国民健康保険料の上限が引き上げに!今知っておきたい国民保険料のこと – マネーイズム
 

国民健康保険料の上限が引き上げに!今知っておきたい国民保険料のこと

公開日:
2022/01/07
 

先日、来年度から国民健康保険料の上限が引き上げられるという報道がありました。自営業者や学生など、国民健康保険に加入している人にとっては、気になるニュースです。

 

そこで、2021年10月下旬に報道された、2022年度から国民健康保険料の上限が引き上げられるニュースや、そもそもの国民健康保険のしくみなどについて解説します。

 

国民保険料の上限が3万円の引き上げに

 

はじめに、2022年度から国民健康保険料の上限が引き上げられるニュースについて、見ていきましょう。

 

2021年10月22日、厚生労働省が、高所得者における国民健康保険の年間保険料上限額を来年度から3万円引き上げて85万円にする案を社会保障審議会に示し、了承されました。これにより、国民健康保険料の上限額は、82万円から85万円になります。

 

国民保険料の上限額が3万円引き上げになるのは、あくまで高所得者が対象です。どれくらいの収入があれば国民保険料の上限額を支払う対象に該当するのか、世帯の構成などで異なりますが、単身世帯でみると年収がおよそ1,140万円以上の人が対象になります(加入者全体の1.58%)。

 

国民健康保険料上限額の引き上げが行われる背景には、日本全体で高齢化がさらに進むことによって医療費の保険負担が増加し、 保険財政が悪化していることがあります。そのため、厚生労働省では「後期高齢者医療制度」(75歳以上が加入)でも高所得者の年間保険料の上限を2万円引き上げる案を社会保障審議会に示し、了承されています。

 

一方、介護保険料については、今の金額のまま据え置かれました。今後、国民健康保険料の上限を定める政令を改正する予定です。

 

そもそも国民保険料の仕組みとは

見てきた通り、来年度から国民健康保険料の上限が引き上げられる予定です。ここでは、そもそもの国民保険料の仕組みについて見ていきましょう。

 

日本では、国民は誰もが必ず公的医療保険制度に加入する必要があります。これを「国民皆保険制度」といいます。医療保険制度に加入して毎月、一定の保険料を納めることで、病気やケガなどで治療等を受ける場合に、適切な医療給付を受けられます。アメリカなど海外には、このような制度がない国もあります。

 

実は、医療保険制度はひとつではありません。個人事業主や会社員などの立場や年齢などによって、国民健康保険、協会けんぽ、健康保険組合、共済組合、後期高齢者医療制度の5つの医療保険制度に分かれます。国民健康保険は5つある保険制度のひとつです。

 

国民健康保険は個人事業主や学生、年金受給者など、企業などに勤めている人が対象となっている社会保険に加入していない人が対象です(75歳以上の人は、後期高齢者医療制度に加入します)。

 

国民健康保険に加入している人は、病院などで医療行為を受ける際に一定金額の医療費を自己負担し、差額は国民健康保険が負担します。医療費の自己負担の割合は、年齢や所得により1~3割負担までの間になっています。例えば、実際の医療費が1万円で自己負担が2割の場合、国民健康保険の加入者は2千円の自己負担で済みます。

 

次に、毎月支払う健康保険料について見ていきましょう。毎月支払う健康保険料は、実は、医療分、支援分、介護分の3つの合計になっています。医療分は医療に対する保険料です。一方、支援分は後期高齢者医療、介護分は介護保険に対する保険料です。※介護分は40歳以上65歳未満の人が支払います。

 

なお、国民健康保険料は被保険者ごとに計算したものを世帯で合算して 世帯の人数や年齢、前年度の収入(所得)に応じて、毎月の保険料が計算されます。

 

国民保険料の計算方法とは

 

国民保険料は、世帯の人数や年齢、前年度の収入(所得)に応じて、毎月の保険料が計算されます。そこで、ここからは国民保険料の計算方法について見ていきます。

 

国民保険料の計算手順

 

国民健康保険料の基本的な計算はどこの市区町村でも同じですが、細かいところでは市区町村によって計算方法が異なるケースがあります。実際には、被保険者自身が国民健康保険料の金額を計算することはなく、各自治体が計算を行って被保険者に保険料の金額が通知されます。

 

しかし、自分の来年の保険料がいくらになるのか、おおよその金額を知りたいという人も多いでしょう。そこでここでは、東京都を例に国民健康保険料の一般的な計算手順を見ていきましょう。

