1971年以来、50年ぶりの改定?政府が優秀な人材確保に向け教員給与の増額を検討

教員の長時間労働や各地の学校での人材不足が問題になるなか、文部科学省は5月22日に、優秀な人材の確保に向け、教員の給与引き上げと学校の働き方改革などの具体策について本格的に検討していくことを明らかにしました。
教職調整額増加案、公立学校の残業代問題解決につながるか
近年、教職の人気が低迷しているのは明らかで、2021年度に行われた教員採用試験の倍率は公立の小学校で2.5倍にまで下がり、これまでで最低の数字となりました。人材不足により補充が困難な地域も増えてきており、学校現場の欠員を補充できない自治体も相次いでいるようです。
現在、公立学校の教員へは、いわゆる「残業代」は支払われていません。これは、授業の準備や夏休み中の業務など、教員の特異性が理由とされています。しかし残業代が支給されないこの仕組みは「定額働かせ放題」と批判されており、手当を支払う形にする制度改正を望む意見も存在するようです。
検討の軸となるのは、自民党が5月に提言した公立学校の教員に残業代を支払わない仕組みを維持しつつ、「教員給与特措法」(給特法)に基づき、基本給に4%を上乗せする「教職調整額」を増やす案。党内では、10%以上に増額する案も出てきているようです。現在の追加支給の4%は、給特法が制定された当初に調査された月あたり8時間の残業時間に基づいて設定されていますが、2022年度の調査では、小学校の教員の月平均残業時間は約41時間、中学校は約58時間と、かつての状況と比較して大幅に残業時間が増えている状況のようです。
文部科学省によると、10%に引き上げた場合に国と地方が負担する予算額は約3450億円で、現在の約1380億円から追加で2000億円程が必要とされています。
実施には、給特法の改正が必要で、増額されれば、1971年の制定以来、50年ぶりの改定となるようです。
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