やはり「有事の金」は最強か?!金(きん)相場の特徴とは? – マネーイズム
 

やはり「有事の金」は最強か?!金(きん)相場の特徴とは?

コロナ禍が開けたとはいえない現在、連日ニュースで報じられるウクライナの状況は世界中のあらゆる取引に大きな影響を与えています。
そんな中、実物資産としての「金(きん)」はどのような特徴があるのでしょうか?
この記事では、投資の初心者向けに金相場の特徴について解説します。

有事の金!?金相場の動きについて

金相場ってどのようになっているの?

金貨やジュエリーに使われる「金」は、金製品そのものを実物の資産として持つことができます。
また、この「金」を投資資産として保有することもできます。
 

「有事の金」という言葉を聞いたことがあるかもしれません。
株式や債券は、その時々の経済状態によってその価値が大きく変わります。
特に、コロナのようなパンデミック、そして、戦争や急激な景気変動などによって経済社会が大混乱に陥ると、株式や債券に代わって、実物資産としての「金」の人気が上昇し、その価値が上がります。
実物資産とは、土地や建物、貴金属などの「形」があり、そのもの自体に価値がある資産を言います。
 

したがって、「有事の金」とは、社会の大きな混乱(有事)のときには、金のような頼りになる実物資産を頼りにする人が多いという意味です。
 

下のグラフは、国内の金の買取り指標としてよく利用される田中貴金属工業の過去5年間の金の価格を示したものです。赤線が田中貴金属(国内)の価格であり、青線が海外ドル建の価格です。
 

【過去5年間月次金価格推移】

国内・国外ともに似た動きをしています。コロナの影響が出始めたのは2019年の終わりですが、その前あたりから金の取引価格は上昇しています。
そして、2021年からは価格は下落していますが、再び2022年に入って上昇しています。
これは2022年2月24日に始まったウクライナ侵攻の影響といえるでしょう。

このように、コロナによる全世界的な混乱や、ウクライナ侵攻はまさに「有事」であり、金の価格との関連性がよくわかります。

過去における「有事」と「金」の関係は?

最近の有事を見てきましたが、もう少し長期における「有事の金」を見てみましょう。
 

下のグラフは、金を扱う三菱マテリアル株式会社のサイトにおける1978年から2022年1月までの金価格の推移を表したものです。ここでは、黄色い線で表した国内の動きに注目してみましょう。
 

【金価格の長期推移】

グラフ左側ではいきなり右上がりになり、金価格が上昇していますが、これは1979年のイラン革命、第二次オイルショック、1980年のイランイラク戦争という有事があった時期です。
しかし、その後金価格は下落し、2000年過ぎまで安定しています。
そして、2008年にリーマンショックが起こると、不安定な経済社会を反映して金価格も上がり始めましたが、2013年以降は落ち着つき、2016年以降は緩やかに金価格は上昇していきました。
 

2011年には東日本大震災が起きましたが、この時は金の価格は乱高下したようです。
原発事故も誘発した未曽有の混乱の中では、持っている金を売る人と、逆に投資のチャンスとして買う人が錯綜して安定しませんでした。グラフ上では金価格はこの間も少しずつ上がっています。
 

このように約40年間においても、経済社会の有事においては金を買う人が増え、金の価格が上昇します。
長期においても、まさに「有事の金」となることが見て取れます。
ただし、大きな自然災害ではそうとも言えないことが見えてきました。

インフレや円安と金価格の関係

インフレと金価格の関係とは?

有事が起こるのは、予測がつきません。
しかし、インフレは有事のように突然起きませんし、ある程度傾向がつかめます。
インフレと金価格の関係はどうなっているのでしょうか?
 

