといえば「マインクラフト」「フォートナイト」「ロブロックス」です。これら3つは、単に「ゲーム」というにはあまりに巨大すぎるメディアであり、将来的にはGAFAMなどのWeb2時代のプラットフォーム企業を凌駕するほどの可能性が指摘されています。ちなみにWeb2とは、2000年代初頭から中頃にかけてのインターネットの進化を表しています。これは、従来の静的なウェブサイトから、ユーザー参加や相互作用が重視されるようになった時代を指します。
マインクラフトは現在、驚異的な規模でプレイヤーを魅了し、その規模はますます拡大しています。デイリーユーザーは約320万人、毎月約1.7億人がこの仮想空間でプレイしており、これは1つの国家のような規模となっています。
ちなみに1.7億人という数字は、世界人口ランキング(2023年時点)8位のバングラデシュを抜き、7位のブラジルに肉薄しています。
マインクラフトのプレイヤー増加率は非常に高く、2016年は約4,000万人だったところが、コロナ前の2019年には9,000万人に急増。そして、最新の2022年には1.7億人にまで膨れ上がり、わずか6年で4倍以上の成長を遂げました。
ちなみに月間のプレイヤー人口はフォートナイトが約8,330万人、ロブロックスが約2億人となっており、これらも大規模なプレイヤー層を有しています。しかし、マインクラフトの成長率と規模は特に注目に値するものであり、世界で最も売れたゲームとして、今後もベンチマークされる存在であり続けるでしょう。

<長期間プレイされるゲーム>

マインクラフトのように、1つのゲームが長く継続的にプレイされる要因となっているのが「MMORPG(マッシブリー・マルチプレイヤー・オンライン・ロールプレイングゲーム)」です。
MMORPGではゲーム世界がプレイヤーの存在に依存せずに存在し、時間が絶え間なく流れているという独特の要素があります。
この特異性は、MMORPGが他のゲーム形式とは一線を画すものとなっており、プレイヤーたちに独自のゲーム体験を提供しています。プレイヤーは他のメンバーとの連携や個々の成長を通じて、持続的な世界での冒険を楽しむことができます。一方で、従来のマルチプレイヤーゲームでは試合ごとにゲーム情報がリセットされるため、MMORPGのような持続性は得られません。
MMORPG特有の要素がプレイヤーたちにより深いゲーム体験をもたらし、仮想世界での冒険がよりリアルかつ持続的なものとなっています。
この独自性が、多くのゲーム愛好者を引き寄せている一因といえるでしょう。
 

日本のゲーム会社では、近年、スクウェア・エニックスの好業績は2010年9月30日に発売された「ファイナルファンタジー14(FF14)」が大きな要因となっています。驚くべきことに、FF14以後に発売された「ファイナルファンタジー15」や「ファイナルファンタジー16」のあとにも関わらず、FF14は発売から13年以上を経た現在でもプレイされています。
その理由は、仲間内でカジュアルにプレイができるコンテンツがゲーム内に揃っており、のんびりプレイしたい層にも支持されていることにあり、これは任天堂の「あつまれ どうぶつの森」や「スプラトゥーン」などのヒット作にも共通しているといわれます。

<ゲーム配信プラットフォームTwitch>

ゲーム経済圏拡大の担い手として、動画配信プラットフォームの存在は欠かせません。
なかでもアマゾンが運営するTwitchは主にゲーム実況やライブ配信サービスであり、現在、世界トップのゲーム配信プラットフォームです。
このサービスでは、ユーザーが自分のゲームプレイや日常の活動をライブで配信し、視聴者はその配信をリアルタイムで観覧できます。
Twitchはゲーマーたちがプレイ中のゲームにコメントを残したり、ライブチャットでコミュニケーションをとることができるため、リアルな対話やコミュニティの形成が特徴的です。
月間利用者は1億人(配信者は700万人)を超え、様々なジャンルやコンテンツクリエイターが参加しています。
視聴者は好きな配信者をフォローし、その配信を各々に視聴しています。
また、Twitchはゲーム以外のコンテンツも増えており、アートや音楽、トークショーなど、幅広いジャンルのクリエイターが活動しています。
このTwitch上でゲーム配信者が100万人以上を超えるゲームは8本あり、配信者数ではフォートナイトが最も多い375万人です(2023年1月時点)。
かつてネットフリックス共同創業者のリード・ヘイスティング氏は、顧客獲得競争における最大のライバルはビデオゲームだと発言してきましたが、それが現実になっているともいえるでしょう。なぜなら瞬間的には映画やドラマの視聴者数が伸びることはあっても、数ヶ月単位で見ていくと、継続性では人気ゲームに軍配が上がるからです。
MMORPGとゲーム配信の掛け合わせにより、ゲームをプレイするだけでなく、ゲーム配信やゲームを視聴して楽しむ層が日々誕生しているのです。

