法人が配当金を受け取った場合の処理方法 税金や仕訳はどうなる? | MONEYIZM
 

法人が配当金を受け取った場合の処理方法
税金や仕訳はどうなる?

法人が他の法人の株式を所有している場合や投資信託をしている場合などに、配当金を受け取ることがあります。この配当金は税金が既に引かれていたり、法人税の計算上で益金に不算入のものがあったりして、処理方法が複雑だったり、税額に影響を与えたりします。ここでは、法人が配当金を受け取った場合の処理方法を解説します。

法人が配当金を受け取った場合の処理方法

法人が口座などで受け取る配当金は、既に税金が差し引かれています。そのため、差し引かれた税金のことも考えて会計処理する必要があります。
ここでは、法人が配当金を受け取った場合の処理方法について見ていきましょう。

受け取った配当金は税金が引かれている

法人が配当金を受け取ったときの会計処理を正しくするためには、配当金から差し引かれている税金のことや、仕訳について理解する必要があります。それぞれについて確認していきましょう。

 

配当金の受け取りの際にあらかじめ決められた税率により、所得税等(所得税+復興特別所得税)が差し引かれています。これを源泉徴収といいます。差し引かれる所得税等の税率は、所有している株主が上場株なのか非上場株なのかで次のように異なります。

 

種類 税率
上場株式の配当金 15.315%
非上場株式の配当金 20.42%

 

例えば、配当金が1万円である場合は、上場株式の配当金なら1,531円、非上場株式の配当金なら2,042円の所得税等が源泉徴収されています。

配当金を受け取ったときの仕訳

受け取った配当金からは、所得税等が源泉徴収されています。そのため、配当金を受け取った場合は「受取金額」「源泉徴収された所得税等」「源泉徴収される前の配当金」の3つを用いて仕訳をする必要があります。具体例で確認しましょう。

 

例)所有している上場株式の配当金が普通預金に振り込まれた。振込金額は8,469円、源泉徴収された所得税等の金額は1,531円、源泉徴収される前の配当金の金額は1万円だった。
借方勘定科目 借方金額 貸方勘定科目 貸方金額 摘要
普通預金 8,469円 受取配当金 10,000円 配当金の受取
法人税、住民税及び事業税 1,531円 所得税等

 

一般的に、源泉徴収された所得税等の勘定科目は、「法人税、住民税及び事業税」を使います。その他「法人税等」などの別の科目を使用する場合もあります。お使いの会計ソフトの科目や今まで使ってきた科目がある場合は、それに合わせてください。今回は、所得税と復興特別所得税を分けずに仕訳しましたが、分けて仕訳しても問題ありません。

 

通常、株式を発行している会社や、証券会社等から送られてくる配当金明細書などに、源泉徴収された所得税等の金額は記載されています。

受取配当金の益金不算入制度

受取配当金は、もちろん受け取るお金のため、法人の収入となります。しかし法人税の計算上は、一般的に益金不算入になります。ここでは、配当金が益金不算入になる理由や、不算入になる配当金の種類について見ていきます。

なぜ、受取配当金は益金不算入になるの?

今までは、配当金を受け取った場合の会計処理について見てきました。ここからは2つ目の注意点である、受取配当金の益金不算入について見ていきましょう。

 

益金不算入とは、会計上は仕訳などで収益にするが、税金の計算では収益(益金)から除くということです。配当金を受け取ると、普通預金などの財産が増えるわけですから、当然収益に計上すべきものです。ではなぜ、法人税の計算では益金からはずすのでしょうか。理由は二重課税を防ぐためです。

 

法人は利益が出たら、その利益の中から法人税等を支払い、残りを株主に配当したり、翌期以降への活動資金に回したりします。株主である個人も、配当金を受け取るときに税金を源泉徴収されます。

 

では法人の利益の中に、他の法人から受け取った配当金が含まれている場合は、どうなるのでしょうか。

 

  • ① 他の法人から受け取った配当金は会社の利益であることから、法人税がかかります(1度目の課税)。
  • ② 法人は、他の法人から受け取った配当金を含めた利益から、株主である個人に配当をします。
  • ③ 株主である個人は、配当金を受け取るときに税金を源泉徴収されます。(2度目の課税)

 

つまり、1つの利益(他の法人から受け取った配当金)に二重で課税されてしまうことになります。この二重課税を防ぐために、受取配当金については、法人税等の計算上で益金から除く「受取配当金の益金不算入制度」が適用されています。

