どんな業種に税金の調査が入りやすい?
個人事業主と税務調査

どんな業種に税金の調査が入りやすい?  個人事業主と税務調査
公開日:
2020/05/29
 
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法人だけでなく、もちろん個人事業主でも税務調査はあります。では、税務調査に入るための基準はあるのでしょうか。また、税務調査が入りやすい業種などもあるのでしょうか。

ここでは、個人事業主の業種に焦点をあてながら、税務調査の流れなど、個人事業主と税務調査の関係について詳しく解説します。

税務調査が入りやすい業種とは

まず、個人事業主に対する調査の実態について見ていきましょう。

国税庁では、定期的に個人事業主に対する調査の実態について、公表しています。令和元年11月に公表した「平成30事務年度における所得税及び消費税調査等の状況について」では、税務署の調査官が、実際に納税者の家や事務所などを訪ねて調査を行う「実地調査」の件数が公表されています。

 

平成30年7月から令和元年6月までの間に行った所得税・消費税の実地調査の件数は、合計73,579件でした。前事業年度の件数が72,953件でしたので、対前年比100.9%となっています。毎年、7万件程度、個人事業主への実地調査が行われているのがわかります。

 

また、文書、電話による連絡や来署依頼による面接となると、平成30年7月から令和元年6月までの間で537,076件も行われています。

このことから、個人事業主であっても、税務署との接触が多いのがわかります。

 

次に、業種についても見ていきましょう。こちらも、「平成30事務年度における所得税及び消費税調査等の状況について」の中で、1件当たりの申告漏れ所得金額が高額な業種が公表されています。上位10位までの業種が、次のとおりです。

 

業種 1件当たりの申告漏れ所得金額 1件当たりの追徴税額(含加算税) 前年順位
1 風俗業 2,685万円 727万円 2
2 キャバクラ 2,278万円 497万円 1
3 経営コンサルタント 2,045万円 483万円
4 システムエンジニア 1,339万円 219万円 4
5 特定貨物自動車運送 1,257万円 185万円 12
6 不動産代理仲介 1,189万円 392万円 3
7 貨物軽車両運送 1,186万円 136万円
8 ダンプ運送 1,147万円 165万円 10
9 畜産農業(肉用牛) 1,133 万円 248万円
10 機械部品受託加工 1,119万円 185万円

上位の業種については、もちろん税務署も注視しています。税務調査の入りやすい業種といえるでしょう。

税務調査の注意点とは

ここからは、税務調査の注意点について見ていきましょう。

税務調査が入りやすいケース

「平成30事務年度における所得税及び消費税調査等の状況について」の中で、実地調査(着眼調査)について、次のように記載があります。

「 実地調査(着眼調査)とは、資料情報や申告内容の分析の結果、申告漏れ等が見込まれる個人を対象に実地に臨場して短期間で行う調査」

 

つまり、実地調査の多くが、申告書などの資料を分析した結果行っていることになります。税務調査が入りやすいのは、以下のようなケースです。

①売上が1,000万円以下の状況が続く場合

実は、消費税は2年前の課税売上高が1,000万円を超えた場合に、納税義務が発生します。そこで、脱税の手法として、消費税を納めなくてよいように売上を1,000万円以下で申告しているケースがあります。

こういった手法の場合、売上を過少に申告している場合が多いため、売上が1,000万円以下の状況が続くと税務調査が入りやすくなります。

②現金商売を行っている場合

1件当たりの申告漏れ所得金額が高額な業種を見てきましたが、風俗業やキャバクラなど上位の業種は、現金商売を行っています。

現金商売の場合、売上が通帳などに直接振り込まれることがないため、証拠が残りにくい場合もあります。そのため、税務署も目を光らせており、税務調査が入りやすくなります。

税務調査で必ず確認する事項

個人事業主の場合、税務調査で確認する事項は、業種や規模によって多少の違いはありますが、ある程度決まっています。基本的には、大きな金額の科目を確認し、その後小さな金額の科目を確認していきます。税務調査で必ず確認する事項には、次のようなものがあります。

