資金繰りに困ったらセーフティネットの貸付や
保証制度の利用を検討しよう

資金繰りに困ったらセーフティネットの貸付や  保証制度の利用を検討しよう
公開日:
2020/06/05
 
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法人や個人事業主が事業を行っていく中では、資金繰りに困ることもあります。カードローンなどを利用して一時的な資金不足をしのぐ場合もありますが、できれば公的な機関からより安全な貸付や保証を利用したいものです。そこで、資金繰りに困ったときに利用したい、セーフティネットの貸付や保証についてご紹介します。

セーフティネットの貸付や保証とは

法人や個人事業主が事業を行っていく中で資金繰りに困ったときには、銀行などの金融機関から融資を受けます。しかし、金融機関によって利率が異なったり、条件が合わなかったりしてなかなか借り入れができない場合もあります。

 

そんなときに利用したいのが、セーフティネットです。セーフティネットとは政府が行う社会保障のことで、網の目のように救済策を張ることからその名が付きました。政府が後ろ盾になっているので、安心して融資が受けられます。セーフティネットには、貸付と保証の2つがあります。

 

では、セーフティネット貸付とセーフティネット保証にはどのような違いがあるのでしょうか。セーフティネット貸付とは、100%政府出資の政策金融機関である、日本政策金融公庫が行う融資です。

 

セーフティネット保証とは、中小企業や小規模事業者の資金繰りを円滑にするために設立された公的機関である信用保証協会が、融資を受けやすくするために、銀行などの金融機関に保証をすることです。

 

どちらも融資などを受ける際には、一定の条件が必要となります。次からは、セーフティネット貸付とセーフティネット保証それぞれの条件等について詳しく見ていきます。

セーフティネット貸付とは

セーフティネット貸付には「経営環境変化対応資金」「金融環境変化対応資金」「取引企業倒産対応資金」の3つがあります。それぞれで次のように条件が異なります。

①経営環境変化対応資金

経営環境変化対応資金とは、社会的、経済的環境の変化などの外的要因により、一時的に売上の減少といった業況悪化をきたしているが、中長期の将来的にはその業況が回復し発展することが見込まれる場合に融資を受けられる制度です。

 

最近の決算期における売上高が前期または前々期と比べて5%以上減少しているなど、融資には一定の条件があります。融資内容は、次のとおりです。

 

  • 目的:設備資金または運転資金
  • 融資限度額:個人企業・小規模事業者 4,800万円
          中小企業 7億2,000万円
  • 融資期間:設備資金 15年以内(うち据置期間3年以内)
         運転資金 8年以内(うち据置期間3年以内)
  • 保証人・担保:応相談
  • 利率:基準利率(一定の条件を満たした場合には特別利率の適用あり)

 

詳細は以下のページをご参照ください。

②金融環境変化対応資金

金融環境変化対応資金とは、金融機関との取引状況などの変化により、一時的に資金不足など、資金繰りがうまくいかなくなったときに、中長期の将来的には資金繰りが改善し経営が安定することが見込まれる場合に融資を受けられる制度です。

 

取引金融機関が実質的に経営破綻の状態等にある場合や、取引金融機関から借入残高の減少や借入金利の引上げなどが求められているなど、融資には一定の条件があります。融資内容は、次のとおりです。

 

  • 目的:設備資金または金融機関との取引状況の変化に伴い必要となる運転資金
  • 融資限度額:個人企業・小規模事業者 別枠4,000万円
          中小企業 別枠3億円
  • 融資期間:設備資金 15年以内(うち据置期間3年以内)
         運転資金 8年以内(うち据置期間3年以内)
  • 保証人・担保:応相談
  • 利率:基準利率(一定の条件を満たした場合には特別利率の適用あり)

 

詳細は以下のページをご参照ください。

③取引企業倒産対応資金

取引企業倒産対応資金とは、取引企業など関連企業の倒産により経営が困難に陥っている場合に融資を受けられる制度です。

 

倒産した企業に対して50万円以上の売掛金債権を有している、倒産した企業に対する取引依存度が20%以上であるなど、融資には一定の条件があります。融資内容は、次のとおりです。

 

