青色事業専従者給与を適用するとどうなる?適用の要件やメリットと届出方法を解説 – マネーイズム
 

青色事業専従者給与を適用するとどうなる?適用の要件やメリットと届出方法を解説

個人事業主で青色申告が認められている場合は、家族に支払った給料を「青色事業専従者給与」として認めてもらえます。家族に支払っていますが、経費が増加するため節税できる仕組みです。ただ、利用にあたっては一定の要件があるため、届出方法とともに解説します。

青色申告で適用される専従者給与とは

専従者給与は家族に支払う給与

専従者給与とは青色事業を営む個人事業主が専従者に対して支払う給与を指します。専従者の条件については後ほど詳しく説明しますが、主に生計を同一にしている家族であると考えましょう。つまり、家族に対して支払う給与を専従者給与と呼びます。
家族に対して支払う給与が専従者給与に該当すると、支払う金額は経費として処理可能です。個人事業主としての支出が増えるため、課税所得が下がり各種税金が下がるなどの効果が期待できます。なお、専従者給与として認められない家族への給与は経費とは認められないため、専従者給与が経費になる点は大きなメリットです。

適用には届出が必要

家族への給与を専従者給与として認めてもらうためには、事前に「青色事業専従者給与に関する届出・変更届出書」と呼ばれる書類を税務署に提出しなければなりません。自由に専従者給与を設定できる制度ではなく、税務署が認めたルールの範囲内でのみ適用される制度です。
なお、届出が必要ではありますが、「いつまでに届出しなければ認められない」というルールはありません。下記で説明する条件を満たしていれば、任意のタイミングで届出して専従者給与の適用を受けられます。
ただ、毎年3月15日までに提出していなければ、その年度の確定申告では適用されません。例えば、2023年3月15日までに提出すると2023年度の確定申告で適用されますが、2023年3月16日に提出すると2024年度の確定申告から適用になってしまいます。

事業専従者控除との違い

白色申告の場合には「事業専従者控除」として青色事業専従者給与と同じような控除を受けられます。ただ、こちらの控除には上限金額があり、配偶者は86万円、その他の親族は50万円までです。
それに対して青色事業専従者給与は事業専従者控除のように上限金額が定められていません。適切な給与を支払う必要がありますが、まとまった金額を経費として計上できるため、節税効果が期待できます。
「事業専従者控除」については、「白色申告する個人事業主(家族経営)なら専従者控除をお忘れなく」をご覧ください。

青色事業専従者として認められるための3つの要件

青色申告者と生計を一にする配偶者その他の親族である

青色事業専従者として認められるためには、配偶者や親族のうち生計を同一にしていなければなりません。生計を同一にせず別に生活しているならば、仮に親族であっても青色事業専従者としての条件は満たされないルールです。なお、親族の範囲については定めがないため、生計を同一にしていれば青色事業専従者として認められます。

その年の12月31日現在で年齢が15歳以上である

専従者として働いてもらうためには、当該年度の12月31日時点で15歳以上でなければなりません。ルールとして定められているため、15歳未満はどんなに専従者と同じ働きをしていても青色事業専従者になることは不可能です。また、以下で説明するとおり、学生などは15歳以上でも「専従している」とは判断されない場合があるため注意しましょう。

その年を通じて6カ月を超える期間事業に専ら従事している

青色事業専従者は「専従者」であるため、青色申告者の事業に6カ月を超えて専従していることが重要です。例えば、青色申告者の子どもが18歳で大学生である場合、本業は学生だとみなされます。つまり、青色申告者の事業を手伝っていたとしても、それだけでは専従者としてはみなされません。専従者の判定基準について明確には定められていませんが、学業など仕事以外の部分に多くの時間を割いているならば、専従者とはみなされない可能性が高まります。

家族への給料を専従者給与とするためのステップ

青色申告制度の適用を受ける

家族への給料を専従者給与としたいならば、まずは給料を支払う側が青色申告制度の適用を受けなければなりません。専従者給与の制度を利用できる事業者は青色申告が認められている人のみであるため、まだ適用の申請が済んでいないならば、こちらの届出が必要です。
なお、青色申告制度の適用を受けるためには「所得税の青色申告承認申請書」と呼ばれる書類を所轄の税務署に提出しなければなりません。また、提出期限は青色申告書による申告を利用したい年の3月15日までか、新たに事業を開始した場合は開始日から2カ月以内です。期日を過ぎていると翌年からの適用になってしまいます。

