【2024年】個人事業主・小規模事業者向け補助金・助成金3選!申請するメリット・デメリットも | MONEYIZM
 

【2024年】個人事業主・小規模事業者向け補助金・助成金3選!申請するメリット・デメリットも

この記事の監修者
河鍋公認会計士・税理士事務所
代表 河鍋 優寛(税理士・公認会計士)

「ITツール導入など設備投資を検討しているものの、費用が気になる」という事業者は多いのではないでしょうか。
コストがネックになっている場合は、補助金・助成金を活用することで費用負担の軽減が期待できるというメリットがあります。一方で、補助金は必ず支給されるとは限らない、申請に手間と時間がかかるというデメリットも生じます。
 

今回は個人事業主・小規模事業者・中小企業が申請できる補助金・助成金一覧、補助金・助成金・給付金の違いと補助金・助成金3選、メリット・デメリットを解説していきます。
 

個人事業主・小規模事業者が申請できる補助金・助成金・給付金とは

個人事業主・小規模事業者が申請できる補助金・助成金一覧

個人事業主・小規模事業者が申請できる、主な補助金・助成金は以下のとおりです。
 

補助金・助成金の種類 目的・概要 対象となる事業者・個人事業主
IT導入補助金 ITツール導入を支援する補助金 法人登記を行い、国内で事業を営む法人または個人
小規模事業者持続化補助金 小規模事業者の業務効率化や販路拡大などの取り組みを支援 商工会議所の管轄地域で事業を営んでいる小規模事業者
ものづくり補助金 中小企業・小規模事業者が取り組む革新的な製品・サービスの開発、生産プロセスの省力化を行い、生産性を向上させるための設備投資などを支援 日本国内に本社および補助事業の実施場所を有する一定の業種の中小企業または小規模事業者
事業再構築補助金 新型コロナウイルス感染症の影響を受けている事業者・ポストコロナに対応した事業再構築を行う事業者を重点的に支援 「事業再構築」の定義に該当する事業である、 補助事業終了後3~5年で付加価値額の年平均成長率3~5%(事業類型により異なる)以上増加などを達成した事業者
雇用調整助成金 経済的な理由により事業活動を縮小した事業主が、休業・教育訓練・出向などで労働者の雇用の維持を図った場合に、休業手当・賃金などの一部を助成する 雇用保険の適用事業主である、売上高などの事業活動を示す指標の直近3カ月間月平均値が前年同期に比べて10%以上減少している、実施する雇用調整が一定の基準を満たすなどの要件を満たしている事業者
記事監修者からの
ワンポイントアドバイス
この中でも特に「事業再構築補助金」は補助金額が高いため、採択されれば非常に有利に事業を進めることができます。ただし、直近の第11回公募では採択率が26.5%とかなり低くなっているため十分な対策が必須です。私の申請支援も採択実績が多いのがこの事業再構築補助金です。
河鍋公認会計士・税理士事務所代表 河鍋 優寛

上4つは補助金ですが、雇用調整助成金は助成金という違いがあります。コロナ禍には持続化給付金が支給されましたが、補助金・助成金・給付金にはどのような違いがあるのでしょうか?
 

補助金・助成金・給付金の違い

補助金・助成金は、国・地方自治体・民間の団体などから支給されるお金で申請や審査が必要です。
 

助成金は、一定の要件を満たせば受給できるものが多いです。
例えば「雇用調整助成金」は要件を満たしており、所定の方法で申請を行うことで給付されます。
 

一方、補助金は要件を満たし申請を行っても必ず受給できる訳ではありません。
採択件数や金額があらかじめ決まっているものが多いため、申請件数が採択予定件数を超えてしまうと給付されない場合もあります。
「補助金」と「助成金」は、明確に区別されて使用されているとは限りません。
制度の内容や応募要項をよく読んだ上で申請を行いましょう。
 