  • 目的:緊急に必要となるまたは企業の運営上一時的に必要となる運転資金
  • 融資限度額:個人企業・小規模事業者 別枠3,000万円
          中小企業 別枠1億5,000万円
  • 融資期間:運転資金 8年以内(うち据置期間3年以内)
         保証人・担保:応相談
  • 利率:基準利率(一定の条件を満たした場合には特別利率の適用あり)

 

詳細は以下のページをご参照ください。

 

上記の融資制度は一般的なものです。各種融資の申し込みは、日本政策金融公庫の支店で行います。これとは別に、新型コロナウイルス感染症のための特別貸付もあります。

新型コロナウイルスの対策として、平日の来店は予約制をとっている場合もあります。

 

新型コロナウイルス感染症に関する相談窓口は日本政策金融公庫のホームページをご参照ください。

セーフティネット保証とは

セーフティネット保証とは、取引先等の再生手続等の申請や事業活動の制限、災害や大規模な経済危機などに陥っている場合に、信用保証協会の保証を受けて、融資を受ける制度です。保証を受ける代わりに、信用保証協会に1%程度の保証料を支払います。

 

この制度を利用するためには、事業所のある市町村の認定を受ける必要があります。

手続きの流れは次のようになります。

 

  • ①事業所のある市町村の商工担当課等の窓口に認定申請書2通を提出
  • ②問題がなければ、市町村から認定を受ける
  • ③希望の金融機関または所在地の信用保証協会に認定書を持参のうえ、保証付き融資を申し込む

 

セーフティネット保証は、該当する要件により1号から8号まで分かれています。次の要件から該当するものを選んで、市町村の認定を受けます。

 

  • 1号 民事再生手続開始の申立等を行った大型倒産の発生により、影響を受けている
  • 2号 取引先企業のリストラ等の事業活動の制限により、売上減少などの影響を受けている
  • 3号 特定地域の突発的災害(事故等)により、売上減少などの影響を受けている特定の業種
  • 4号 特定地域の突発的災害(自然災害等)により、売上減少などの影響を受けている
  • 5号 全国的に業況が悪化している業種
  • 6号 取引金融機関の破綻により資金繰りが悪化している
  • 7号 金融機関の合理化(支店の削減等)により借入が減少している
  • 8号 整理回収機構または産業再生機構に貸付債権が譲渡された再生可能な中小企業者

 

※新型コロナウイルス感染症支援の場合は、4号と5号が該当します。

 

融資内容は、次のとおりです。

 

  • 目的:1号から8号までに該当する場合の設備資金または運転資金
  • 融資限度額:一般保証限度額 2億8,000万円以内
  •       別枠保証限度額 2億8,000万円以内(6号の場合は3億8,000万円以内)

  • 保証期間:10年以内
  • 信用保証料率:おおむね1%以内(信用保証協会や保証制度によって異なる)
  • 保証人:法人の代表者を除き原則不要
  • 担保:応相談
  • 利率:融資を受ける金融機関の基準利率

 

セーフティネット保証では、自分がどの要件に該当するのかを、正確に判断することが重要となります。また、認定書の申請に必要な書類は各市町村によって異なります。認定や融資を申し込む前には、市町村の担当窓口や金融機関などに、事前に相談しておいたほうが良いでしょう。

まとめ

セーフティネット貸付とセーフティネット保証は、政府が出資などをしている公的な機関です。そのため、安心して利用ができ、銀行などの金融機関の融資よりも利率が低かったり、融資が受けやすかったりします。

 

そのため、法人や個人事業主が資金繰りに困った場合には、まずはセーフティネット貸付とセーフティネット保証を受けられるか確認をしましょう。

 

一見、手続きが難しそうに思われますが、相談窓口なども設置されているため、安心して融資を受けることができます。また、セーフティネット貸付、セーフティネット保証のどちらも、新型コロナウイルス感染症の支援策が設けられています。

 

新型コロナウイルスに影響がある場合で、融資を希望する場合も、まず最初にセーフティネット貸付やセーフティネット保証を受けられるかどうか、確認するようにしましょう。

長谷川よう
会計事務所に約14年、会計ソフトメーカーに約4年勤務。個人事業主から法人まで多くのお客さまに接することで得た知見をもとに、記事を読んでくださる方が抱えておられるお困りごとや知っておくべき知識について、なるべく平易な表現でお伝えします。
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