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余裕が出てきたら始めよう!
消費税の中間申告のすすめ

年間の消費税額が48万円を超えると消費税の中間申告が必要になります。その際の要件は、前年の消費税額によって変化するため、複雑な制度となっています。今回は、そんな中間申告をわかりやすく整理するとともに、任意中間申告に関しても、どのような人が行うと効果的かなど深く掘り下げていきます。

消費税の中間申告って?

中間申告とは?

個人事業主や法人は通常、課税期間を1年間として年に1回消費税を納めます。その課税期間を細分化して年に数回消費税を納めることを中間納付といい、その際に消費税額を申告することを中間申告といいます。

中間申告の対象者

中間申告の対象者は、地方消費税を含まない前年の消費税の年額が48万円より多い個人事業主と、地方消費税を含まない前事業年度の消費税の年額が48万円より多い法人の事業者となっています。これらに当てはまる方は、必ず中間申告をしなくてはいけないのですが、課税期間の特例制度を適用している事業者は中間申告の必要はありません。
一方で、前年の消費税の年額が48万円以下の事業者の方も任意で中間申告することができるので、それについては後ほど説明します。

中間申告の時期

中間申告の回数と時期は、前年(前事業年度)の消費税の年額によって変わります。

前年(前事業年)の消費税の年額 48万円超~400万円 400万円超~4800万円 4800万円超~
中間申告の回数 年1回 年3回 年11回
中間申告の対象期間(年の事業期間が1月~12月の場合) 1~6月 ①1~3月
②4~6月
③7~9月
毎月
中間申告の納期限(年の事業期間が1月~12月の場合) 8月31日まで ①5月31日まで
②8月31日まで
③11月30日まで
個人事業主:
1~3回目は5月31日まで
4回目以降はおよそ翌々月末日まで
法人:
1回目はおよそ翌々月から2ヶ月以内
2回目以降はおよそ翌々月末日まで

以上の表が中間申告の回数と課税期間と納期限を表したものになります。事業年度が1月~12月の場合を具体例として示しましたが、事業年度の期間が違う場合は、以上の期間をずらして考えてみてください。また、忘れがちですが、前年の消費税額によって回数や期間は変わってきますので、どの区分にあてはまるのかを毎年確認しておく必要があります。

中間申告の納税額

中間申告の納税額を計算するには、2つの方法があります。
1つめは、前年に納めた消費税額を基に算出する、基本的な方法です。中間申告1回の場合は前年(前年度)の消費税の年額の1/2、3回の場合は1/4、11回の場合は1/12が各回の納税額となります。またこれと併せて、ここで求められた消費税の中間納税額の17/63を、地方消費税の中間納税額として毎回納税することになります。
2つめは、例外的な方法です。中間申告の対象期間を1つの課税期間とみなして仮決算を行い、その仮決算に基づいて消費税の税額と地方消費税の税額を求めるというものです。この方法を用いることで、仮決算という手間が増える一方で、業績が悪化した場合などに中間申告の納税額を減らせる可能性があります。しかしこの方法をとった場合、計算した税額がマイナスになっても、税額が0円になるだけで還付を受けることはできません。

中間申告の方法

まず、税務署から「消費税及び地方消費税の中間申告書」と「納付書」が届きます。そこには、先ほど述べた納税額の求め方のうち、前者の方法で求められた納税額が記載されています。もし、その納税額のままで中間申告を行う場合は、必要事項を記入し、「消費税及び地方消費税の中間申告書」を税務署に提出することになります。また、そこに記載された納税額を「納付書」により納付します。仮決算を使って納税額を求める場合には、「消費税及び地方消費税の中間申告書」での納税額を仮決算によって求められた金額に変更し、「納付書」によりその金額を納付することになります。

その他

これらのほかに確認するべきこととして、みなし提出と延滞税があります。
みなし提出は、税務署から届いた「消費税及び地方消費税の中間申告書」を提出期限内に提出しなかった場合に、納税額は、先ほど述べた納税額の2つの計算方法のうち前者の方法で求められた納税額になるというものです。この場合、「消費税及び地方消費税の中間申告書」は提出していませんが、期限内に税金の納付が必須となります。
延滞税は、期限内に中間申告した税金を払わなかった場合にかかる税です。その年や延滞した日数によって違いますが、2.7%ないし9.0%を年額にかけたものが延滞金となります。これは、税金の納付の際に合わせて支払う必要があります。
中間申告すべき消費税の税額になったかどうか、つまり消費税の年額が48万円を超えたかどうかは毎年確認しておかないと、無駄に延滞税などを支払う必要が出てきてしまうこともあるので注意しましょう。

任意中間申告について

任意中間申告の概要

先ほど少し申し上げましたが、前年(前年度)の地方消費税を含まない消費税の年額が48万円以下の事業主の方でも、自主的に中間申告書を提出できることを任意中間申告といいます。
詳細を確認しましょう。この場合の中間申告の回数は年に1回となっています。申告の方法として、まず税務署長に対して任意で中間申告書を提出する旨を記した届出書を提出します。その後、前年(前年度)の地方消費税を含まない消費税の年額が48万円超400万円以内の事業主と同様に、事業年度開始から6ヶ月を対象期間として、事業年度開始から8ヶ月以内に地方消費税とともに消費税を納付します。
税額の計算方法は、先ほど申し上げた中間申告の方法と同様です。
もし、中間申告書提出の届け出を出したにもかかわらず、中間申告書を提出期限までに提出しなかった場合は、任意中間申告の適用をやめようとする届け出があったとみなし、任意中間申告を取り消されることになります。また、納付に関しての延滞税は中間申告同様に存在します。中間申告は期限が重要となってくるので、くれぐれも見落としなどのないよう確認を徹底しましょう。

任意中間申告はどのような人におすすめか?

まずは、任意中間申告のメリットから確認します。
消費税は、納税までに時間のブランクがあるため、その分を考慮せずにその他の運転資金に回してしまうことがありえます。任意中間申告は半年で1度精算することができるため、そのようなことを回避できるというメリットがあります。
また、業績が急に上がった場合などに、一括で納付するのは大きな負担となるため、消費税の納付額を分散する目的として利用できるということも考えられます。
まとめると、経理にあまり手が回っていない事業主や、業績が急上昇した事業主などにおすすめできる制度といえます。

☆ヒント
任意中間申告を行った方が良い場合と行わなくても良い場合の判断は、事業の個別的特徴によっても変わってくるため迷うところです。このような時に、税金関係のプロである税理士に相談してみてはいかがでしょうか。ビスカスでは、税の効果的な管理を得意とした税理士を多数紹介しています。

まとめ

今回は、中間申告と任意中間申告について確認してきました。中間申告は、前年の消費税の年額が影響して、要件が細分化していくため、改めて税の管理の必要性が感じられます。また、任意中間申告に関しては、利用の仕方によってはメリットが得られる制度となっていますので、おすすめに当てはまる人はぜひ利用を検討してみてください。

山本麻衣
東京大学卒。現、同大学院所属。
学生起業、海外企業のインターンなどの経験を経て、外資系のコンサルティング会社に内定。
自分の起業の経験などを踏まえてノウハウなどを解説していきます。
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