いまブームの「山を買う」
そのとき注意したい5つのこと

いまブームの「山を買う」  そのとき注意したい5つのこと
公開日:
2021/02/16
 
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“非日常”の生活を求めて、「自分だけの山を持とう」という夢を抱く人が増えているようです。実際、車で行ける場所にちょっとした森を買い、週末をそこで過ごす家族の姿がメディアで紹介されたりもします。ただし、少し気になるのは、「安く買えて、充実ライフを実現できる」といったうたい文句が先行してはいないか、ということ。山を買うのは、例えば自宅を購入するのとは違った注意点があるのです。「こんなはずでは」とならないために、頭に入れておくべきことについて解説します。

購入は「簡単」だが、使い道には規制があることも

そもそも論として、山は簡単に買えるものなのでしょうか? 答えは、「基本的にイエス」です。山林だからといって、私有地の売買自体に特別の規制があったり、許可が必要だったりすることはありません。専門の不動産会社などもありますし、後で説明する税金の支払いが重荷になったり、「いらない土地」を相続せざるをえなかったりなどを理由に、「売りたい人」も多くいます。その気になれば、夢を実現できる可能性は、十分あると言えるでしょう。

 

ただし、気をつけたいのは、その山林の「使い方」は、自由にならない場合があること。具体的な「夢」の中身は、人によって違います。「時々訪れて、キャンプや山登りの拠点にする」「別荘代わりのログハウスを造りたい」といったニーズによって、土地を選ぶ必要があるのです。

【注意点1】建物は基本NGの「市街化調整区域」

「市街化調整区域」という言葉を、耳にしたことがあると思います。都市計画法という法律に定められているもので、「無秩序な市街化を防止」するために指定された区域のことです。このではエリアでは、原則として建物を建てることができません。何かを建てたいのならば、事前によく調べておくべきでしょう。

 

そこが「市街化区域」ならば、基本的に自由に住宅などを建てることができます。ただし、基礎が必要な建物を建築する場合は、建築基準法や都市計画法、自治体の条例による規制があります。山林にも当然これらの法律が適用されますから、建物(建て方)によっては、自治体の開発許可などが必要になります。

【注意点2】勝手に木を伐採できない土地もある

一方、山林は森林法という別の法律により、「保安林」に指定されていることがあります。水源涵養機能の維持や土砂災害防止などの目的で農林水産大臣または都道府県知事によって指定されるのですが、この土地では、法による「行為制限」(規制)が定められています。

 

具体的には、①立木の伐採制限(保安林で立木を伐採する場合は、都道府県知事の許可または届出が必要。伐採できない木もある)、②土地形質の変更制限(土地の開墾や整地、掘削などの形状変更、家畜の放牧、立木の損傷などを行う場合は許可を得る必要がある)、③伐採後の植栽義務(伐採後の跡地に植栽する義務が生じる場合がある)――という規制があるのです。

 

ところで、「保安林」と聞くと、公の土地のようにも感じられるのですが、そうではありません。通常の山林同様、自由に売買されています。加えて、「森を守る」代償として、固定資産税、不動産取得税は課税されず、相続税や贈与税も資産評価の際に大幅に控除される、などの優遇措置が設けられています。ちなみに、日本の森林面積の半分は、この保安林です。

忘れてはならない税金のこと

家を建てるための土地に比べれば、山ははるかに安く手に入ります。ただし、土地という不動産である以上、そこにかかる税金のことも念頭に置く必要があります。

【注意点3】固定資産税は「地目」、「現況」で変わる

山を買った場合、まず必要になるのは「不動産取得税」です。土地や家屋を新たに取得した際に、1度だけ課税される地方税(都道府県税)で、税額は土地や家屋の固定資産税評価額(※)に一定の税率を掛けて算出されます。

 

また、原則として毎年課税されるのが、「固定資産税」です。こちらの税額は、「固定資産税評価額×1.4%」とされています。「評価額」が高ければ、払う税金も多くなる計算ですが、その評価は、不動産登記法に定められた「田」、「畑」、「宅地」、「学校用地」といった「地目」ごとに、地方自治体の手で行われることになっているのです。

 

「山林」も、全部で23ある地目の1つで、当然、宅地などに比べれば、その評価は低くなります。ですから、趣味の範囲で山を買う程度であれば、驚くほどの税金を取られる心配はないでしょう。この税には、「土地については30万円」という「免税点」も設けられていますから、もし評価額がそれ未満ならば、課税はされません。

 

ただし、土地の評価に当たっては、登記上の地目ではなく「現況」が優先されることには、注意が必要です。どういうことかというと、仮にその土地に住宅を建てれば、地目は山林であっても宅地として評価され、割高の固定資産税が課税されることになるのです。この点でも、「買った山林をどう使うのか」をはっきりさせておくことは、重要です。

 

※固定資産税評価額
固定資産税・都市計画税、不動産取得税、登録免許税の計算の基となる評価額。公示価格(一般の土地の取引価格に対する指標になる、毎年1月1日時点の価格)の70%の水準になるように調整されている。

山は「生きて」いる

【注意点4】維持・管理にもコストが!?

時々買った山に出かけては、森林浴を楽しんだり、キャンプをしたり。その一瞬を切り取ればハッピーそのものですが、そこが他人の手の入らない山林であることをお忘れなく。現場の状況にもよりますが、夏場にはあっという間に草や低木が生い茂り、少し見ないうちに荒れ地の様相になることもあるのです。

 

「平地」にある自宅の庭とは違い、快適な環境を維持するためには、思った以上にこまめな手入れが必要になると考えるべきでしょう。誰かにそうした仕事を頼むことになれば、その対価が必要になるかもしれません。

【注意点5】「出口戦略」はありますか?

何らかの理由で、山が必要でなくなったり、行けなくなったりすることもあるはずです。その場合、まず考えられるのは売却ですが、山林の取引はそもそもそんなに活発ではありませんから、すぐに売れる保証はありません。買値を大幅に下回る可能性も、当然あります。

 

もし、それを所有したまま亡くなれば、相続されることになります。さきほど説明したように、税金はそれほど心配する必要はありませんし、相続人が喜んでもらってくれるのならば、問題はないでしょう。しかし、みんなで押し付け合ったあげく、維持・管理にコストばかりが嵩んだり、荒れ放題の土地のために毎年固定資産税を支払ったりという「お荷物」になる可能性も否定できないのです。山林を購入する場合には、不用になったときの管理や売却、さらには相続のことまで、しっかり考えておくべきでしょう。

まとめ

「山を買う」がブームの兆しを見せています。安く買えて、日常にない楽しみを得られるのは魅力ですが、山林には普通の土地にはない制限などもあることに注意しましょう。

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