給付金は、一定の要件を満たし申請をすると給付されるお金です。返済は不要です。
 

「持続化給付金」は終了

新型コロナウイルス感染症拡大により、事業継続が困難な事業者に対して給付される「持続化給付金」は2021年2月15日で申請の受け付けを終了しました。
 

個人事業主・小規模事業者が申請できる補助金・助成金3選

IT導入補助金

IT導入補助金は、ITツールを導入する事業者を支援する補助金です。
2024年5月現在、①通常枠、②インボイス枠(インボイス対応類型)、③インボイス枠(電子取引類型)、④セキュリティ対策推進枠、⑤複数社連携IT導入枠の5つがあります。
 

概要 補助率・補助額
通常枠 事業のデジタル化を目的としたソフトウェアやシステムの導入を支援 補助率1/2以内
補助額
1プロセス以上
5万円以上150万円未満
4プロセス以上
150万円以上450万円以下
法人登記を行い、国内で事業を営む法人または個人
インボイス枠
(インボイス対応類型)
インボイス制度に対応できる会計ソフト、受発注ソフト、決済ソフト、PC・ハードウェアなどの導入を支援 例:インボイス制度に対応した会計・受発注・決済ソフト
補助率
中小企業3/4以内、小規模事業者4/5以内
補助額
50万円以下
インボイス枠
(電子取引類型)
インボイス制度に対応した受発注システムを導入する事業者を支援 補助率
中小企業・小規模事業者など2/3以内、その他事業者など1/2以内
補助額
350万円以下
セキュリティ対策推進枠 サイバー攻撃事案の増加により高まる潜在リスクの低減策を支援 補助率
1/2以内
補助額
5万円以上100万円以下
複数社連携IT導入枠 複数の中小企業・小規模事業者が連携してITツール・ハードウェアを導入する「地域DX」の実現、生産性の向上を図る取り組みを支援 導入する補助対象(ソフトウェア・ハードウェアなど)によって補助率・補助金が異なる

まずは公募要領などをよく確認し、所定のアカウント取得と「SECURITY ACTION」宣言の実施、「みらデジ経営チェック」の実施を行ってから補助金の交付申請を行う準備として、自社の業種や事業規模、経営課題などに沿ったITツールを選定し導入を検討します。
詳しくは公式サイトをチェックしましょう。
 

小規模事業者持続化補助金

小規模事業者持続化補助金は、小規模事業者・一定の要件を満たす特定非営利活動法人が働き方改革や被用者保険の適用拡大、賃上げ、インボイス制度の導入などに対応するため、小規模事業者自らが作成した持続的な経営に向けた経営計画に基づく取り組みの経費を補助するものです。
 

2023年は3回に分けて実施されました。それぞれ申請書類や事業支援計画書発行の受け付け締め切り日が定められていますので、あらかじめスケジュールを確認しておきましょう。
 

2023年3月に申請受け付けがスタートした小規模事業者持続化補助金(一般型)第13回 の公募では、補助上限額が50万円で補助率は2/3でした。
対象経費は機械装置等費、広報費、ウェブサイト関連費、開発費、資料購入費などです。
一般型の他に賃金引上げ枠・卒業枠・後継者支援枠・創業枠もあります。
 

記事監修者からの
ワンポイントアドバイス
小規模事業者持続化補助金は他の補助金に比べると補助上限額は少ないですが、事業者の中では知名度も高く、実際に支給を受けている方も多いため、要件を満たしていれば申請を検討してみましょう。
河鍋公認会計士・税理士事務所代表 河鍋 優寛

ものづくり補助金(ものづくり・商業・サービス生産性向上促進補助金)

ものづくり補助金(ものづくり・商業・サービス生産性向上促進補助金)は、2020年の公募開始以来、通年で公募を行っています。
申請を行い採択されると補助金が交付されます。
小規模事業者・中小企業などが今後の制度変更(働き方改革や被用者保険の適用拡大、賃上げなど)に対応するために取り組む革新的な製品・サービスの開発、生産性を向上させるための設備投資などを支援し、経費の一部を補助します。
 