 

東京都の国民健康保険料は所得割、資産割、均等割、平等割の4つの合計になります。それぞれ、次のように計算します。

 

  • 所得割:世帯の所得合計に応じて計算
  • 資産割:世帯の資産(固定資産税額)に応じて計算
  • 均等割:世帯の人数に応じて計算
  • 平等割:一世帯あたりの金額が決まっている

 

もっとも、特別区や多くの市区町村では、所得割と均等割のみが健康保険料の計算対象となっています。

 

国民健康保険料の一般的な計算手順は、次のようになります。

 

・ 所得金額を調べる

所得割は世帯の所得合計で保険料を計算するため、まずは所得金額を調べる必要があります。個人事業主の場合は、確定申告書に所得金額が記載されています。

 

また、世帯の所得合計で計算するため、家族の複数に収入がある場合(会社員の社会保険など他の保険制度に加入している人は除く)は、所得金額を合算する必要があります。

 

・基準額(基礎所得金額)を計算する

所得割は、所得金額-基礎控除額43万円 を差し引いた金額をもとに計算します。これを基準額(基礎所得金額)といいます。

 

・所得割額、均等割額を計算(上限あり)する

医療分、支援分、介護分ごとに、所得割額、均等割額を計算し、すべての金額を合算して納める保険料の金額を求めます。

 

具体的な国民保険料の計算手順

 

次に、国民健康保険料の計算手順を具体例で見ていきましょう。

 

例)家族構成:

夫40歳…年収500万円、所得金額343万円

妻40歳…専業主婦

子供10歳…東京都中央区在住

【基準額】

所得金額343万円-43万円=300万円

 

【所得割額、均等割額の計算】

・医療分(上限63万円)

所得割=基準額300万円×保険料率7.13%=21万3,900円

均等割=3万8,800円×3人=11万6,400円

合計=所得割21万3,900円+均等割11万6,400円=33万,300円

 

・支援分(上限19万円)

所得割=基準額300万円×保険料率2.41%=7万2,300円

均等割=1万3,200円×3人=3万9,600円

合計=所得割7万2,300円+均等割3万9,600円=11万1,900円

 

・介護分(上限17万円)

所得割=基準額300万円×保険料率1.65%=4万9,500円

均等割=1万7,000円×2人(40歳以上)=3万4,000円

合計=所得割4万9,500円+均等割3万4,000円=8万3,500円

 

【国民健康保険料の計算】

国民健康保険料=医療分33万300円+支援分11万1,900円+介護分8万3,500円=52万5,700円

 

国民健康保険料には軽減措置もあります。軽減措置があるケースは次のような場合です。

 

  • 所得が一定の基準以下の場合
  • 後期高齢者医療制度に移行した人(75歳到達時)の被扶養者(65歳以上75歳未満)が国民健康保険に加入する場合
  • 自発的でない失業者の場合

※軽減の対象になるには、国民健康保険に加入している世帯全員の所得が確定しなければなりません。所得の有無に関係なく、自治体か税務署に所得を申告してください。

 

そのほかにも、世帯の誰かが後期高齢者医療制度へ移行し、国民健康保険単身世帯となる場合など、さまざまなケースで軽減措置があります。また、独自に軽減制度を設けている自治体あります。詳しくは、各自治体にお問い合わせください。

 

まとめ

日本全体で高齢化が進み、医療費の保険負担も増加しているため、保険財政は悪化しています。そこで、厚生労働省は高所得者について、国民健康保険の年間保険料の上限額を来年度から3万円引き上げて、85万円にする案を社会保障審議会に示し、了承されました。

 

そもそも国民健康保険は、病気やケガなどで治療等を受ける場合に、適切な医療給付を受けることができる制度です。日本では、国民は誰もが必ず、公的医療保険制度に加入する必要があります。これを「国民皆保険制度」といいます。

 

国民健康保険料は、各自治体が保険料を計算して通知するため、自分で計算する必要はありません。しかし、計算方法を知っておけば、おおおその保険料の目安がわかります。おおおその保険料の目安がわかることは、家計のお金の流れを考えるうえでも重要となるでしょう。

 

長谷川よう
会計事務所に約14年、会計ソフトメーカーに約4年勤務。個人事業主から法人まで多くのお客さまに接することで得た知見をもとに、記事を読んでくださる方が抱えておられるお困りごとや知っておくべき知識について、なるべく平易な表現でお伝えします。