スマホで確定申告ができるスマート申告とは?
フリーランスの申告方法も合わせて解説

スマホで確定申告ができるスマート申告とは?  フリーランスの申告方法も合わせて解説
公開日:
2020/02/27
最終更新日:
2020/03/30
 
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毎年2月になると確定申告が始まります。今年は新型コロナウィルスの影響で確定申告の期限を4/16まで延長する方針との報道も本日飛び込んできましたが、混雑する税務署を避けオンラインで確定申告を行う人は年々増加し、2019年度は全体の57.9%になりました。スマートフォンを使った確定申告であるスマート申告は2019年1月に始まりましたが、2020年1月から対象者が拡大されています。今回は、スマート申告の最新情報をお届けした上で、フリーランスが確定申告を簡単に行う方法についても解説します。

所得税の仕組み

パソコンやスマートフォンで確定申告を行う際に分かりにくさを感じるのは、所得税の仕組みを理解していないからかもしれません。初めに所得税についての理解を深めましょう。

所得税とは

個人が所得に応じて負担する税金が所得税です。所得税額は、1年間の全ての所得から所得控除を差し引いた残りの課税所得に対し、税率を適用して算出されます。

所得金額の計算

所得税額を計算するためには、所得金額を確定しなければなりません。日本の法律では、所得は10種類に分けられ、それぞれの特例などを考慮しつつ、基本的には合算することで所得金額を確定します。10種類の中で、ここでは主に事業所得と給与所得について解説します。

課税所得額の計算 ― 所得控除

まったく事情を考慮せず、単純に所得に所得税率を適用するのはあまりにも乱暴です。所得税率は、所得から所得控除額を差し引いた金額である、課税所得に対して適用されます。所得控除にはたくさんの種類があります。一般の人々やフリーランスが知っておくべき所得控除には、医療費控除とセルフメディケーション、ふるさと納税(寄付金控除)、青色控除などがあります。

所得税額の計算 ― 超過累進税率

所得税率は課税所得額に応じて段階的に上昇します。しかし、課税所得額に対して一括して所得税率を適用すると、課税所得額が多い人の税引き後所得が、課税所得額が少ない人より少なくなるという不公平が生じます。そこで、課税所得額のうち少ない部分に最低の所得税率を適用し、それを超えた部分に次の所得税率を適用する、といった具合に段階的に税率を適用することで、公平性を確保します。これが超過累進税率のしくみです。

源泉徴収票の扱い

所得税は自分で計算して納付する税金ですが、給与所得などの所得は、支払う側が計算し差し引いて国に納付します。これが源泉徴収制度であり、被雇用者には源泉徴収票が渡されます。源泉徴収された分以外に所得があったり、還付を受けたりする場合、源泉徴収された部分は確定申告に織り込まれます。

確定申告と還付申告

確定申告とは、上記の作業を納税者が自分で行って納付する制度です。還付申告とは、源泉徴収などで支払いすぎた税金の還付を受ける制度のことを指します。

確定申告とは

所得税は、納税者が自ら所得税額を計算して納税する「申告納税」を採用しています。納税者は自ら所得や控除を計算して課税所得額を確定し、それを納付します。これが確定申告の手続きです。給与所得が源泉徴収されるのは特例的な制度といえるでしょう。

確定申告の時期

確定申告は、毎年1月1日から12月31日までの所得に対する所得税を納める手続きです。確定申告の期間は毎年2月16日から3月15日までです。期間を過ぎても申告を行うことは可能ですが、延滞によって多くの税金を課されることもあります。なお、今年の確定申告の期間は、曜日の関係で2020年2月17日(月)から3月16日(月)までとなっています。

確定申告する必要がある人

簡単に述べると、1ヶ所から所得があり源泉徴収されている場合と、所得が少ない場合以外は確定申告が必要です。1ヶ所からの給与所得のみでも、収入金額が2,000万円を超える場合には確定申告が必要となります。

確定申告で必要になる書類

基本的には、収入金額を明らかにする書類と控除を受けるための書類すべてを用意する必要があります。事業収入があれば青色申告決算書か収支内訳書が、給与所得があれば給与所得の源泉徴収票、公的年金を受給していれば公的年金等の源泉徴収票が必要です。医療費控除を受けるためには領収書などを保管したうえで医療費控除の明細書が、ふるさと納税を利用するときには自治体が発行した寄附金受領証明書が必要になります。また、本人確認のためにマイナンバーカードなども用意します。

確定申告書の種類

確定申告書は2種類あります。申告書Aは所得の種類が給与所得や公的年金のみの場合に使います。それ以外の所得がある場合は申告書Bを使います。

白色申告と青色申告

事業所得がある場合、最終的な事業所得を正確に確定するためには、日々の収支を記録する作業が必要です。事前に青色申告承認申請書を提出したうえで、日々の収支を正確に記録して青色申告決算書を提出した場合、青色申告特別控除を受けたり、家族を従業員とした場合に経費に算入できるようになったりするなどの、さまざまな特典を受けることができます。これが「青色申告」の制度です。青色申告を利用しない場合を「白色申告」と呼びます。現在、白色申告でも収支の記録が義務化されていることや、ソフトを使えば日々の記録作業はそれほど大変ではないことを考えると、ほとんどの場合青色申告を選択したほうが有利でしょう。

還付申告

源泉徴収された所得税額に控除が算入されていないなどの理由から、税金を納めすぎた場合は「還付申告」によって取り戻すことができます。還付申告は事由が生じた年の翌年1月1日から5年間提出できます。確定申告をする必要がある場合、還付に関連する処理も確定申告と同時に行ったほうがスムーズです。

 