①売上や仕入

税務調査でまず確認するのが、売上や仕入など金額の大きい科目です。金額の多い科目で申告漏れや金額間違いがあると、当初申告した所得税や消費税の金額も大きく間違っている可能性があるからです。

②プライべートの支出が事業の経費になっていないかどうか

個人事業主の税務調査で特徴的なのが、プライべートの支出が事業の経費になってないかどうかを調べることです。

例えば、プライベートで使っている携帯電話の通信料や、雑貨、遊びに行った交通費や宿泊費が、事業の経費になっていないかどうかなどを調査します。しかし、細かい経費を一つ一つ確認するのは手間です。そのため、事前に申告書で、同業他社に比べて特別に多い金額の経費科目がないかどうかを確認し、あれば、その経費科目の領収書を重点的に調べます。

また、車や自宅兼事務所など、事業とプライベート両方で使っているものについては、水道光熱費や家賃など、支出の全額が経費になっていないかどうかを確認します。事業用の割合が60%など、割合で事業とプライベートに分けている場合は、その事業割合が適切かどうかも確認します。

③固定資産や修繕費

売上や仕入以外に、金額が大きい支出といえば、固定資産の購入や修繕費です。固定資産の場合は、全額を経費にせずに、きちんと固定資産に計上しているかどうかを確認します。

修繕費については、壊れた部分の修理であれば修繕費として経費になりますが、固定資産の価値を高めるものについては、固定資産で処理する必要があります。固定資産で処理すべき修繕を、修繕費として経費処理している場合は、間違いを指摘されます。

税務調査の一般的な流れ

では、税務調査の一般的な流れを見ていきましょう。

①事前通知

税務調査は、通常、いきなり実地調査にくることはありません。まず、税務調査のための日程調整が行われます。税務署から納税者に、税務調査に入りたい旨の電話が入ります。その際に、税務調査に入りたい日付も伝えられます。もちろん、納税者の希望も考慮します。お互いに都合の良い日を決めていきます。

 

顧問税理士がいる場合は、まず税理士に事前連絡が行き、税理士が税務署と納税者の間に入って調査日時を決定します。

②実地調査

事前通知で決定した日になると、税務署員が会社に訪れます。実地調査はおおむね2~3日程度行います。顧問税理士がいる場合には、税務調査に立ち会います。

はじめに、事業の概要や現状について質問があり、その後、帳簿や領収書、請求書などの書類を調べます。実地調査で訪問する税務署の調査官の人数は、1~2人であることが多いです。

実地調査が終われば、次は、問題点などの指摘です。その場で問題点が指摘されるケースもありますが、多くの場合、税務職員が原始資料などを預かり、後に問題点について連絡があります。

③調査結果の連絡

実地調査後、問題があれば、問題点について連絡があります。調査の結果、問題がなければ、その旨の通知があり、税務調査が終了します。

問題点がある場合は、指摘事項や質問が通知されます。指摘事項について再度、納税者側で調査や確認が行われ、質問などに答えていきます。調査の決着がつくまでには、何度か税務署とやりとりをすることになります。

④修正申告

税務調査の指摘を受け、当初確定申告した所得税の金額に間違いがあり、過少に申告していた場合は、修正申告を行います。修正申告書の作成と提出し、追加の税金を納付すれば、税務調査の終了です。

まとめ

今回は税務署の公表資料を基に、個人事業主に対する税務調査の件数や、調査に入りやすい業種などを見てきました。思ったより、税務調査の件数が多いと思われた人も多いでしょう。

 

しかし、普段から正しく帳簿付けをし、正しく確定申告していれば、税務調査は怖くありません。指摘を受けても、意外と少ない金額だったということも多いです。必要以上に税務調査を恐れないためにも、普段から正しい帳簿付けを行いましょう。

長谷川よう
会計事務所に約14年、会計ソフトメーカーに約4年勤務。個人事業主から法人まで多くのお客さまに接することで得た知見をもとに、記事を読んでくださる方が抱えておられるお困りごとや知っておくべき知識について、なるべく平易な表現でお伝えします。
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