1円スマホがなくなる?値引きへの規制がさらに厳しくなる見通し
2023年10月現在、携帯キャリアのキャンペーンを活用してスマートフォン(スマホ)が1円という極端に安い金額で販売されていることが問題視されており、総務省は2024年の年明けから値引き規制を強化する見通しです。
総務省は2019年に制度改正を実施してスマホの値引き規制を強めましたが、その後に極端な値引きが復活し、現在もスマホが1円で販売されています。
2024年年明けより端末価格に応じた3段階の値引き規制を定める方針か
1円スマホとは、「通信とセット契約割引」「他者からの乗り換え割引」を併用し、本体代が数万円する機種の販売価格を1円にする大手携帯キャリアの販売代理店が実施しているキャンペーンのことです。
総務省は、2019年に電気通信事業法の一部を改正した際、携帯電話市場における過度な割引や囲い込み契約を防止するために、通信料金と端末代金を完全に分離して提供することや、回線と端末のセット割引きの上限を2万2,000円までにすることなどを定めました。
しかし、大手携帯キャリアの販売代理店は、「端末単体の値引き」という規制の対象とならない抜け穴とも言える値引きを実施したのです。
現在の1円スマホでは、次のような仕組みで数万円の端末が1円で販売されています。
端末価格(税込) | セット割引き | 端末単体値引き | 販売価格 |
---|---|---|---|
8万8,000円 | 2万2,000円 | 6万5,999円 | 1円 |
電気通信事業法によれば、2019年の法改正によるセット割引きの上限が2万2,000円であるため、購入者が支払う金額は6万6,000円となります。しかし、現在では、セット割引きに加えて、「端末単体値引き」という販売代理店独自の値引きを実施し、販売価格を1円にしているのです。
このことを受けて総務省は2024年の年明けから、「端末単体値引きとセット割引を含む割引」として、端末価格に応じた3段階の値引き規制を定める方針です。
・8万8,000円(税込)超える端末
∟値引き上限を4万4,000円まで
・本体代が4万4,000円(税込)~8万8,000円(税込)までの端末
∟値引き上限を本体価格の50%まで
・本体代が4万4,000円(税込)以下の端末
∟値引き上限を2万2,000円まで
そもそも、なぜ1円スマホを総務省が規制しているのかというと、大きくわけて2つの理由が関係しています。
1つ目は、「公正な競争の確保」です。数万円で仕入れるスマホを1円で販売することは、資金力のある大手携帯キャリアの販売代理店でしか続けられないため、中古販売店などが値引き競争についていけず、倒産に追い込まれてしまう可能性があります。
2つ目は、「携帯キャリアのダメージ」です。1円でスマホを購入してすぐに通信契約を解約してスマホを転売する人が増えたため、携帯キャリアが通信料金を得られない問題が発生したのです。
他にも、端末の大幅な値引きをするために販売代理店に送られる奨励金は、ユーザーの通信料で補われているため、1つのスマホを長く使用している人にとっては不利益になります。
このように、1円スマホにはさまざまな問題があることから、2024年の年明けから総務省の規制がさらに厳しくなるとされています。
▼参照サイト
【解説】“1円スマホ”がなくなる? 政府が規制強化へ【NHK NEWS WEB】 神奈川横浜市を中心に活動しているWebライターの澤田です。2023年3月にFP3級を取得、2023年7月にFP2級を取得しました。新しく身につけた専門知識を活かし、あなたの悩みを解決できるわかりやすい記事を目指しています。
電気通信事業法の一部を改正する法律の施行に伴う関係省令等の整備について【総務省】
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