<マインクラフトの成功はマイクロソフトのテコ入れにある>

マインクラフトの制作会社Mojang社が2014年末に25億ドルでマイクロソフトに買収された際には、多くの論議が巻き起こりました。2011年には元FacebookCEOのショーン・パーカーからの出資を辞退していた経緯があり、その後の大手企業への売却に疑問符がつけられました。
しかし、ビジネス的な視点では、マイクロソフト傘下での展開がマインクラフトにとってプラスとなりました。買収後の2015年以降、特に中国語圏への進出が急速に進み、2017年以降の飛躍は目覚ましいものでした。Mojang社は2019年6月期で10億ドルを超える収益を達成し、ユーザー数も1億人を超える成功を収めました。
この成果には、特にXboxゲームとの協力や、文教エリアへの進出による教育コンテンツが寄与しました。また、Windows展開のために長年中国市場に進出してきた政治力やネットワーク力も買収後に生かされ、Mojang社は買収前の3倍に成長しました。この事例は、IPOよりもExitがベストシナリオだったという稀な成功例として注目されています。

<暗号通貨とサンドボックス、ディセントラランド>

暗号通貨のブロックチェーンを基盤にしたNFTゲームであるサンドボックスやディセントラランドも注目です。
たとえばマインクラフトの場合、プレイヤーが各々にマップを作りプレイしますが、サンドボックスの場合、マップ自体は決まっています。いいかえれば有限の土地が仮想世界にあるということです。つまりゲーム内の土地を区画に分けて販売しているのです。
すでにグローバル企業やミュージシャンやタレントなどがサンドボックス内の土地LANDを購入しています。
日本企業ではスクウェア・エニックスなどが進出しています。
またディセントラランドではJPモルガンがラウンジを開設しており、そのほかにもビッグメゾンが参加するメタバースファッションウィークがこれまで開催されてきました。
ちなみに暗号通貨SAND(サンド)はサンドボックスで使用され、暗号通貨MANA(マナ)はディセントラランドで使用されます。
今後2年以内にサンドボックスはインドを最大の市場にすることを目指しており、NFTゲームがどのように拡大していくのか、さらに注目が集まることになるでしょう。

<仮想空間サービスの経済規模>

2024年現在の正確な経済規模を提供することは難しいですが、各ゲームやプラットフォームの成功や収益性についての一般的な情報を以下にまとめます。
 

【マインクラフト】

累計販売本数: PC版が2.38億個、モバイル版が1.3億個(2022年時点)
収益: 2019年6月期でMojang社が10億ドルを超える収益を記録(現在はマイクロソフト傘下)
ユーザー数: 2019年時点で1億人以上

【フォートナイト】

ユーザー数: 2022年時点で毎月8330万人
収益: Epic Gamesが販売するFortniteは具体的な数字は提供されていませんが、2021年の売上は58億ドルを超えているといわれます。
 

【ロブロックス】

ユーザー数: 2022年時点で2億人以上
収益:約22.3億ドル(ニューヨーク証券取引所に上場)
 

【サンドボックス】

経済規模: 具体的な数字は提供されていませんが、The Sandboxは仮想空間内での仮想アセットの取引や土地の販売を通じて経済活動が行われています。  
また共同創設者のボルジェ氏は2021年末のインタビューで、仮想土地取引のブームにより、2019年以降のサンドボックスの総売り上げは2億1100万ドルに達したと発言しています。
      

【ディセントラランド 】

経済規模: 具体的な数字は提供されていませんが、ディセントラランドは仮想現実空間での土地の所有権やバーチャルアイテムの取引を通じて経済的な活動が行われており、CNBCが引用したMetaMetric Solutionsのデータによると、2021年の売上高は5億ドルを超えたという報道もあります。

まとめ

ゲーム業界の経済圏の拡大は各ゲームやプラットフォームの成功事例からその成長が伺えます。マインクラフトやフォートナイト、ロブロックスなどは膨大なユーザー数と収益を誇り、新たなプレイヤーや投資家の注目を集めています。
ゲーム経済圏は今後も進化し続け、仮想空間が現実社会と密接に結びつく新たなビジネスモデルが生まれることが期待されます。

鈴木林太郎
金融ライター、個人投資家。資産運用とアーティスト作品の収集がライフワーク。どちらも長期投資を前提に、成長していく過程を眺めるのがモットー。Webメディアを中心に米国株にまつわる記事の執筆多数。