ふるさと納税「ポイント還元」2025年10月で廃止へ!寄付者・自治体への影響と今後の活用法を解説

[取材/文責]マネーイズム編集部

「ふるさと納税」は、多くの人にとって、節税と地域貢献を同時にできる制度として定着しています。しかし、2025年10月から、これまで寄付を行う際に付与されていたポイント還元が廃止されることになりました。これまでポイント活用を考えて寄付先を選んでいた方にとっては、今後の利用方法を考え直す転換点となるのではないでしょうか。

本記事では、ポイント還元廃止の具体的な内容やその背景にある制度改正の狙いについて明らかにし、寄付者・自治体・ポータルサイトそれぞれにどのような影響が及ぶのかを解説します。さらに、制度改正後もふるさと納税を活用するためのヒントや注意点についても取り上げるため、ぜひ今後の参考にしてください。

1. ふるさと納税ポイント還元廃止の概要とスケジュール

ふるさと納税を利用する際に、ポイント還元に魅力を感じていた方は多いのではないでしょうか。しかし、2025年10月にポイント還元が廃止されることになり、今までのようなお得感がなくなることを危惧する声も聞かれます。

ここでは、ポイント還元廃止という制度変更の概要や、いつから適用されるのかを解説します。今後の寄付計画を立てるうえで、ぜひお役立てください。
 

2025年10月から廃止されるポイント還元の制度内容

2025年10月に廃止されるのは、ふるさと納税の魅力の一つでもあった「ポータルサイト利用時のポイント付与」です。

制度改正前では、「楽天ふるさと納税」や「さとふる」などのポータルサイト(仲介サイト)を利用すると、返礼品だけでなくポイントも獲得できる仕組みになっていました。還元されるポイントは多くの利用者にとってのメリットでしたが、総務省の判断によって今後はポイント還元の恩恵はなくなります。

各自治体やポータル事業者の一部からは、この制度改定に反発の声も上がっていますが、政府は予定通り10月から適用する方針を明言しています。
 

対象となるポイント還元の種類と範囲

これまでのふるさと納税では、ポータルサイトから付与される楽天ポイントやPayPayポイント、ポイントサイトを経由した際に獲得できるポイントなど、寄付額に応じて複数のポイントが得られる仕組みが整っていました。

しかし、2025年10月からは、この多重的にお得になる仕組みが全面的に禁止されます。規制対象となるポイントは以下の通りです。

①ポータルサイトが直接寄付者に付与するポイント
②ポイントサイトを経由して寄付した際に還元されるポイント
③クレジットカード決済などに伴って追加的に付与されるポイント
 

いつまでに寄付すればポイント還元が受けられるのか

ふるさと納税におけるポイント還元が利用できるのは、2025年9月30日までです。この期日までに寄付を完了した分については、従来通りのルールに基づくポイント付与を受けられますが、10月1日以降ポイントは還元されません。

今回の制度改定では、ポータルサイトによる独自のポイント付与のみならず、モッピーやハピタスなどのポイントサイト経由の特典、クレジットカード決済時の追加ポイントも対象です。

楽天ふるさと納税などの事業者側は反発していますが、総務省の告示はすでに出されているため、ポイント還元廃止が覆ることは考えにくいでしょう。そのため、寄付によるポイント獲得のためには、9月末までの行動が不可欠です。

2. 制度改悪の背景と政府側の狙い

ふるさと納税は、地域の発展を支える仕組みとして定着してきたはずですが、利用が広がる中で、その運用方法には課題も浮かび上がっています。今回の「ポイント還元廃止」は制度の改悪であると指摘されることもありますが、なぜこのような改正が行われるに至ったのでしょうか。

ここでは、制度改悪の背景にある要因と政府が示す狙いについて考えていきましょう。
 

ポイント競争過熱・自治体負担増が指摘された経緯

ふるさと納税の制度改正が行われる背景として挙げられるのが、ポータルサイトを通じたポイント付与の競争が過熱してきた状況です。

寄付者は自治体からの返礼品を受け取れるだけでなく、ポータルサイト独自のポイントまで得られるという「二重取り」の状態となり、キャンペーンによっては2倍や3倍の還元率になるケースもあります。

しかし、このような高還元競争が、自治体にとって手数料や返礼品コストの負担増大につながり、寄付の獲得をめぐる競争を激化させる結果となりました。

結果として総務省は、「過度なポイント還元は制度の趣旨に反し自治体の財政負担を増やす」と判断したという流れです。
 

ふるさと納税本来の目的と今後の方向性

ふるさと納税という制度本来の目的は、自分が生まれ育った地域や応援したい自治体に寄付を行い、その地域の発展に貢献することです。しかし、返礼品やポイント還元ばかりが注目を集めるようになった結果、お得でコスパの良い買い物のように誤解され、制度本来の意味は薄れてしまったといえるかもしれません。

今後の方向性として、寄付者に「お得さ」ばかりをアピールするのではなく、「地域振興」という原点を再認識してもらうことが重視されるでしょう。返礼品は、地域産業の振興を補助するツールであり、寄付は地域の課題解決に直接役立つお金です。

制度改正により、寄付者が地域の魅力や必要性に目を向けるきっかけになることが期待されています。
 

総務省告示で明確化された規制内容

2025年10月から実施される制度改正にあたり総務省は、「ふるさと納税に係る指定制度の運用についてのQ&A」などの告示を通じて規制内容を明確に示しています。その中で特に注目されているのが、ふるさと納税として寄付した際に付与されていた各種ポイントの禁止についてです。

