海外進出にむけて! 税金の注意点と対策を解説

海外進出にむけて! 税金の注意点と対策を解説
公開日:
2019/06/27
 
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グローバル化が進み、海外進出を考えている企業も多いのではないでしょうか。しかし、海外事業に関する税金の知識がないと損をしてしまうことがあります。ここでは、海外進出に関する税金の基礎的な知識と対策について解説します。

海外進出での注意点:二重課税とは?

二重課税が起こる仕組み

日本の税制は「居住地国課税(全世界所得課税)」、つまり、居住地のある国の税制に従って課税と納税を行うことを原則とします。そのため、日本に住む人が海外で所得を得た場合でも国内で得た場合でも、同じように日本に対して納税の義務が生じます。これに対して、「源泉地国課税」という税制もあり、これは居住地に関係なく所得が生じた地点で課税するものです。もし日本に住む人が源泉地国課税を適用する国で所得を得ると、どちらの税制も効力があるので2回納税する義務が生じます。これが二重課税の原因になります。

二重課税で企業がどれくらい損をするか

例えば、居住地国課税を採用している日本にある企業が、源泉地国課税を採用しているA国の企業から、何らかの支払いとして100万円を受けた場合を考えます。A国による企業所得への課税率が20%、日本による税率25%とすれば、日本の企業の手元に残る最終額は、100×0.8×0.75=60万円まで目減りしてしまいます。しかし、もし何らかの対策によって二重課税を避けることができれば、これを100×0.8=80万円100×0.75=75万円程度に抑えることができます。

制度利用による対策

二重課税を回避する方法は大きく分けて3つあり、最適な方法はケースバイケースで異なります。

租税条約

国際的に国家間で締結する、二重課税を解消するための条約の総称です。日本は100ヵ国以上と締結しています。
 

  • 仕組み
    個別の国や事柄について、二重課税が生じる状況でどのように対応するかが決定されています。二重課税が生じた場合、則れる条約に基づいて届け出ることで、税率を軽減できたり免税できたりします。
  • メリット
    主要な国との取引については制度が整えられており、細かい計算も省けるため、ある程度安心して活用できます。
  • デメリット
    基本的には租税条約の規定が国内法より優先されますが、国によってはそうならない場合もあるので、いかなる状況でも絶対に二重課税を解消できるというものではありません。カバーできない部分については他の対策を講じる必要があります。
  • 注意点
    事前に書類を提出する必要があります。後日提出することもできますが、届け出が遅れればその分延滞税などのペナルティーが課されることもあるので注意が必要です。

外国税額控除

日本で採られている制度で、二重課税が生じた場合に一定額を所得税額から差し引きます。
 

  • 仕組み
    二重課税を解消するために設けられた制度で、所得税額を「(その年の所得税額)×(その年の国外所得総額)÷(その年の所得総額)」を限度額として控除できます。
  • メリット
    発展途上国などとのやり取りの場合、その国で税率を軽減されても本来の税額が控除に適用される「みなし外国税額控除」が認められることがあり、お得になる可能性があります。もし発展途上国や租税条約の締結されていないような地域に進出する場合は、積極的に活用するのも一手です。
  • デメリット
    取引きや支払いによっては適用できない場合も存在するので、国税庁のウェブサイトなどで確認しておく必要があります。
  • 注意点
    国によっては、控除限度額よりも高額の課税がなされることがあります。この場合、復興特別所得税額の減額が認められており、どのように申請すべきかその都度判断が必要になります。

外国子会社配当益金不算入制度

日本で採られている制度で、日本にある親会社が、外国にあっていくつかの条件を満たす子会社から受ける配当を益金不算入にできます。
 

  • 仕組み
    日本にある親会社が、外国にあって条件を満たす子会社から受ける配当の95%を益金不算入にします。この制度の適用される分の源泉税については、外国税額控除を適用せず、損金にも算入されないことになります。
  • メリット
    二重課税について親会社と子会社が関わる配当については、他の2つの方法に比べて煩雑な部分を大きく省くことができます。
  • デメリット
    全ての子会社が適用できるわけではありません。具体的には、外国企業の持株割合が25%以上(租税条約により異なる割合が適用される場合もあります)でかつ、保有期間が6ヶ月以上である必要があります。
  • 注意点
    証拠となる一定の明細、計算、書類などを残しておく必要があります。

節税方法

タックスヘイブン

節税の方法としてよく取りざたされるものに、タックスヘイブンがあります。こちらは、うまく活用すれば効果はありますが、リスクも高いため、利用する際には注意が必要です。
 

  • 仕組み
    タックスヘイブンとは、税金避難地や租税避難地とも呼ばれ、課税率が比較的低い、税制上の特典がある、法律などでも優遇されるといった特徴が故に、節税対策などの目的で利用される国や地域を指します。タックスヘイブンを居住地とする、そこに企業を設立する、そこにある企業から贈与などを受ける、その地に利益を集中させるなどの方法がとられます。
  • メリット
    最大の利点は節税効果です。日本では30%程度にも及ぶ所得税を始めとする各種税金を、タックスヘイブンであれば0~15%程度にすませることができます。また、タックスヘイブンでは基本的にお金の流れが秘匿され、不透明なままにされる傾向があるので、申告や届出も省くことができます。資金、時間、手続きのそれぞれの面で恩恵が大きいと言えます。
  • デメリット
    政治や制度の面で不安定である可能性があります。タックスヘイブンがあるような地域は、発展途上であるが故に企業を誘致したいという意図があり、裏を返せばまだまだ未発達である傾向があります。そのため、流動的な情勢に左右される部分も多く、預けるなどしていたお金が突然失われるといったリスクも考慮に入れる必要があります。また、タックスヘイブンを利用していることが知られると、税金逃れといった印象を持たれ、企業イメージが悪化する恐れもあります。
  • 日本での規制
    日本でもタックスヘイブン対策税制が存在し、タックスヘイブンを利用して税金を低く抑えようとする企業に対して課税することが試みられてきました。具体的には、法人税が0か税率20%未満である外国にある子会社等の所得は、日本にある親会社等の所得に合算して課税されることになります。適用外となる場合もあり、この適用対象は、株式保有率や、実際の事業活動があるかどうか等の条件で判断されます。
☆ヒント
海外進出に踏み切れば、手続きや調整がそれまで以上に煩雑になります。これらに加えて、細かい計算や申告までカバーするのは非常に面倒な作業と言わざるをえません。企業内で全てをこなそうとすれば、見落としや勘違いも生じやすくなります。こうした煩雑な部分は税理士に任せて、スムーズな海外進出の一歩を踏み出してみてはいかがでしょうか。

まとめ

日本と海外では勝手が違う部分も多く戸惑いますが、そのような制度の違いに阻まれて機会や利益を逃すことは避けたいところです。海外進出した結果、国内に留まっていた時よりも損してしまったといった事態にならないように慎重に対策しつつも、着実に展開していくことが重要と言えます。

山本麻衣
東京大学卒。現、同大学院所属。
学生起業、海外企業のインターンなどの経験を経て、外資系のコンサルティング会社に内定。
自分の起業の経験などを踏まえてノウハウなどを解説していきます。
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