建設業を営む個人事業主必見!
税金と確定申告の処理方法
建設業を営む個人事業主必見!  税金と確定申告の処理方法
最終更新日:
2019/1/29
 
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建設業で働いている人の中には、経験を積むと独立して、自分で仕事を行う人も少なくありません。独立して自分で仕事を行うということは、個人事業主になることを意味します。そのため、毎年、所得税の確定申告と納税が必要です。ここでは、建設業を営む個人事業主のために、税金と確定申告について解説します。

建設業を営む個人事業主は確定申告が必要

建設業を営む個人事業主が支払う税金

実は、独立して建設業を営む個人事業主になると支払う税金は、所得税だけではありません。複数の税金を支払う必要があります。具体的には、以下の税金を支払う必要があります。

①所得税

個人事業主が支払う税金として、真っ先に思い浮かぶのは所得税でしょう。所得税とは、個人が1年間に得たもうけ(所得)に対して課される税金で、国に納めるものです。所得税では、所得の金額が高くなれば高くなるほど、税率が高くなる「累進課税制度」を採用しており、5%から45%の7段階の税率に区分されています。

 

原則、確定申告と同時に納付も行います。確定申告は、基本的に翌年2月16日~3月15日の期間に行う必要があります。納付期限も同じです。ただし2018年分の確定申告期間は曜日の関係上、2019年2月18日~3月15日になります。

②住民税

所得税が国に対して納めるのに対し、都道府県や市区町村に納めるのが住民税です。住民税は、道府県民税と市町村民税の2つから成り立ちます。どちらも個人が1年間に得たもうけ(所得)に対して課される税金です。その他に、その自治体に住んでいることに対して課される均等割も課されます。税率等はそれぞれ次のようになっています。

個人住民税 税率
道府県民税 市町村民税 合計
4% 6% 10%
均等割(標準課税)
標準税率 復興特別税 合計
道府県民税 1,000円 500円 1,500円
市町村民税 3,000円 500円 3,500円
合計 4,000円 1,000円 5,000円

※均等割は、自治体によって異なることがあります。

 

個人事業主の場合、所得税の確定申告をすれば、そのデータが国から自治体にまわるため、住民税の申告をする必要はありません。住民税の納付書(道府県民税と市町村民税が一緒になったもの)が自治体から4月~5月ごろに送付されてきます。支払う金額も記載されているので、そのまま納めます。

 

住民税は、一括で納付すること(納期限6月末)も、年4回(納期限6月・8月・10月・翌1月)も可能です。納期限は自治体によって多少異なります。

③事業税

事業税とは、事業を営む人の1年間に得たもうけ(所得)に対して課される税金です。都道府県に対して納付します。

 

住民税と違う点は、住民税は事業を行っていないサラリーマンなどにも課されるのに対し、事業税は事業を営んでいる人のみに課される点です。事業税は事業の種類に応じて3%~5%の税率となります。建設業は原則5%です。個人事業主の場合、所得税の確定申告をすれば、そのデータが国から自治体にまわるため、事業税の申告をする必要はありません。

 

個人事業税は8月と11月に納付します。事業税の納付書が自治体から8月ごろに送付されてきます。支払う金額も記載されているので、そのまま納めます。

 

④消費税

個人事業主で、一定の条件に該当する場合は、消費税の申告と納付をする必要があります。消費税を納める条件は次のいずれかに該当した場合です。

 

  • 前々年の売上が1,000万円を超えている
  • 前年1~6月の売上または給与支払額が1,000万円を超えている

 

消費税の申告・納付期限は翌3月31日です。

建設業の確定申告と青色申告

個人事業主で建設業を営む場合は、翌年2月16日~3月15日までに確定申告を行い、所得税を納める必要があります。

 

確定申告をする場合に重要となるのが、青色申告です。個人事業主は、原則、白色申告を行います。しかし、より複雑な方法で、正しい帳簿付けや税額等の計算をすることを前提に青色申告を行うことができます。

 

青色申告を行うと、青色申告特別控除や損失の繰り越しなど、さまざまな特典を受けることができます。青色申告の特典は節税につながるものが多いため、個人事業主で建設業を営んでいる場合は、青色申告をしたほうが良いでしょう。青色申告をする場合は、事前に、青色申告承認申請書を提出する必要があります。

売上と経費の計上漏れに気を付けよう

ここまでは、建設業を営む個人事業主が支払う税金や確定申告について見てきました。確定申告を行うためには、売上や経費をきちんと計算する必要があります。ここからは、売上や経費の計上時期について見ていきましょう。

