アップルがiPhone15シリーズを発表-スマートフォン市場に高価格帯での需要取り込みに挑む

米アップルが9月12日に毎年恒例となる新製品の発表会を行い、新モデルとなるスマートフォン「iPhone15」シリーズを発売することを明らかにしました。事前の予想通り、充電端子が「Lightning 」から「USB-C」に変更されるなど、低迷するスマートフォン市場で消費を促す狙いがあります。
「iPhone」はアップルの主要な収益源であり、40カ国以上で最新モデルの予約受け付けを9月16日に開始し、製品は9月22日から消費者と店舗に届き始めます。
また、最新のiOS17も9月18日にリリースされる予定です。
Pro・Pro Maxモデルは軽量なチタンフレームと4800万画素カメラを搭載
今回発表された新モデルには、15と15 Plus、15Proと15Pro Maxの4つのバリエーションがあります。15のエントリーモデルは、米国では799ドル(日本では12万4800円)からはじまり、15 Plusは899ドル(同13万9800円)、Proモデルは999ドル(同15万9800円)、Pro Maxは1199ドル(同18万9800円)から販売されます。
最上位モデルは米国でも前年モデルより100ドル高い価格設定となりました。
アップルにとって、初となる第5世代(5G)移動通信ネットワークに対応したモデルであるiPhone12 Pro以来となる大幅なアップデートが行われ、高級化によって収益性を高める戦略を推進しています。
アップルの最高経営責任者(CEO)ティム・クック氏は「Proモデルは技術革新の最も優れた部分であり、デザイン、カメラ、パフォーマンスなど多くの機能が進化している」と、その成果について述べています。
新しいモデルの画面サイズは6.1インチと6.7インチがあり、エントリーモデルには高解像度のリアカメラやA16チップ、そして「ダイナミックアイランド」と呼ばれる新しいインターフェースが追加されました。また、新しいカラーオプションも導入されました。
ProとPro Maxモデルでは、フレームが従来のステンレスから軽量なチタンが採用され、耐久性が向上しました。
さらに、Proモデルにはアップルが初めて3ナノメートルプロセスで生産した新しいチップ「A17」が搭載されています。ナノメートルプロセスとは、CPUをどれだけ微細に製造しているかを示すもので、1ナノメートルは1メートルの1億分の1(1/1,000,000,000)の長さを表します。
最も大きな変更点は背面カメラシステムで、15と15Plusではメインレンズの解像度が現行の1200万画素から4800万画素に引き上げられました。
15 ProとPro Maxモデルには、広角レンズ、超広角レンズ、改良された光学ズームとデジタルズームを備えた望遠システムの3つのカメラが引き続き搭載されており、特にPro Maxモデルの場合、望遠カメラは最大5倍のズームが可能です。
とはいえ、発表後の株式市場の反応は冷静で、アップルの株価は一時的に2.5%下落しました。
事前予想を上回るサプライズがないことと、競合会社であるグーグルがスマートフォン用に開発した「Android(アンドロイド)」を搭載する端末の平均販売価格と比較して3.5倍の水準であることから、高価格との指摘もあります。
実際、スマートフォン市場は成熟局面に達しており、市場調査会社IDCによると、2023年の世界的なスマートフォン出荷台数は、2022年に比べて4.7%減少し、約11億5000万台になると予測されています。これは過去10年で最も低い水準となる見込みです。
また、世界的なインフレによる影響で家計を圧迫しているのに加えて、米中対立の影響による先行きの不透明さも懸念されるなかで、高価格帯のスマートフォンを購入しようとする需要をアップルがどれだけ取り込めるのか、今後の動向に注目が集まっています。
▼参照サイト
Apple、iPhone 15 ProとiPhone 15 Pro Maxを発表【Apple Japan合同会社】
iPhone15を22日発売 市場成熟、価格引き上げ【日本経済新聞社】
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