ポータルサイトが直接還元していたポイントだけでなく、ポイントサイトを経由した際の還元、さらにクレジットカード決済時に追加で受けられるポイントも対象となっています。そのため、いわゆる「二重取り」「三重取り」の恩恵はもう受けられないといえるでしょう。

3. 制度改正が寄付者・自治体・ポータルサイトへ与える影響

ふるさと納税のポイント還元廃止は、単にもらえるはずだったポイントがなくなるという寄付者の立場からの喪失感だけの問題にとどまりません。これは、自治体の運営体制やポータルサイト事業者のビジネスモデルにまで影響を及ぼすでしょう。

ここでは、寄付者・自治体・ポータルサイトそれぞれの立場から見た影響を整理し、今後どのような変化が生じるのかを明らかにしていきます。
 

利用者が感じる「お得感」の変化と今後の寄付動向

ふるさと納税の大きな魅力は、実質2,000円の負担で各地域の様々な返礼品を受け取れることに加えて、ポータルサイトを通じたポイント還元によってさらに恩恵を得るという「お得感」でした。特に、楽天ポイントやPayPayポイントなどの汎用性が高いポイントは、日常生活の幅広いシーンで使える点がメリットであったといえます。

しかし、2025年10月以降は、これまでのようにポイントの還元率で寄付先を選ぶのではなく、返礼品そのものの魅力や地域貢献の意義を重視する傾向が強くなると考えられるでしょう。

短期的には、9月末までに駆け込み寄付を行う利用者が増えると予想されますが、中長期的には返礼品の質や自治体の発信力が、寄付額を左右する要素として重要になるのではないでしょうか。
 

自治体側のメリット・デメリットおよび対応策

これまで一部の自治体は、過度なポイント還元競争に巻き込まれる形で寄付額を上げていました。しかし、ポイント還元が禁止されたことにより、自治体はその仕組みに依存していられなくなるため、寄付を集める手段を再構築しなければなりません。

一方で、過剰なポイント還元競争に巻き込まれなくなる点はメリットともいえます。返礼品や寄付金の使い道を、ふるさと納税本来の目的に沿ってアピールできれば、地域の魅力そのものを評価してもらえる流れを作れるでしょう。

そのためには、地域の資源を活用し、返礼品の品質や独自性を向上させる必要があります。また、広告戦略を駆使して、寄付金がどのように地域課題の解決や産業振興に役立つかをアピールすることも重要です。
 

ポータルサイト事業者への影響と今後の動向

ポイント還元の廃止は、ポータルサイト事業者にとっても大きな転換点になります。ポイント還元の仕組みがなくなることで、サイト利用の動機が薄くなるため、寄付額が減少する可能性もあるでしょう。そのため、楽天ふるさと納税は制度改正に反対し、署名活動も行う動きを見せています。

今回の制度改正は、ポータルサイトにとって、独自の工夫で利用者にお得感を提供する取り組みが制限されるという点で、制度の改悪であるとも受け取られているのが現状です。

ふるさと納税制度がすぐに廃止される可能性は低いとはいえ、規制は年々強化されています。今後は、返礼品や還元率の上限が縮小され、長期的に見て寄付本来の姿へと近づくのではないかとも考えられるでしょう。

4. 改悪後も活用できる“ふるさと納税”の選び方・注意点

制度改正により、確かにポイントの還元は廃止されますが、実質2,000円で地域ならではの返礼品が得られるというふるさと納税本来の魅力が失われるわけではありません。

制度改正後に大切なのは、返礼品そのものの価値や自治体の取り組みに注目し、前向きに活用することです。ここでは、制度改正後もふるさと納税を上手に利用するための方法や注意点について解説します。
 

ポイント還元廃止後の返礼品選択・寄付のコツ

2025年9月30日までに寄付をすれば、現行ルールでポイント還元を受けられる最後のチャンスとなります。それ以降ポイントは付与されないため、返礼品に重点を置いて選ぶことになるでしょう。

特に、地域の特色や生産者のこだわり、自治体が寄付金をどう活用しているのかなどに注目することで、寄付という行為への満足感が高まります。
 

2025年9月までの“駆け込み寄付”のポイントと注意点

2025年9月は、ポイント還元を得られる最後の機会として“駆け込み寄付”が増えることが予想されており、各サイトで大型キャンペーンが展開される見込みです。

「楽天スーパーセール」や「さとふるの日」などを活用すれば高い還元率で寄付できます。ただし、人気のある返礼品は品切れになるのも早いため、できる限り早期に申し込みをすることが有効です。

また、控除の上限を見誤ると自己負担額が増える可能性があります。9月時点では上限まで寄付せずに留めて、年末に正確な年収が確定してから満額まで寄付するのが良いでしょう。
 

改定後のふるさと納税制度の将来展望

ポイント還元の廃止によって、寄付者は「地域を応援する」というふるさと納税本来の意義をより意識するようになるでしょう。それだけに、自治体には透明性や公平性の高い運用が求められます。

この改定によって、寄付額の一時的な減少は懸念されていますが、返礼品の選定や情報発信の工夫次第で地域経済を支える仕組みとしてさらに発展する可能性もあるのではないでしょうか。

中小企業経営者や個人事業主が抱える資産運用や相続、税務、労務、投資、保険、年金などの多岐にわたる課題に応えるため、マネーイズム編集部では実務に直結した具体的な解決策を提示する信頼性の高い情報を発信しています。

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