2024年3月末までが申請期間の18次締め切り分の公募要領は以下のとおりです。
 

出典:全国中小企業団体中央会「ものづくり補助金総合サイト ものづくり・商業・サービス生産性向上促進事業 公募要領(18次締切分)1.1版」
 

個人事業主・小規模事業者が補助金・助成金を申請するメリット・デメリット

個人事業主・小規模事業者が補助金・助成金を申請するメリット

個人事業主・小規模事業者に補助金・助成金が給付されると、ITツール導入や設備投資など事業の必要経費に充てることが可能です。
特に助成金は、一定の要件を満たし申請すると基本的に給付されますので補助金のように「給付されるか分からない」という心配はありません。
 

事業用ローンのように返済は不要です。
補助金に採択されると「○○補助金採択事業」と掲げることにより、顧客からの信頼性が高まる可能性があります。

記事監修者からの
ワンポイントアドバイス
補助金や助成金が入金されたときは返済しなくて良いため、資金繰りが改善するメリットもあります。ただし、その分申請とその後の事務処理は大変などのデメリットもあります。
河鍋公認会計士・税理士事務所代表 河鍋 優寛

個人事業主・小規模事業者が補助金・助成金を申請するデメリット

補助金・助成金を申請するためには、まず制度の概要を理解し要件を満たすか確認してから申請書類などを作成します。
関連書類を作成する必要もあり、申請に時間と手間がかかるというデメリットがあります。
 

支給までに時間がかかる、補助金は審査に落ちると支給されないという点もデメリットといえるでしょう。

記事監修者からの
ワンポイントアドバイス
上記に加えて、補助金は後払いのものが大半であることもデメリットです。例えば総額300万円の事業で1/3の補助がある場合は、まず自分(自社)もしくは借入で300万円を捻出して支出する必要があります。補助金の100万円を充てにして、当初200万円だけ用意して事業を進めることはできないのです。
河鍋公認会計士・税理士事務所代表 河鍋 優寛

個人事業主が利用できる減免制度・軽減措置も

世帯の所得が一定の基準を下回る場合には、所得に応じて国民健康保険料が軽減される措置があります。
また、災害・病気・失業といった特別な事情により国民健康保険料を納めることが困難と認められる場合は、減免される場合があります。
 

気になる方は、役所に問い合わせてみましょう。
 

まとめ

個人事業主・小規模事業者が申請できる補助金・助成金を解説してきました。気になる方は、公式サイトをチェックし申請を検討してみましょう。
 

記事監修者 河鍋税理士からのワンポイントアドバイス

補助金も助成金も基本的に返済不要で、それぞれの制度で定められた用途で使用することができますが、補助金は要件を満たすだけでは足らず、審査があるという内容を解説してきました。
これ以外にも、補助事業期間を意識した経費の支出や他の補助金や助成金と併用できないものもあるなどの特殊事項も考える必要があります。
さらに、無事採択されてもすぐに入金があるわけではなく、基本的に事業を一定期間進めて報告書や支払証憑などを提出して初めて入金がされる場合が多いため、資金スケジュールも注意が必要です。
現在は審査が厳しくなっており採択率も下がっている傾向にありますので、補助金・助成金の申請サポートを得たい方は、認定経営革新等支援機関である税理士に相談されることをお勧めいたします。

田中あさみ
大学在学中に2級FP技能士を取得、会社員を経て金融ライターとして独立。金融・投資・税金・各種制度・法律・不動産など難しいことを分かりやすく解説いたします。米国株・ETFを中心に資産運用中。
この記事の監修者
河鍋公認会計士・税理士事務所
代表 河鍋 優寛(税理士・公認会計士)
大手監査法人、税理士法人で会計監査、相続税申告を数多く担当し、独立。物腰が柔らかく、真面目な30代の若手代表が運営しており、"気軽に"そして"気楽に"相談できる事務所を目指す。個人・法人の税務顧問はもちろん、資産税や株式上場支援まで幅広くサービス提供しており、顧客のベストパートナーとしてあり続ける会計事務所。

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