青色事業専従者給与に関する届出・変更届出書を準備する

青色申告の届出が完了して、青色事業者となっているならば、続いては青色事業専従者給与に関する届出へと移ります。「青色事業専従者給与に関する届出・変更届出書」の提出が必要となるため、国税庁のWebサイトなどからダウンロードして、記入の段取りを進めましょう。
基本的には書式に沿って記入するだけでよく、以下の部分を記載しましょう。

  • 専従者の氏名
  • 続柄
  • 年齢/経験年数
  • 仕事の内容・従事の程度
  • 資格等
  • 給料
  • 賞与
  • 昇給の基準

これまでの仕事内容や支払額を踏まえて記載します。なお、給料や賞与はこちらの届出にあたって、それまでの金額と変更しても差し支えありません。

所轄の税務署に届出書を提出する

申請書が完成すれば、あとは所轄の税務署に届け出るだけです。居住地や事業所の場所に応じて対応してくれる税務署が異なりますが、「所得税の青色申告承認申請書」を提出した時と同じ税務署へ基本的には提出します。窓口へ持ち込めばその場で内容の確認をしてくれ、問題がなければそのまま受理してもらうことが可能です。もし、何かしら誤りがあればその場で指摘されるため、修正できる内容であればその場で修正して、改めて提出しておきましょう。また、提出期限に関しても「所得税の青色申告承認申請書」と同様に、青色事業専従者給与額を必要経費に算入しようとする年の3月15日までか、新たに事業を開始した場合は開始日から2カ月以内です。

専従者給与の届出にあたって意識したいポイント

適切な給与額を設定する

専従者給与として認められるためには届出が必要ですが、ここには給与額を記載しなければなりません。この給与額について、同じ職種やポジションと比較するなどして、適切だと考えられる金額を設定すべきです。中には「節税のために高額な給与を設定したい」と考える人が見受けられますが、これは避けましょう。
一般企業などと比較して極端に高額な給与額を設定すると、税務署から「税金を抑えるために相場よりも高い金額を設定している」と指摘されてしまうかもしれません。そうなると、専従者給与として認められなくなるため注意が必要です。

税金などの支出を考慮する

専従者給与の適用対象になる配偶者は配偶者控除の対象として認められません。そのため、専従者給与として支払う金額によっては結果的に税金が増えてしまう可能性があります。その点を考慮して「届出すべきか」「給与はいくらに設定すべきか」を検討しましょう。
また、専従者が支払う所得税や住民税についても考慮しなければなりません。青色事業者の税金が下がっても、家族の税金が上がってしまうと「世帯として支払う税金額」は減らない可能性があります。個人ではなく世帯全体で考えるようにしましょう。

☆ヒント
家族への給与を青色事業専従者給与にできると、経費に計上できるため税金が下がるメリットがあります。ただ、設定額によっては専従者給与として認められない可能性や世帯として税金下がらない可能性もあるため、税理士に相談してみると安心です。

まとめ

個人事業主で青色申告制度の適用を受けているならば、家族への給与が専従者給与となり経費として扱える可能性があります。本来、家族への給与は経費として扱えませんが、事前に届出して制度の適用が認められれば経費となり節税可能です。
ただ、自由に給与額を設定できるわけではなく、同じ業務に従事する人の相場といえる金額に設定しなければなりません。また、青色事業者の税金は下がりますが、給与を受け取る側の税金は上がる可能性があります。個人ではなく世帯で節税できるか考えることも重要です。
 

松崎ぶっち
立命館大学卒。
在学中に起業・独立などにあたり会計や各種監査などの法規制に対応するためのシステム導入ベンダーを設立。紆余曲折を経て多くのシステムを経験。
システム導入をされるお客様の起業活動を通じて得た経験、知見を活かし皆さんの気になるポイントを解説します。
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