‟コロナ禍“で消費税などの納税が厳しい そんな場合は、「納税猶予」の検討を! | MONEYIZM
 

‟コロナ禍“で消費税などの納税が厳しい
そんな場合は、「納税猶予」の検討を!

広がる新型コロナウイルス感染症の影響で、今年(2020年)は、所得税の確定申告などの申告・納税期限が延長されています。税務署の人込みでウイルス感染するのも恐怖ですが、ここにきて際立ってきたのが経済への影響です。急に仕事が減って、今税金を納めたら、この先生活していけるか心配だ――。そういう場合には、「納税猶予」の認められる可能性があります。

消費税の納付は、4月16日まで

確定申告の申告期限が延長されたのは、税務署の窓口に手続きのために高齢者を含む多くの人が集まって、ウイルスの感染が拡大しないようにするためでした。

 

申告・納税期限は

 

  • 所得税 3月16日→4月16日(木)
  • 個人事業者の消費税 3月31日→4月16日(木)
  • 贈与税 3月16日→4月16日(木)

 

に変更されました。

 

所得税、贈与税に関しては1ヵ月延びましたが、消費税の納付延長は約半月で、期限はそれらと同じ4月16日ですので、注意してください。

 

なお、これに伴って、税金の口座からの振替日も、次のように延長されています。

 

  • 所得税 4月21日→5月15日(金)
  • 消費税 4月23日→5月19日(火)

 

この振替納税を利用するためには、2020年4月16日までに所轄税務署または口座振替を利用する金融機関に「預金口座振替依頼書」を提出する必要があります。別の言い方をすれば、この手続きをして口座振替にすれば、今年の所得税と消費税の納付は、5月の半ば以降まで延ばすことができることになります。

納税が困難ならば、1年間待ってもらえる

それにしても、今回の新型コロナウイルスによる経済の失速は、急激でした。政府主導のさまざまな活動自粛もあって、影響を受けた法人、個人事業者の方も少なくないと思います。折も折、確定申告や3月決算企業の決算期に当たったわけですが、国税庁は、影響を受けた人たちに対する税負担の軽減策を打ち出しました。

 

国税には、要件を満たせば納税期限を延ばしてもらえる「納税猶予」の仕組みがあります。今回は、その申請があった場合には柔軟に対応するように国税庁が各国税局に通達を出し、ホームページでも、税務署への相談を呼びかけています。

 

「救済策」は、2つあります。1つは、「換価の猶予」(国税徴収法第151条の2)で、国税の滞納により差押えられている財産、あるいは今後差押えの対象になり得る財産の換価処分(公売)を猶予する制度です。要件は以下の通りとなっており、すべてに該当すれば、原則として1年以内に限り、猶予が認められることになっています。

 

  • ① 国税を一時に納付することにより、事業の継続又は生活の維持を困難にするおそれがあると認められること。
  • ② 納付について誠実な意志を有すると認められること。
  • ③ 換価の猶予を受けようとする国税以外の滞納がないこと。
  • ④ 納付すべき国税の納期限から6か月以内に申請書が提出されていること。
  • ⑤ 原則として、担保の提供があること。(担保が不要な場合があります)

 

④の「納期限」は、延長された4月16日です。
また、

 

  • すでに国税の滞納があるような場合でも、税務署長の職権で換価の猶予が受けられる可能性がある。
  • 猶予期間は、原則1年間だが、状況に応じてさらに1年間猶予される場合がある
  • 猶予期間中の延滞税の一部が免除される

 

としています。

「新型コロナに感染した」「休業を余儀なくされた」

また、新型コロナウイルス感染症に関連して、以下のような事情が生じた場合には、「納税の猶予」(国税通則法第46条)が認められる可能性があります。

 

  • (ケース1)災害により財産に相当な損失が生じた場合
    新型コロナウイルス感染症の患者が発生した施設で消毒作業が行われたことにより、備品や棚卸資産を廃棄した場合
  • (ケース2)本人または家族が病気にかかった場合
    納税者本人または生計を同じにする家族が新型コロナウイルス感染症に罹患した場合、国税を一時に納付できない額のうち、医療費や治療費などに付随する費用
  • (ケース3)事業を廃止、または休止した場合
    納税者が営む事業について、やむをえず休廃業した場合、国税を一時に納付できない額のうち、休廃業に関して生じた損失や費用に相当する金額
  • (ケース4)事業に著しい損失を受けた場合
    納税者が営む事業について、利益の減少などにより、著しい損失を被った場合、国税を一時に納付できない額のうち、受けた損害額に相当する金額

 

これが認められると、猶予期間中の延滞税の全部または一部が免除されます。ちなみに、さきほどの「換価の猶予」も含めて、申請手続きは、診断書や収支明細書といった添付書類を不要にするなど、通常時に比べて大幅に簡略化されているようです。資産の差し押さえや売却を避け、延滞税も軽減、さらには担保の差し入れについても、難しい場合には不要とした上で納税を猶予し、納税者の事業の継続をサポートしようというわけです。

これを機に、「電子申告」を考える

最初に説明したように、そもそも所得税の確定申告などの期限が延長されたのは、税務署の窓口に納税者が集中する環境を避けるためでした。ただ、延長された期限が近づくこれからは、やはり窓口が込み合う可能性があります。

 

わざわざ税務署まで出かけなくても申告できるのが「e-Tax」(電子申告)です。パソコンやスマホはちょっと、と思っていた方も、これを機に「乗り換え」を検討してみてはいかがでしょうか。

まとめ

新型コロナウイルス感染症の影響で納税が困難な場合には、通常時よりも手続きが簡略化された「納税猶予」を申請することができます。まずは、近くの税務署、税理士にご相談ください。

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