受取配当金の益金不算入になる配当金とは

受取配当金の益金不算入制度は、あくまで二重課税の排除を目的としています。しかし、配当金と名前があるものの中には、そもそも二重課税にならないものもあります。そこで、受取配当金の益金不算入になるものは、二重課税になるものに限定されています。

益金不算入になる配当金と、ならない配当金にはそれぞれ次のようなものが該当します。

①受取配当金の益金不算入になる配当金
  • 剰余金の配当や利益の配当、剰余金の分配(普通の会社の配当金)
  • 投資信託や投資法人から受け取る金銭の分配
  • 資産の流動化に関する法律に規定する特定目的会社等からの金銭の分配
  • 特定株式投資信託(外国株価指数連動型特定株式投資信託を除く)の収益の分配
②受取配当金の益金不算入にならない配当金
  • 外国法人、公益法人等又は人格のない社団等から受ける配当等
  • 保険会社の契約者配当金
  • 協同組合等の事業分量配当等
  • 公社債投資信託以外の証券投資信託の収益の分配
  • 特定目的会社及び投資法人から受ける配当等
  • 受取配当金の益金不算入額の計算方法

    ここからは、受取配当金の益金不算入額の計算方法について見ていきましょう。

    益金不算入額は、株式等の保有割合で異なる

    受取配当金の益金不算入額の計算では、所有している株式を4つのグループに分けて計算を行います。

     

    通常、一般的な会社からの配当金は益金不算入になります。しかし、他の会社の株式を所有している場合によくみられるのが、子会社や関連会社などの株式を所有しているというものです。子会社や関連会社と、全くの他社の株式を一律同じ割合で益金不算入とすると不都合が生じるため、次の4つの区分に分けて損金不算入割合を定めています。

     

    株式の種類 保有割合 不算入割合
    完全子法人株式等 100% 100%益金不算入
    関連法人株式等 1/3超100%未満 100%益金不算入(負債利子控除あり)
    その他の株式等 5%超1/3以下 50%益金不算入
    非支配目的株式等 5%以下 20%益金不算入

     

    負債利子とは、借入をして株式を取得しているときに、その年に支払った借入金利子のことです。受け取った配当金を益金不算入にする代わりに、支払った借入金利子も損金不算入(負債利子控除)にします。

    2022(令和4)年4月1日以降に開始した事業年度からは、いわゆるグループ企業に関して、保有割合や負債利子控除の考え方が2022(令和4)年3月31日以前に開始した事業年度と次のように異なります。

    ・保有割合
    2022(令和4)年4月1日以降に開始した事業年度からは、関連法人株式等と非支配目的株式等の2つの区分で、該当するかどうかの判定基準が変わります。

    これまでは、法人単体の保有株式の割合で該当区分を判定していましたが、2022(令和4)年4月1日以降に開始した事業年度からは、完全支配関係がある他の法人が有している株式を含めての判定となります。

    例)当社A社はC社の株式を20%保有している。なおA社の親会社(A社の株式を100%保有)のB社もC社の株式を30%保有している。

    この場合、2022(令和4)年3月31日以前に開始した事業年度では、A社から見たC社の株式の種類は、法人単体の保有株式の割合で判定します。

    A社が保有しているC社株式の割合は20%なので保有割合5%超1/3以下の、その他の株式等に区分されます。そのため配当金の益金不算入の割合は、50%です。

    一方、2022(令和4)年4月1日以降に開始した事業年度からは、完全支配関係がある他の法人が有している株式を含めての判定となります。そのためA社だけでなく、B社がC社の株式をいくら保有しているのかも関係します。

    A社から見たC社の株式の種類は、株式の保有割合A社20%+A社の親会社B社30%=50%なので、保有割合1/3超100%未満の関連法人株式等に区分されます。そのため配当金の益金不算入の割合は、100%益金不算入(負債利子控除あり)です。

    ・負債利子控除
    関連法人株式等から受け取った配当金は、その100%の金額が益金不算入となりますが、その年度に支払う一定の負債などの利子がある場合は、配当金の金額から負債利子の金額を差し引いて益金不算入の金額を計算します。この負債利子控除も、2022(令和4)年4月1日以降に開始した事業年度からは見直されます。