インフレとは、商品やサービスの値段が上がり続ける状態のことです。
モノの値段が上がり続けるということは、逆に見ると、お金の価値が下がり続けるということです。
 

インフレには良いインフレと悪いインフレがあります。
良いインフレとは、モノが売れるため企業が儲かり、社員の給料も増えて、消費者はインフレで生活費が増えた分をアップした給料で吸収できる状態となります。そしてさらに商品を買い、さらに商品がたくさん売れて・・・といった好循環が生まれるインフレです。
 

反対に、悪いインフレとは、企業がモノ価格の上昇ほど売上価格に上乗せできず、企業の業績が悪くなり、賃金は上がらない状態となります。そして、生活費は値上がりするため、家計は苦しくなり・・・といった悪循環が生まれるインフレです。

特に悪いインフレの時には、実物資産である金を持っていると急激な資産の目減り(インフレリスク)を防ぐことができると言えます。

インフレと円安の関係とは?

インフレによってお金の価値が下がると、円と外貨を交換するときの比率である為替レートにおいても、円の価値が下がって円安の原因となります。
 

円高とは、円と交換できる外国の通貨が相対的に多い状態のことを言います。
円安はその逆で、円と交換できる外国の通貨が相対的に少ないことです。

次のグラフは、日本銀行の時系列統計データで、2000年から現在までの東京市場におけるドルと円の月中平均価格の推移を表したものです。
 

【東京市場 為替レートの推移】

このグラフは約20年間の東京市場の為替レート(月中平均)を示しています。
2014年の後半にはアメリカの経済が堅調であったことや日銀が「量的質的緩和」に踏み切ったことなどの影響で円安となっています。さらに、2022年に入り、大幅な円安となったことはニュースなどでも話題になっています。
 

ここでは、続けて同じ期間の物価指数について見てみましょう。
 

【企業物価指数の推移】
 

大雑把ではありますが、上下のグラフで円安とインフレが呼応している様子がわかると思います。
連動していない時期ももちろんありますが、グラフ上では2022年が一番顕著に、円安とインフレが呼応していると言えます。
 

アメリカはコロナ後の経済回復により、需要が増え、さらに供給不足もあり、ガソリンや食料品をはじめとする多くのモノが値上がりしインフレとなりました。そのため、中央銀行は「利上げ」によって経済活動を抑え、インフレに歯止めをかけようとしました。
一方、日本でも同様にモノの値上がりはあったものの、需要が増えているわけではなく、利上げしても景気回復につながらないとして、依然金融緩和(利下げ状態)は続いています。
結果、このアメリカと日本の金利差により、「歴史的な」ドル高円安になったといわれています。

「金」保有のメリット・デメリットとは?

「金」を保有するメリットとは?

現在、「有事の金」として、また、金が脚光を浴びる状況にあるようです。
金のメリットをまとめると、次のようなものがあります。
 

  • ➢ 供給量が決まっている(産出量は増えないため、希少価値は上がる)
  • ➢ エネルギーや農産物などとともにコモディティとしての強さをもつ など

結局、「実物資産」の強みが凝縮されたものが金であり、そのことは歴史的にも証明済みであると言えます。
 

「金」を保有するときの注意点とは?

しかしながら、金の弱みとしては、次のようなものが挙げられます。
 

  • ➢ 株式のような配当はない
  • ➢ 株式のように短期間に大きく値上がりするものはない
  • ➢ 有事は予測できない
  • ➢ 投資初心者向けではなく、どちらかというと資産を増やすのではなく守りたい人向けの資産

 

このようなメリット・デメリットを見ていると、やはり金は一つの投資資産に過ぎず、常に経済社会の影響を受けているものの一つだと言えます。また、金は富裕層向けの資産であると言えるでしょう。
 

【関連記事】:安定した運用資産である金!相場が上がるケースについて解説

まとめ

「有力投資家が金を買い始めた」などと聞くと、ザワザワとする投資家もいるようですが、金の持つ良さを理解している人は「金」ばかりに投資しないように思います。
為替やインフレのリスク対策として、ある程度資産のある人が、持てる投資資産の中に「金」をうまく組み込む「分散投資」がやはり無難なのでしょう。