建設業における売上の計上時期

1年間のもうけを計算するうえで、最も重要なのが売上です。

個人事業として建設業を営んでいる場合、特に一人親方などのケースでは、1年間を超える長期の工事よりも短期間の工事の方が多いでしょう。その場合、売上に計上する時期は、工事が完成し、引き渡しが完了した時です。入金があった時に売上を計上するわけではないので、注意が必要です。

 

例)1月10日に合計100万円の工事の発注を受けた。発注と同時に10万円の手付金を現金で受け取った。5月末に工事が完成したので、残りの90万円を振込で受取り、同時に引き渡した。
・1月10日の仕訳
借方勘定科目 借方金額 貸方勘定科目 貸方金額 摘要
現金 10万円 未成工事受入金 10万円 手付金

 

工事が完成していないため、未成工事受入金で処理します。未成工事受入金は建設業会計の科目です。前受金などの勘定科目で処理しても問題ありません。

・5月末の仕訳
借方勘定科目 借方金額 貸方勘定科目 貸方金額 摘要
普通預金 90万円 完成工事高 100万円 ○○工事
未成工事受入金 10万円 手付金

 

工事が完成したため、完成工事高を計上します。未成工事受入金は建設業会計の科目です。売上高などの勘定科目で処理しても問題ありません。

建設業における経費の計上時期

原価と経費について解説し、計上時期を説明する

 

次に、経費の計上時期について見ていきましょう。

経費には、材料費や外注費などのように、売上に直接関係するものと、事務用品費などのように、間接的に関係するものがあります。実は、この2つで経費の計上時期が異なります。事務用品費などのように、売上に間接的に関係するものについては、購入したときに経費になるため、通常どおりの処理で問題ありません。

 

問題なのが、材料費や外注費などのように、売上に直接関係するものです。この場合は、売上に計上した工事にかかった費用のみ経費にできます。つまり、開始しているが、完成していない工事に係った費用は経費にすることができません。この費用については、「仕掛品」など棚卸資産の科目で処理する必要があるので、注意しましょう。

建設業の経理で気をつけるべき注意点

外注費と給与の違いを理解しよう

事業が軌道にのり、大きな工事などの受注を受けるようになると、1人では手が回らないことも多くなります。そんな時は手伝いを頼み、仕事をしていきます。

 

実は、その手伝いが請負契約なのか雇用契約なのかによって、取り扱いが異なります。

その手伝いが請負契約の場合は、「外注費」となり、雇用契約の場合は「給与」となります。もし「給与」になった場合は、毎月の支払額から源泉税を徴収し国に納めたり、社会保険に加入する必要が出てきます。

 

また、消費税の課税事業者の場合、外注費は消費税の経費となり、納める消費税の金額を低くすることができますが、給与は消費税の経費となりません。個人事業主にとって、その手伝いが外注になるよりも給与になる方が不利になりますが、どちらになるかは、実態で判断することになります。

 

例えば、指揮監督をしている場合や、時間を単位に報酬を計算している場合、道具や材料を提供している場合は給与と判断されるので、注意が必要です。

土建組合に支払う経費に注意しよう

一人親方の場合は、通常、土建組合(土建一般労働組合)に加入しています。土建組合に加入することで、保険や共済制度などを受けることができるようになります。通常、毎月、組合費などを支払うことになりますが、その内容によって経費になるものと経費にならないものがあります。

 

純粋な組合費については、事業の経費になります。ただし、毎月の支払いの中に健康保険料や労災保険料がある場合、それらは経費になりません。健康保険料や労災保険料は、確定申告で社会保険料控除となるもののため、経費に計上しないよう注意しましょう。

まとめ

個人事業主で建設業を営んでいる場合は、確定申告や支払う税金に注意する必要があります。どんな税金を支払う必要があるか理解しておかないと、後で、思わぬ金額の税金を支払うことになり、資金繰りが苦しくなる可能性があります。また、売上や経費の計上時期を間違うと、税務調査などで指摘を受けてしまいます。そうならないためにも、この記事を参考に、正しく確定申告を行いましょう。

長谷川よう
会計事務所に約14年、会計ソフトメーカーに約4年勤務。個人事業主から法人まで多くのお客さまに接することで得た知見をもとに、記事を読んでくださる方が抱えておられるお困りごとや知っておくべき知識について、なるべく平易な表現でお伝えします。
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