プロ野球選手は個人事業主?給与所得者?
税金のすべてを徹底解説
プロ野球選手は個人事業主?給与所得者?  税金のすべてを徹底解説
最終更新日:
2019/3/12
 
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プロ野球選手は個人事業主と同じように自分で確定申告をします。しかし、属する組織が一つの球団という意味では、給与所得者であるサラリーマンと似ています。また、マネジメント会社を設立するプロ野球選手が存在し、税金の計算方法はより複雑になります。そこで、プロ野球選手の税金について網羅的に解説します。

プロ野球選手にかかる税金

プロ野球選手にかかる税金について説明します。

プロ野球選手は個人事業主の税金が適用される

プロ野球選手は個人事業主であり、次の税金が適用されます。

(1)所得税

年俸など収入にかかる所得は事業所得に該当します。そのため、後述するように必要経費は実額で計算します。なお、年俸や契約金の支払い時に源泉徴収されます。

(2)住民税

収入を得た年の翌年には住民税が課税されます。

(3)消費税

プロ野球選手は個人事業主である以上、年俸などの収入が課税売上に該当するので、前々年の年収1,000万円超なら消費税を納めなければなりません。

 

また、プロ野球選手の税金は次のように特殊です。

(4)契約金にかかる平均課税

所得税は累進課税制度を採用しているため、契約金によって所得税率が跳ね上がります。そこで、通常の税率を適用する代わりに、前年と前々年の所得金額を加味して適用税率を下げるのが平均課税です。

(5)後援会など団体からのご祝儀にかかる税金

団体の属性に応じて次の税金が課税されます。

  • 法人から受け取る場合:所得税のうち一時所得
  • 個人から受け取る場合:贈与税

会社設立もあり 法人にかかる税金

プロ野球選手の中にはマネジメント会社や資産管理会社を設立し、CM出演料などの収入を法人名義にすることができます。そこで、法人にかかる税金を説明します。

(1)法人所得に対する税金

会社名義の法人所得には法人税・住民税・事業税が課税されます。所得税と違い、所得金額によって税率のアップダウンが小さいのが特徴です。

(2)役員報酬に対する税金

会社設立をしたプロ野球選手は法人がプロ野球選手に役員報酬を支給する形式になります。そのため、役員報酬に対して所得税が課税され、給与所得に該当します。

(3)消費税

前述の通り、プロ野球選手には消費税が課税されますが、会社設立により最長2年間消費税が免除されます。たとえば、年俸1億円、CM出演料1億円のプロ野球選手がいるとします。全額個人名義で受け取れば、2億円に対して消費税が課税されます。しかし、CM出演料1億円を会社名義で受け取れば、消費税の課税対象は年俸1億円のみになります。

プロ野球選手の節税対策は?

ある元プロ野球選手は国税局から3年間で約3,900万円の申告漏れを指摘されて、その追徴課税は1,600万円とみられます。必要経費を過大計上したのが理由です。

 

前述の通り、プロ野球選手の必要経費は実額で計算します。そのため、必要経費の範囲を知り活用することがプロ野球選手の節税対策のポイントといえます。

プロ野球選手|経費に計上できるもの・できないもの

プロ野球選手は個人事業主と同じように、支出した費用が「事業に関連する」ことが必要経費に計上する基準になります。そこで、計上できるもの・できないものについての具体例を説明します。

経費に計上できる具体例

プロ野球選手の「事業に関連する」とは、選手活動に直接必要な費用および管理費用に区分できます。

(1)自宅家賃、水道光熱費、電話代

自宅の一部を事業用と使用している場合、費用のうち事業割合に応じた金額が必要経費に計上できます。

(2)トレーニング機器

機器の購入費用が30万円未満なら一括で必要経費に計上できます。一方、購入費用が30万円以上なら税法上の使用可能期間である耐用年数に応じて、複数年にわたって必要経費を計上します。

(3)ジムの利用料、トレーナーへの報酬、マッサージ代、プロテイン代

体のメンテナンスなど選手活動に必要な費用は必要経費に計上できます。

(4)自己負担した道具代

バット、グローブ、スパイクなど道具の自己負担額は必要経費に計上できます。

(5)交際費、飲食費

選手活動に関係する交際費、飲食費は必要経費に計上できます。

(6)電車、タクシー、飛行機代などの交通費

自主トレなどの移動に必要な交通費は必要経費に計上できます。

(7)自動車の購入費用、ガソリン代、高速代

球場や練習場までの移動に使用する自動車にかかる費用は必要経費に計上できます。ただし、購入費用が30万円以上の自動車は税法上の使用可能期間である耐用年数に応じて、複数年にわたって必要経費に計上します。

