個人事業主は、税金の支払いとともに貯金も必要! 貯金する方法とは | MONEYIZM
 

個人事業主は、税金の支払いとともに貯金も必要!
貯金する方法とは

個人事業主にとって、毎年の税金の支払いは重要です。それは節税をしたり、納税のための資金繰りを考えたりする必要があるためです。しかし、税金の支払いだけを考えればよいというわけでありません。貯金をしていくことも重要です。

 

ここでは、個人事業主に貯金が必要である理由や、貯金をする方法について解説します。

個人事業主になぜ貯金が重要か

まず、個人事業主になぜ貯金が重要なのか、その理由について見ていきましょう。個人事業主に貯金が重要な理由には、主に次のふたつがあります。

いざというときのために生活費と経費を用意しておく

個人事業主がまず考えなければならないのが、支払いのことです。事業をしていると、取引先への支払いや家賃などの固定費の支払いなど、毎月多くの支払いがあります。売上などの収入から経費を支払い、残りの資金で生活をしていきます。

 

しかし、万が一、病気やケガで入院したり、災害や新型コロナウイルスのような疫病により、休業しなければならなくなったりした場合は、収入がなくなり、支払いが滞る可能性があります。もちろん生活費も不足することが考えられます。このような事態が起こっても、支払いや生活ができるように、普段から貯金をしておくことが重要です。

 

どれだけの貯金をすればよいのかは、状況にもよりますが、まずは当面の支払いや生活ができるように、3か月分程度の生活費と経費を貯金しておくと安心でしょう。

老後に安心した生活を送るため

個人事業主が考えなければならないお金は、当面の支払いや生活のことだけではありません。仕事を辞めた後、老後に安心した生活を送るための資金についても考えておくことが重要です。

 

よく、老後資金は2,000万円必要といわれますが、実際はどうなのでしょうか。金融庁が管轄する金融審議会の市場ワーキング・グループでは、2019年に「高齢社会における資産形成・管理」という報告書を公表しています。この中で、公的年金だけの場合、老後に20年で約1,300万円、30年では約2,000万円程度の資金が不足するとの報告が記載されています。

 

これは、老後に公的年金以外の収入がない、無職の夫婦世帯を想定して計算されたもののため、老後も仕事をしている個人事業主には、100%あてはまるということはありませんが、多くの資金が老後に必要という意味では間違いないでしょう。

いざというときのための生活費と経費を貯金する方法

個人事業主が貯金をしなければならない理由のひとつに、当面の生活費と経費の用意がありました。では、当面の生活費と経費をどのように貯金すれば良いのでしょうか。

 

当面の生活費と経費を貯金するためには、収入を増やすことと支出を減らすことのふたつが必要です。しかし、収入をすぐに増やすということは難しいです。そこで、まずは支出をいかに減らすかを考えていく必要があります。

 

とはいえ、事業をしていく上では、必ず必要な支出があるため、すべての支出を減らすことはできません。そこで、まずは減らせる支出を見つけていくことから始めます。減らせる支出を見つけるためには、次のようなことを行いましょう。

①どのような支出があるのかを把握する

まずは、どのような支出があるのかを把握します。

 

何にいくら支出しているのかをすべて把握している個人事業主は、意外と少ないものです。そのため、生活費、経費で支出している項目をすべて書き出しましょう。

②必要な支出と、減らせる支出に区分する

すべての支出を把握したら、次は、支出を減らすことができるものかどうか区分します。

 

減らせる支出かどうかを区分する代表的な方法が、「固定費」と「変動費」の区分です。

 

固定費とは、毎月必ず発生し、支払う金額もほぼ同じである支出のことです。例えば、家賃や水道光熱費、保険料などです。変動費とは、発生する月や金額が一定ではない支出のことです。例えば、食費や交際費、娯楽費などです。

 

どちらの支出が減らしやすいかというと、変動費です。特に、交際費や娯楽費などは使う金額や頻度を注意しておけば、簡単に減らすことができます。まずは、変動費から削減していくことを目指しましょう。

 

一方、支出削減の効果が最も高いのが固定費です。固定費は、毎月発生するものなので、一度支出を削減できれば、その効果は長く続きます。では、どのように固定費を削減すれば良いのでしょうか。これは、個別に無駄がないかの見直しや支払方法の見直しをしていきます。

 

例えば、保険であれば、必要以上の保険に加入していないかどうかを検討し、必要以上のものがあれば、保険料を削減します。また、国民年金のように一括で支払えば、金額が安くなるものや、ネット銀行やクレジットカードでの支払いに切り替えれば、ポイントがつくものもあります。

 

小さな金額でも、1年間となると一定の金額の支出の削減となります。ぜひ個別に支出を見直してみましょう。

老後に安心した生活を送るための貯金をする方法

ここまでは、当面の生活費と経費を貯金する方法を見てきました。当面の生活費と経費の貯金は、支出の見直しなどで対応できますが、老後の資金を貯金する場合はそれだけでは足りません。

 

そこでここからは、老後に安心した生活を送るための貯金をする方法を見ていきましょう。

定期預金や定期積金などで貯金する

老後資金の貯金は、期間が長い貯金となります。そのため、途中で貯金を降ろして使ったり、計画通り貯金ができない月があったりすると、なかなか貯金は増えていきません。そこで利用したいのが、定期預金と定期積金です。

 

定期預金とは、一定期間引き出しができないことを条件に、普通預金などよりも高い金利となっている預金のことです。一定期間引き出しができないため、途中で貯金を使うということがありません。

 

一方、定期積金とは、毎月、決まった額の金額を自動振替などで払い込み、満期日にまとまった給付金を受け取れる積立型の預金です。毎月、決まった額の金額を強制的に、貯金することができるので、計画通り貯金ができないということがありません。定期預金や定期積金などを使い、きちんと貯金していくことが重要です。

 

また、スマホのアプリにも貯金アプリというものがあります。様々な貯金アプリがありますが、家計のチェックだけでなく、口座と連携して、自動で貯金する機能がついたものもあります。貯金アプリを使って貯金するのも良いでしょう。

小規模企業共済に加入する

老後の生活には、大きな金額の資金が必要です。そのため、一般的な貯金だけでは足りない可能性もあります。そこで重要となるのが、貯蓄の窓口を増やすことです。個人事業主におすすめなのが、小規模企業共済です。

 

小規模企業共済とは、簡単に言うと、個人事業主の公的な退職金制度です。サラリーマンと違い、個人事業主には、退職金がありません。小規模企業共済では、毎月一定の掛け金を支払うことで、個人事業主が廃業したときに、老後の生活のための退職金を支払います。個人事業を廃業しても、まとまった資金を手に入れることができるので、老後の生活が安心できます。

 

また、投資信託やiDeCo(個人型確定拠出年金)など個人でも始めやすい投資もあります。貯金や小規模企業共済、投資などを組み合わせて、老後資金を確保していきましょう。

まとめ

個人事業主にとって、税金の支払いは重要です。しかし、税金の支払いだけにとらわれ、貯金をしていないと、いざというときや老後の資金に窮することになります。

 

支出や家計を見直して、目的にあった方法でしっかりと貯金をしていきましょう。

長谷川よう
会計事務所に約14年、会計ソフトメーカーに約4年勤務。個人事業主から法人まで多くのお客さまに接することで得た知見をもとに、記事を読んでくださる方が抱えておられるお困りごとや知っておくべき知識について、なるべく平易な表現でお伝えします。
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