「雇用調整助成金」の特例措置が、さらに拡充
申請も簡略化が図られます ~「新型コロナ」対策~

「雇用調整助成金」の特例措置が、さらに拡充  申請も簡略化が図られます ~「新型コロナ」対策~
公開日:
2020/04/28
 
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「新型コロナ」の影響で雇用不安が広がる中、厚生労働省は、「雇用調整助成金」の拡充方針を打ち出しています。4月25日に発表された新たな拡充策の概要では、中小企業が労働者に100%の休業手当を支払う場合でも、会社の負担は6%で済むことになりました。さらに、該当要件も緩和され、煩雑さが批判されている手続きの簡略化も図られる予定です。ポイントをまとめました。(4月26日現在の情報です)

「休業手当60%」も「100%」も、会社負担は同額に

「雇用調整助成金」とは、経済上の理由により、事業活動の縮小を余儀なくされた事業主が、雇用の維持を図るために従業員に支払う休業手当に要した費用を、国が助成する制度です。「新型コロナ」の感染拡大の影響を受けて経済が冷え込み、業績悪化から従業員を解雇せざるを得ない状況に追い込まれる企業が増加している現状を受けて、国は特例を設けて、この助成を受けやすくするとともに、中身についても拡充を図りました。

 

今回、それをさらに一歩進めた措置が発表されました。助成内容(中小企業の場合)から見ていきましょう。今回の拡充は、二段階になっています。

【拡充1】休業手当の支払い率60%超の部分の助成率を特例的に10/10とする

下記図を参照してください。

 

引用:厚生労働省ホームページ

 

業績の悪化など「使用者の責めに帰すべき事由」で従業員を休業させる場合には、会社は、平均賃金の60%以上の休業手当を支給することが義務付けられています。現行では、①会社が、休業手当を法定限度である「平均賃金の60%」支払う場合、雇用調整助成金でその90%が補助されます。この場合、「会社負担は平均賃金の6%、従業員が受け取れるのは、平均賃金の60%分」ということになります。

 

一方、②会社が、休業手当で平均賃金の100%を「保障」する場合には、現行ではその90%が助成されます。つまり「従業員が平均賃金を100%受け取るためには、会社がその10%を負担する必要がある」ということです。

 

これに対して、③今回の新たな拡充策では、「休業手当として平均賃金の100%を支払う場合、その60%を超える部分の助成率を100%とする」ことが盛り込まれました。法定内の60%の部分を90%助成+残りの40%は全額助成=会社負担は、①と同じく「平均賃金の6%」でいいことになりました。言い方を変えると、60%の休業手当でも100%支払っても、会社負担は同じ、ということになりました。

 

会社としては、十分な手当を支給することにより、従業員の生活を保障し、「休業明け」までつなぎ留めておけるというメリットがあるでしょう。多く手当をもらえる従業員にとっては、もちろん願ったり叶ったりです。

【拡充2】1のうち一定の要件を満たす場合は、休業手当全体の助成率を特例的に10/10とする

さらに、休業要請を受けた中小企業が解雇などを行わずに雇用を維持している場合、以下の要件を満たせば、休業手当分が100%助成されることになりました。

 

  • ●新型インフルエンザ等対策特別措置法などに基づいて都道府県対策本部長が行う要請により、休業または営業時間の短縮を求められた対象施設を運営する事業主で、これに協力して休業などを行っている
  • ●以下のいずれかに該当する手当を支払っている
    • 労働省の休業に対して100%の休業手当を支払っている
    • 上限額(8,330円)以上の休業手当を支払っている(支払率60%以上である場合に限る)

 

拡充の1、2とも、教育訓練を行わせた場合も同様。ただし、助成は、対象労働者1人1日当たり8,330円が上限となっています。

申請書の記載事項を半分に

助成金の受給の要件も、さらに緩和されます。従来、新型コロナの影響を受ける事業主で、最近1ヵ月の販売量、売上高などの事業活動を示す指標(生産指標)が、前年同期に比べ10%以上減少していることが必要でした。これが、緊急対応期間である2020年4月1日から同6月30日までの間は、「前年同月比5%減少」でいいことになりました。

 

また、すでに始まっている申請において「手続きに時間がかかりすぎる」といった批判が出ていることにも対応し、その簡略化などが図られます。公表されているのは、以下のような改善です。

◆申請書の記載事項を約5割削減
  • 73事項→38事項に削減
  • 残業相殺制度を当面停止(残業時間の記載不要に)
  • 自動計算機能付き様式の導入により記載事項を大幅に削減
◆記載事項の大幅な簡略化
  • 日ごとの休業等の実績は記載不要(合計日数のみで可)
  • ◆添付書類の削減
    • 資本額の確認の「履歴事項全部証明書」等を廃止
    • 休業協定書の労働者個人ごとの「委任状」を廃止
    • 資本総額の確認のための「確定保険料申告書」を廃止
    ◆添付書類は既存書類で可に
    • 生産指標→「売上」が分かる既存の書類で可
    • 出勤簿や給与台帳でなくても、手書きのシフト表や給与明細でも可
    ◆計画届は事後提出可能
    • すでに休業を実施し、休業手当を支給している場合でも、6月30日までは事後提出できる

    まとめ

    経営者、労働者双方にとってメリットがある雇用調整助成金の特例措置の拡充が決まりました。厚生労働省は、「5月上旬頃をめどに詳細を発表する」としています。

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