(8)選手会の会費

選手活動に必要な費用であるため、必要経費に計上できます。

(9)税理士などに支払う報酬

確定申告の依頼など間接業務の費用も必要経費に計上できます。

経費に計上できない具体例

選手活動に関係ない生活費は必要経費に計上できず、具体的には次の通りです。

(1)家族との食事代

前述の元プロ野球選手も家族との食事代を必要経費に計上して、国税局から指摘を受けています。

(2)腕時計、スーツ代、クリーニング代など

選手活動と関係ないため、必要経費に計上できません。

(3)家族旅行

自主トレと関係ない旅行費用は必要経費に計上できません。

会社設立により経費に計上できる具体例

会社設立により、法人のみ経費(損金)に計上できる項目について説明します。

(1)会社から支給する親族の給与

配偶者などに支給する給与は経費に計上できます。

(2)本人に対する出張手当

旅費規定に則っていれば、プロ野球選手である本人に対する出張手当(日当)を経費に計上できます。

(3)社宅家賃

賃貸物件を会社で借り上げ、プロ野球選手である本人に貸す形式を採れば、社宅家賃として経費に計上できます。

プロ野球選手の確定申告

プロ野球選手の確定申告について見ていきましょう。

所得税の確定申告

プロ野球選手は純粋な個人事業主と会社設立した場合によって確定申告の方法が異なります。

(1)個人事業主の場合

年間所得税と源泉所得税の差額分を清算し、次の通りになります。

  • 年間所得税>源泉所得税:差額分を納付
  • 年間所得税<源泉所得税:差額分を還付
(2)会社設立をした場合

個人事業主にかかる事業所得と役員報酬にかかる給与所得を合算します。また、上記(1)と同じように年間所得税と事業所得と給与所得にかかる源泉所得税の差額分を清算します。

消費税の確定申告

プロ野球選手は課税事業者に該当する場合は消費税の確定申告もします。原則は受け取った消費税(課税売上高に対する消費税)と支払った消費税(仕入税額控除)を実額で計算し、差額分を納付するのが原則です。ただし、前々年の年俸などの収入が5,000万円以下の場合、課税売上高をベースに概算額で仕入税額控除を計算する簡易課税制度の選択が認められています。

確定申告後にかかる税金

プロ野球選手は納税額が多額になる傾向にあり、確定申告後にかかる税金にも影響します。

1年遅れで住民税が課税される

前述の通り、収入を得た年の翌年に住民税が課税されるため、1年遅れの課税といえます。特に年俸が大幅にダウンした場合、少ない収入に対して多額の住民税を納付しなければならず、納税資金の確保が大変になる可能性があります。

所得税と消費税の予定納税もある

予定納税とは、前年の税額をベースに今年の税金を前払いする制度であり、プロ野球選手は多額になる傾向にあります。そこで、所得税と消費税の予定納税について説明します。

(1)所得税

年間所得税の3分の2を7月末、11月末に納付します。

(2)消費税

前年の年間消費税に応じて次の通りになります。

①年間消費税が60万円超500万円以下

年間消費税の2分の1を原則8月末に納付します。

②年間消費税が500万円超6,000万円以下

年間消費税の4分の1を原則5月末、8月末、11月末に納付します。

③年間消費税が6,000万円超

年間消費税の12分の1を毎月末日に納付します。

まとめ

プロ野球選手にかかる税金はさまざまであり、会社設立などの工夫を施せば節税につながります。しかし、税額が多額になる傾向にあるため、税務調査で間違いを指摘された場合や年俸など収入のアップダウンにより、税金の納付が大変になります。この記事をプロ野球選手の税金のニュースを見るときの参考にしてはいかがでしょうか。

阿部正仁
TAX(税金)ライター。会計事務所で約10年間の勤務により調査能力を身に付けた結果、企業分析の能力では高い定評を得、法人から直接調査を依頼される実績も持つ。コーチングスキルを活かした取材力で、HP・メディアでは語られない発言を引き出すのが得意。
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