    2022(令和4)年3月31日以前に開始した事業年度では原則、当年度に支払った負債利子に、自社の総資産や関連法人株式等の帳簿価額を使って計算した割合をかけて負債利子控除額を計算していました。

    一方、2022(令和4)年4月1日以降に開始した事業年度からは、関連法人株式等からの配当金などの4%相当額が負債利子控除額になり、計算がしやすくなりました。

    ただし、法人が借入金などの利子を支払っているときは、支払利子の金額の10%が上限になります。

    法人が配当金を受け取った場合の申告方法

    法人が配当金を受け取った場合は、株式の種類に応じて、益金不算入額を計算します。では、申告はどうするのでしょうか。

     

    受取配当金を益金不算入にするためには、通常の申告書と、「別表八(一)受取配当等の益金不算入に関する明細書」を作成して提出する必要があります。「別表八(一)受取配当等の益金不算入に関する明細書」は、益金不算入額を計算するための明細書です。該当する箇所に数字を記載していけば、益金不算入額を算出できます。

     

    また、別表四の減算欄にも受取配当等の益金不算入額を記載する欄があるので、忘れずに記載し、申告するようにしましょう。

    完全子法人株式等の配当に係る源泉徴収不適用制度

    原則、配当金はあらかじめ税金が差し引かれた金額で、口座などに振り込まれます。配当金を支払う法人や証券会社は、出資者ごとに配当金から差し引く税金の金額を計算するとともに後日、差し引いた税金を税務署に納める必要があります。

     

    税金を差し引いたり、後日税務署に納めたりすることを「源泉徴収」といいます。源泉徴収は国内の株式であれば種類にかかわらず、原則すべての配当金から行われてきましたが、納税者や税務署などの労力が大きかったため、2023(令和5)年10月1日以後に支払を受ける完全子法人株式等に係る配当等からは、源泉徴収が不要となります。
    源泉徴収が不要となる株式の種類は、完全子法人株式等と一定の関連法人株式等です。源泉徴収が不要となる条件は、それぞれ下記のとおりです。

     

    完全子法人株式等

    ・直接保有(直接支配)
    完全子法人株式等は株式の保有割合100%の株式ですが、源泉徴収が不要となるのは直接100%の株式を保有している場合のみです。例えば当社A社のみでB社の株式を100%保有している場合は、直接100%の株式を保有しているため源泉徴収は不要です。

     

    一方、当社A社と当社の子会社C社で合わせてB社の株式を100%保有している場合は、A社が直接100%の株式を保有しているわけではないので、受取配当金に対して源泉徴収がされます。

     

    ・継続保有要件
    源泉徴収が不要となるのは、配当金の計算期間にわたって継続して保有している必要があります。

     

    一定の関連法人株式等

    ・直接保有(直接支配)2022(令和4)年4月1日以降に開始した事業年度からは、完全支配関係がある他の法人が有している株式を含めて、株式の種類を判定しますが、源泉徴収が不要かどうかはこの判定とは別です。

     

    保有割合1/3超100%未満の株式は関連法人株式等に区分されますが、源泉徴収が不要となるのは、直接1/3超の株式を保有している場合のみです。

     

    例えばA社とA社の親会社B社で、C社の株式をA社20%+B社30%=50%と保有していた場合、保有割合1/3超100%未満の関連法人株式等に区分されますが、A社は直接1/3超の株式を保有してはいないので、源泉徴収が必要です。

    まとめ

    今回は、法人が配当金を受け取った場合の処理方法について確認しました。法人が配当金を受け取った場合には、会計処理と、法人税の計算で益金不算入が生じることに注意する必要があります。

    会計処理では、受取金額、源泉徴収された所得税等、源泉徴収される前の配当金の3つを用いて仕訳します。

    法人税の計算では、まずその配当金が、益金不算入になる配当金なのかを考え、益金不算入になる配当金であるなら、株式の種類に応じた割合で、益金不算入額を計算する必要があります。

    受取配当金の処理は、かなり複雑です。処理方法などで不明点などがある場合は、税理士などの専門家に相談しましょう。
     

    【関連記事】:受取配当の税金はどうするの?個人事業主と法人の違いを解説

    長谷川よう
    会計事務所に約14年、会計ソフトメーカーに約4年勤務。個人事業主から法人まで多くのお客さまに接することで得た知見をもとに、記事を読んでくださる方が抱えておられるお困りごとや知っておくべき知識について、なるべく平易な表現でお伝えします。
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