出向社員の人件費の取り扱い

【質問】
当社は親会社から、6月1日付けで出向社員を受け入れることになっています。その中で、親会社では従業員であったA氏を当社では役員として受け入れることになります。 役員報酬を損金にするためには、いろいろな規定があったかと思いますが、出向者に対してもいろいろな規定があるのでしょうか?
【回答】
出向元会社では一般社員だった方を出向先会社で役員として処遇する場合、一定の要件に該当していなければ、役員給与を損金処理できません。十分な準備が必要になります。
不況が本格化し、派遣切りや新卒の内定取消し、リストラなど、労働市場の冬の時代が到来した、という今日この頃。 御社は出向社員を受け入れられたということですが、昔から、人減らしのためのソフトなリストラ手段として活用されているのが、子会社や関連会社への出向です。
出向では、出向先で税務上のミスが生じやすいので注意が必要です。
ご承知の通り、出向元となる会社が一般社員を出向者として子会社や関連会社に出向させた場合、給与は出向元となる会社から支給するのが一般的です。
出向先会社は、出向元会社に対して負担すべき給与相当額を支払うことになります。この給与負担金は、出向先法人の出向者に対する給与として取り扱えるため、損金として処理できます。
しかし、御社のケースのように出向元会社では一般社員だった方を、出向先会社で役員として処遇するケースもあります。
こうしたケースでは、一定の要件に該当していなければ、役員給与を損金処理できません。
その要件とは、役員にかかる給与負担金の金額について、その役員に対する給与として出向先会社の株主総会や社員総会、またはこれに準じたものの決議がされていることとされています。
また、出向契約などで出向者にかかる出向期間や給与負担金の金額があらかじめ決められていなければなりません。 さらに、出向先会社は、所轄の税務署に、事前確定届出給与の届出を行うことになります。
6月の受け入れタイミングにあわせて、十分な準備をしてください。不明点等は税理士等にお問い合わせください。
新着記事
人気記事ランキング
-
【最新動向】ガソリン税「暫定税率」12月廃止の可能性は?与野党合意に向けた最新協議と価格変動・代替財源の論点解説
-
ふるさと納税「ポイント還元」2025年9月30日で廃止へ!寄付者・自治体への影響と今後の活用法を解説
-
税務署に狙われる?相続税の「うっかり」申告漏れ財産ベスト3
-
補助金・助成金は課税対象?確定申告・会計処理まで完全ガイド
-
相続税対策としての生命保険の「非課税枠」とは その使い方と注意点を解説
-
防衛特別法人税とは?2026年4月から法人税に“1%の上乗せ”スタート
-
会社都合退職と自己都合退職の違いとは?失業保険の受給条件や給付制度について徹底解説
-
退職の失業給付・育休が変わる!2025年雇用保険制度の変更点まとめ
-
安心できる遺言の残し方「自筆証書遺言書保管制度」とは?そのメリット、手続き方法を解説
-
外国人による日本不動産購入の最新ルールと今後の規制を解説



