「日経平均」3万円台回復、「TOPIX」31年ぶり高値 ところで、それぞれの指標の違いは? – マネーイズム
 

「日経平均」3万円台回復、「TOPIX」31年ぶり高値
ところで、それぞれの指標の違いは?

    公開日:
    2021/09/29
     
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    株式市場が活況を呈しています。9月上旬、日経平均株価が約半年ぶりに3万円の大台を回復した一方、TOPIX(東証株価指数)も1990年8月以来、約31年ぶりの高値水準をつけました。ところで、ともに株価の全体的な値動きを示すこの2つの指標が、具体的にどういうものなのか、理解していますか? わかりやすく解説します。

    日経平均とは?

    「政局」が生んだ株高

    実は株高は世界的なトレンドで、2021年9月6日には「MSCI世界株価指数」が過去最高を更新しました。これは、MSCI(モルガン・スタンレー・キャピタル・インターナショナル)社が算出、公表している指標で、日本を含む世界の主要23カ国の株式で計算されています。

     

    日本の株価に大きく影響したのは、9月3日の菅首相の退陣表明でした。体制の一新で、総選挙による政権交代リスクが薄まったことなどから、買いが先行したと分析されています。新型コロナのワクチン接種が進み、経済正常化が視野に入ってきたことも、上昇要因になりました。

    225の代表銘柄で構成

    では、日経平均株価から説明していきましょう。テレビのニュースなどで最も耳にするのが、これだと思います。日経平均は、東京証券取引所(東証)一部に上場する約2,000銘柄のうちから225銘柄を選定し、その株価を基にして算出される指数です。225社を選定するのは、日本経済新聞社。だから「日経平均」なのです。「日経225」とも呼ばれます。

     

    かつては、全社の株価を合計して225で割るという単純なやり方で算出していましたが、株式分割(例えば1株を2株に分ける=1株当たりの株価は下がる)をする会社があったりした場合に修正を加えるなど、現在は、特殊な調整を行って株価の連続性を維持する工夫がなされています。

    選定の基準は?

    この225銘柄の構成は、固定されたものではなく、年に1回の定期見直しにより入れ替えが行われます。その際、基準となるのは、市場流動性(売買の活発さや安定度)で、流動性の高い銘柄が採用され、低くなった銘柄が除外されます。

     

    さらに、業種のバランスにも配慮されます。自動車や銀行、鉄鋼、商社など業種を36に分類し、これを大まかに「技術」「金融」「消費」「素材」「資本財・その他」「運輸・公共」という6つのセクターに分けて、偏りのないように選んでいるのです。

     

    またこれとは別に、構成銘柄が上場廃止になるといった突発的な理由が発生した場合には、臨時入れ替えが行われることになっています。なお、直近(9月6日)の定期見直しでは、キーエンス、村田製作所、任天堂の3社が「新規採用」となりました。

     

    当然のことながら、225銘柄に採用されるのは、企業にとってメリット大。ステータスが高まるだけでなく、株式指標に基づくインデックス投資の対象とされ、株価などにとっても好材料となるからです。

    本当に「平均」なのか?

    このように、日経平均株価は、「流動性の高い225銘柄の平均」と言い換えることができます。しかし、これで本当に市場全体の動向が測れるのでしょうか? 実は、そこが日経平均の“アキレス腱”とも言えるのです。225は、文字通り「選ばれた企業」ですから、その株価動向が全体の市場環境と一致しないこともあり得ます。

     

    一番の問題は、日経平均採用銘柄の中でも株価の高い、ファーストリテイリング、ソフトバンク、東京エレクトロンといった「値がさ株」の動向に、平均株価が大きく左右される構造になっていることです。極論すると、東証一部の2,000社の大半が株価を上げているのに、225採用の値がさ株の一角が大幅に下げたために、日経平均もマイナスになってしまった、といったことが起こりうるわけです。

     

    これでは「日本を代表する株価指数」としては問題だとして、今回の銘柄の定期見直しに合わせて、構成銘柄の株価の高低を考慮した「株価換算係数」を採用するという、新たな選定ルールが実行に移されました。今後、その効果のほどが試されることになります。

    TOPIXとは?

    全銘柄が対象の指標

    次にTOPIX(東証株価指数)です。こちらは、東証が1969年7月から公開している株価指標で、東証一部全銘柄を対象にしているところが、日経平均との違いです。

     

    こちらのベースになるのは、各銘柄の浮動株(発行されている株式の中で、安定した株主に保有されておらず、市場に流通する可能性の高い株式)数に基づく時価総額(株式数×株価)です。具体的には、基準日=1968年1月4日の時価総額を100として、毎日の時価総額を指数で表したものになります。

     

    TOPIXの場合は、トヨタ自動車、ソニー、ソフトバンクといった時価総額の大きな銘柄の寄与度(全体の指数に与える影響度)が高くなります。ただし、全銘柄を対象にしていることもあって、日経平均の値がさ株に比べれば、それらの寄与度は高くありません。

    市場全体の動向を反映

    こうしたことから、市場全体の株価動向をストレートに反映しやすいのがTOPIXの特徴です。これに対して日経平均は、「主要銘柄の動きをより正確に把握できる指標」と言えるでしょう。

     

    ただ、やはり東証一部全体をカバーしているのは強みで、国内株式で運用される投資信託の指標としては、日経平均よりも多く採用されています。日本銀行が買い入れ対象とするETF(上場投資信託)は、今年3月からTOPIX連動型に一本化されました(従来は、日経平均連動型ETFもありました)。

    市場区分見直しでTOPIXから脱落も

    ところで、東証は2022年4月4日に市場区分を再編し、現在の一部、二部などに代わり、「プライム」「スタンダード」「グロース」が誕生します。

    これに伴ってTOPIXの改革も行われることになっています。説明してきたように、現在は東証一部に上場していれば、自動的にTOPIX銘柄に採用されたわけですが、流通株式(会社が発行済みの株式から、自己株式、役員が保有する株式、保有比率10%以上の主要株主が保有する株式などを差し引いたもの)時価総額が100億円に満たない企業は、移行期間を経て、25年1月には対象から外されることになります。

    まとめ

    日経平均は、東証一部を代表する225銘柄の平均株価、TOPIXは全銘柄の時価総額を示す指数になります。関連する投資を行う際などには、その特徴をよく理解しておくことが大事になります。日経平均の新たな銘柄選定ルールの導入や、来春の市場区分再編の影響などにも注目です。

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