修繕費と資本的支出のチェックポイント-1

建物や設備などの資産は長期間使用していると故障、破損したり、性能が落ちてきます。そのため、その建物や設備等は一定期間においてメンテナンスされることが常なのですが、税務上、そのメンテナンス費用は「修繕費」と「資本的支出」に区分して処理する必要があります。
ところが、実務上、その区分は大変複雑で税務調査時によく指摘されます。今回は修繕費と資本的支出について、チェックするポイントをお話いたします。しっかり説明したいので2回シリーズでお送りいたします。
「資本的支出」とは、対象となる資産の性能や価値を上げたり、耐用年数を延長させたりするために支出する費用のことを言います。一方、「修繕費」は資産の維持回復、修理用の費用のことをいいます。
修繕費として処理できれば、その費用は支出した事業年度において全額損金にできますが、資本的支出の場合は一定期間において償却(=損金化)していくことになります。節税面で考えれば修繕費として処理できた方が有利です。
基本的に「支出額が20万円未満」または「支出の周期がおおむね3年以内」の場合は、その実態の如何(いかん)を問わず、修繕費として処理することが認められています。しかし、それ以外の場合には修繕費と資本的支出を判定するのが困難なケースも多く、税務調査の際に指摘される可能性があるため、慎重な判断が求められます。
そこで、修繕費と資本的支出の区分が難しいときは、簡便的な判断基準である形式基準を使って判定することができます。形式基準では「支出額が60万円未満」または「支出額が対象資産の前期末取得価額の10%以下」で判定され、そうであれば修繕費として処理することができます。また、継続適用を条件に支出金額の30%、または前期末取得価額の10%を修繕費として計上できる特例もあります。
新着記事
人気記事ランキング
-
【2025年参議院選挙まとめ】仕組み・注目点・過去の傾向と全体像をわかりやすく解説
-
【2025参院選】主要政党の政策比較|物価高・年金・防衛の争点を徹底解説
-
大阪万博2025の全貌!注目の見どころ・費用・楽しみ方を徹底解説
-
【2025年参院選】参議院選挙の制度・投票方法・比例代表の仕組みを徹底解説
-
【2025参院選】注目の争点と各党の政策を徹底比較 消費税・減税・インボイス制度
-
米国向け輸出入企業必見!トランプ関税が導入されたら?国別影響と対応策を仮想シナリオで徹底解説
-
裏金問題とは?政治資金の透明化と不正の実態を解説
-
【2028年4月施行予定】新遺族年金制度の変更点まとめ
-
5月末が申告期限!3月決算企業の法人税務申告ガイド
-
オフィスの観葉植物は経費計上できる?正しい仕訳方法と注意点を解説