【法人の税金】
起業する前からできる節税対策について徹底解説
【法人の税金】  起業する前からできる節税対策について徹底解説

2019/6/4

 
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法人の税金は起業する前からできる節税対策を実施する・しないによって、税金面で差が生じます。しかし、起業し、法人を設立するだけでも労力を使い、節税対策まで頭が回らないかもしれません。そこで、起業と節税をテーマに節税対策の基本について解説します。

設立した年度にかかる税金

設立した年度にかかる税金について説明します。

法人設立の時に課税される税金

株式会社、合同会社、合名会社、合資会社を設立の時には登録免許税が課税されます。税額は次の通りです。

内容 課税標準 税率
株式会社 資本金の額 1,000分の7
(最低15万円)
合名会社又は合資会社 申請件数 一律6万円
合同会社 資本金の額 1,000分の7
(最低6万円)

会社のもうけに対して課税される税金

会社のもうけに相当する法人所得に対し、次の税金が課税されます。

(1)法人税

株式会社などの普通法人の法人所得に対して、原則23.2%が課税されます。ただし、資本金1億円以下の中小企業(大企業のグループ企業を除く)の場合、年800万円以下の法人所得に対し、軽減税率19%が適用されます。

(2)地方法人税

法人税に対して、4.4%課税されます。ただし、令和元年(2019年)10月1日以降に設立した場合は税率が「4.4%→10.3%」に引き上げられます。

(3)法人住民税

法人住民税は「法人税に対して課税される所得割」と「赤字でも課税される均等割」の2種類存在します。たとえば、東京23区の中小企業の場合、所得割の税率は設立した日に応じて次の通りになります。

  • 令和元年9月30日までに設立した場合:12.9%
  • 令和元年10日1日以降に設立した場合:7%

 

なお、地方法人税と法人住民税を合計した税率は改正前と改正後も変わりなく、17.3%になります。

 

一方、均等割は最低年7万円になり、設立年度の期間に応じて月数按分します。

(4)法人事業税

法人所得に対して、税率を掛けて計算します。たとえば、東京都の中小企業は軽減税率が適用されるため、基本的に税率は次の通りになります。ただし、令和元年10月1日以降に設立する場合の税率は現時点で未定です。

  • 年400万円以下の所得:3.4%
  • 年400万円を超え年800万円以下の所得:5.1%
  • 年800万円を超える所得:6.7%

役員報酬に対して課税される税金

設立年度に役員報酬を支給すれば、源泉所得税と社会保険料が課税されます。源泉所得税は給与所得にかかる所得税の前払いであり、支給額と扶養親族の人数に応じて算出します。一方、社会保険料は、厚生年金、健康保険、介護保険を合わせた料率が支給額の約30%であり、個人と会社が15%ずつ折半します。

会社の資産に対して課税される税金

会社の場合、土地や家屋以外に、自動車を除いた動産の資産や賃貸物件の改装費用などの資産に対して「償却資産税」という固定資産税が課税されます。資産の現在価値に相当する「購入価格-減価償却費」に税率1.4%を掛けて計算します。ただし、「購入価格-減価償却費」が150万円未満なら償却資産税は免除されます。

設立した年度中にできる節税対策とは?

設立した年度中に節税対策を意識するかどうかで、納付税額に差が生じます。そのため、設立後に実施できる節税対策はもちろん、知識があるだけで設立前からできる節税対策が大切になってきます。

設立した年度で実施できる節税対策

設立した年度で実施できる節税対策の基本について説明します。

資本金の設定額を適切にする

設立する時の資本金の設定額によって、消費税と登録免許税に影響を及ぼします。基本的に設立してから2年間消費税は免除されますが、設立した時の資本金が1,000万円以上なら、消費税は課税されてしまいます。

 

また、株式会社や合同会社を設立した時の登録免許税も資本金の設定額によって税額が左右されます。

青色申告を選択する

法人設立の手続きで青色申告を選択することが節税対策の基本といえます。次の青色申告の特典を利用することで節税対策の幅が広がるためです。

(1)30万円未満の消耗品を一括で経費に落とす

原則、消耗品は10万円未満までしか一括で経費に落とせませんが、青色申告の特典により一括で経費に落とせる範囲が30万円未満まで拡大されます。

(2)設立年度の赤字を次年度以降に利用する

設立年度の赤字額を次年度以降の経費に落とせる制度のことを「繰越欠損金」といい、最大10年間利用することができます。

納期の特例を利用する

役員報酬や税理士報酬の支払時に課税される源泉所得税は毎月納付するのが原則です。しかし、従業員10人未満に認められた「納期の特例」を利用することで、納付回数を「年12回→年2回」に減らすことができます。事務的手間が省けるのはもちろん、源泉所得税の納付を先延ばしにすることで、資金繰りが楽になるかもしれません。

役員報酬を上手に活用する

法人の場合、事業活動のもうけを「法人所得(会社の利益)=法人名義」と「役員報酬=経営者個人の名義」に分散することができ、個人にかかる所得税の税率のコントロールが可能です。そのため、役員報酬の設定額により、税率と納付税額に差が生じます。

役員報酬の金額を設定するポイント

役員報酬の金額を設定するために押さえておきたいポイントについて説明します。

会社の利益を的確に予測する

事業活動のもうけを法人と個人に分散し、税率をコントロールするためには、設立前に会社の利益を的確に予測することが大前提になります。後述するように、一度設定した役員報酬の金額を自由に変更することができないためです。

月額報酬を設定する方法

事業活動のもうけを個人名義にしたい金額を設定することがポイントになります。月額報酬として支給すれば、定期同額給与となり、後述する役員賞与よりも経費で落とせるハードルが低くなります。定期同額給与として経費で落とすためには、月額報酬を毎月同額にし、年度末まで変更しないのが原則です。

役員賞与も活用できる

役員賞与も事前確定届出給与として経費で落とすことは可能です。しかし、前述の月額報酬よりも経費で落とすハードルが高く、税務調査で否認された場合のリスクが大きい傾向にあります。そのため、会社の利益が予測以上の場合に限り、役員賞与を支給する方法がおすすめです。たとえば、利益が多い場合、役員賞与を事前確定届出給与の届出どおり支給すれば経費で落とせます。一方、利益が少ない場合、全く支給しなければ役員賞与にかかる税金は発生しません。

綿密な事業計画書を作成する

創業融資を申し込む場合などには、事業計画書の作成が求められます。事業計画書では会社の利益の予測だけなく、売上計画など会社の利益の根拠となる部分を記入しなければなりません。そのため、綿密な事業計画書を作成し、精度を高めることが会社の利益を的確に予測することにつながります。

まとめ

法人設立をしたときにできる節税対策として、資本金の設定額、青色申告の特典の利用、役員報酬の金額の設定を紹介しました。最も高度なのは役員報酬の金額の設定であり、会社の利益を的確に予測することがポイントになります。そのため、起業するなら精度の高い事業計画書を作成しましょう。

阿部正仁
TAX(税金)ライター。会計事務所で約10年間の勤務により調査能力を身に付けた結果、企業分析の能力では高い定評を得、法人から直接調査を依頼される実績も持つ。コーチングスキルを活かした取材力で、HP・メディアでは語られない発言を引き出すのが得意。
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