コロナ対策の事業者向け「家賃支援給付金」で
不動産オーナーは救われるか?

コロナ対策の事業者向け「家賃支援給付金」で  不動産オーナーは救われるか?
公開日:
2020/06/19
 
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6月12日に参議院本会議で、新型コロナウイルス感染症対策を盛り込んだ政府の第2次補正予算が成立しました。そこで新たに設けられた制度の1つが、売上の急減により家賃の支払いに窮しているテナント事業者を対象とした「家賃支援給付金」です。飲食業をはじめとする事業者にとって、こうした事態で重荷となる家賃の負担軽減は、もちろん朗報に違いありません。ただし、「家賃」で困っているのは、彼らだけではありません。店子からの支払いが滞る家主も、同じ状況に置かれているのです。この「給付金」は、オーナーのピンチも救えるのでしょうか?

法人で上限600万円を給付

家賃支援給付金」は、「新型コロナウイルス感染症の拡大を契機とした自粛要請等によって売上の急減に直面する事業者の事業継続を下支えするため、固定費の中で大きな負担となっている地代、家賃の負担を軽減することを目的として、テナント事業者に対して」(経済産業省)支給されるものです。

 

給付対象になるのは、「中堅企業、中小企業、小規模事業者、個人事業主等」で、今年(2020年)5月~12月の間に、

 

  • ①いずれか1ヵ月の売上高が前年同月比で50%以上減少
  • ②連続する3ヵ月の売上高が前年同期比で30%以上減少

 

のどちらかに該当する場合です。

 

また、給付額は、

 

  • 法人の場合=直近の家賃の2/3(75万円まで)。75万円を超える部分は1/3。1ヵ月の上限額は100万円
  • 個人事業主の場合=直近の家賃の2/3(37.5万円まで)。37.5万円を超える部分は1/3。1ヵ月の上限額は50万円

 

で、いずれも6ヵ月分が支給されます。したがって法人は最高600万円、個人事業主では最高300万円の家賃補助が受けられることになります。

 

報道によれば、給付金の申請は早くて6月末から、支給は7月からになりそう。少しでも早く受給するために、前期と今期の売上が分かる資料などの準備を進めるべきでしょう。それまでの「つなぎ」の資金を確保しておくことも大切です。なお、この制度の詳細については、申請方法などの細部が発表になった後に、あらためて説明したいと思います。

給付金はオーナーまで届く?

ところで、新型コロナ対策で支給される例えば個人向けの「定額給付金」や、中小企業への「持続化給付金」などが、基本的に「使途自由」なのに対して、今回の「家賃支援給付金」は、あくまでも家主に支払う家賃を補助するものです。しかし、振り込まれるお札に、行き先が明示されているわけではありません。現実には、「本当にそこに使われるのか」というシビアな問題が残るのです。

 

盲点になりがちですが、コロナ禍では、テナント事業者だけでなくオーナーも「被害者」です。ローンを組んでいる物件から長期に渡って家賃収入が途絶えたら、「連鎖倒産」の危機に直面することになるかもしれません。

 

さきほども述べたように、この給付金の支給が始まるのは、7月からになりそう。首を長くして待つテナント事業者の置かれる状況は、今よりもさらに悪化している可能性があります。ようやく届いた給付金を、つい他の支払いに充当してしまった、といった事態を懸念する声もあるわけです。

 

そうしたことを避けるため、給付金の申請に当たっては、従来きちんと家賃が支払われてきたのかを通帳の記録などから確認するほか、家主側が給付金の受給を認識できる仕組みなども検討されているようです。ただ、申請を複雑にすると、さらなる支給の遅れにつながったりすることも考えられますから、どれだけ実効性を持った仕組みが作れるのか、現状では不明確です。

 

なお、今回の「家賃支援」をめぐっては、家賃は補助されるのに、自ら土地や建物を購入して事業を営んでいる(例えば自宅兼店舗)場合のローンに対する支援がゼロなのは不公平だ、という指摘もあります。このような問題も含めて、国会でも議論になった第2次補正予算の10兆円の「予備費」などを活用し、新たな救済策が具体化される可能性はあるかもしれません。

家賃の減免分は「損金」にできる

一方、新型コロナ対策の一環として、オーナー向けに税務上の支援策が講じられているのをご存知でしょうか? 入居者の賃料の減額を行った場合、それに合理的な理由がなければ、税務上その減額分は、入居者に対する「寄付」として扱われます。しかし、新型コロナの影響で賃料の支払いが困難になっている入居者に対してその減免を行った場合には、その額を「損金」として処理する(所得から差し引いて申告する)ことができる、と明確化されました。

 

具体的には、

 

  • ①取引先等(入居者)において、新型コロナウイルス感染症に関連して収入が減少し、事業継続が困難となったこと、又は困難となるおそれが明らかであること
  • ②オーナーが行う賃料の減額が、取引先等の復旧支援(営業継続や雇用確保など)を目的 としたものであり、そのことが書面などにより確認できること
  • ③賃料の減額が、取引先等において被害が生じた後、相当の期間(通常の営業活動を 再開するための復旧過程にある期間をいいます。)内に行われたものであること

 

という要件を満たせば、「実質的に取引先等との取引条件の変更と考えられる」とされました。これは、すでに生じた賃料の減免(債権の免除など)を行う場合にも適用されます。

まとめ

家賃支援給付金が、間違いなくオーナーのところにまで届く仕組みが必要でしょう。一方、オーナーが新型コロナが原因で入居者の賃料を減免した場合には、確実に損金処理を行うようにしましょう。

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