☆ヒント
所得税と確定申告について説明してきましたが、説明できなかった事柄も多く、実際の確定申告はもっと複雑です。さまざまな節税手法をフルに活用して、本当に納めなければならない所得税を知るためにも、税理士などの専門家に相談することをお勧めします。

オンラインでの確定申告 ― 確定申告書作成コーナー

確定申告は、紙の確定申告書を提出することでも行えますが、インターネットにつながったパソコンがあれば、自宅からでも行うことができます。オンラインの確定申告には、混雑を避けられる、24時間いつでも提出できる、ガイドに従って入力するだけで申請書類ができる、青色申告特別控除額が増額されるなど、多くのメリットがあります。

確定申告書作成コーナーとは

国税庁は、オンラインで確定申告書を作成するためのウェブサイト「確定申告書作成コーナー」を用意しています。ガイドに従って入力するだけで確定申告書が作成できる、非常に便利なサイトです。

e-Taxを利用した確定申告書の提出

作成された申告書は、税務署に持参したり郵送したりするほかに、e-Taxを使ってオンラインで提出することもできます。オンラインでデータを提出するためには、本人が提出したことを証明する方法が必要です。e-Taxの本人確認の方法は、マイナンバーカード方式とID・パスワード方式の2つがあります。

 

  • マイナンバーカード方式
    マイナンバーカード方式を使う場合、マイナンバーカードとICカードリーダライタが必要です。確定申告書作成コーナーで確定申告書を作る場合、最後の段階で結果の電子送信を選ぶとマイナンバーカードの読み取りが要求されるので、指示に従って提出します。その際、マイナンバーカードに設定されたパスワードが必要になります。
  • ID・パスワード方式
    ID・パスワード方式を利用する場合、事前に税務署でIDとパスワードを発行してもらう必要があります。あとは通常のネットショッピングなどと同様に、IDとパスワードを使ってシステムにログインしてから書類を提出します。

スマホを使った確定申告 ― スマート申告

以下では、スマートフォンを使った確定申告について詳しく説明します。スマートフォンに最適化された「確定申告書作成コーナー」を使った確定申告を「スマート申告」と呼びますが、2020年の確定申告では、事業所得がある場合、スマート申告はできません。同じスマート申告でも、マイナンバーカード方式とID・パスワード方式、そして印刷方法を選択できます。マイナンバーカード方式で申告する場合、ICカードリーダライタは必要ありませんが、スマートフォンの端末がマイナンバーカード方式に対応している必要があります。どの方式でも、必要な端末・マイナンバーカード・パスワードなどが準備できていれば、ガイドに従って入力するだけで確定申告を行うことができます。

スマート申告とは

スマート申告とは、スマートフォンやタブレットを使って所得税の確定申告を行うことです。スマートフォンやタブレットに最適化された画面デザインの「確定申告書作成コーナー」を利用できます。なお、スマートフォンやタブレットからも、パソコンで使う「確定申告書作成コーナー」の画面を呼び出して確定申告を行うことも可能です。

 

スマート申告のサービスは2019年1月に始まりました。当初は取り扱うことができる収入が年末調整1ヶ所の給与所得のみ、控除は医療費控除と寄付金控除のみであるなど、かなり利用者が限られていました。今年2020年1月からは、所得として公的年金、その他雑所得、一時所得が扱えるようになり、すべての所得控除が扱えるようになるなど、利用者の範囲を拡大しています。また、1月末からは、スマートフォン端末が対応していれば、ICカードリーダライタの代わりにスマートフォン端末を使ってマイナンバーカード方式で確定申告を提出できるようになりました。

スマート申告には制限がある ― 事業所得があると使えない

2020年の確定申告では、事業所得がある場合にはスマート申告はできません。これは取り扱える所得の範囲が、給与所得、公的年金、その他雑所得、一時所得に限られることによります。2020年からすべての所得控除を取り扱えるようになりましたが、青色申告特別控除は所得控除の範囲に入りません。フリーランスなどで事業所得がある場合や、いくつかの所得がある場合は、パソコンを使って確定申告を行うのがおすすめです。

スマート申告するときに用意するもの

  • 確定申告書を、マイナンバーカード方式によりe-Taxで提出する場合
    マイナンバーカード方式を使う場合、ICカードリーダライタの代わりにマイナンバーカードに対応したスマートフォンが必要です。マイナンバーカードに対応したスマートフォンとは、かざすことでマイナンバーカードの情報を読みとれる機種のことであり、どの機種が対応しているかは国税庁のホームページで確認できます。Android機種としてはAquos、Xperia、Galaxyなどが、iPhone機種としてはiPhone 7以後の機種が対応しています。
    この方式では、当然ですがマイナンバーカードが必要です。さらに、カードだけではなく、カードに設定した3つのパスワード、「利用者証明用電子証明書のパスワード(数字4桁)」、「券面事項入力補助用のパスワード(数字4桁)」「署名用電子証明書のパスワード(英数字6文字以上16文字以下)」も必要になります。e-Taxを利用したことがある人はe-Taxの利用者識別番号と暗証番号も事前に確認しましょう。
  • 確定申告書をID・パスワード方式によりe-Taxで提出する場合
    ID・パスワード方式を利用する場合、マイナンバーカードやマイナンバーカードに対応したスマートフォンは不要です。その代わり、税務署に発行してもらった「ID・パスワード方式の届出完了通知」を用意します。「ID・パスワード方式の届出完了通知」は税務署に出向いて本人確認をすれば即日発行できます。その際、本人確認書類として運転免許証などが必要です。
  • 確定申告書を印刷して持参したり郵送したりする場合
    作成した確定申告書を自宅のPDFファイルとして保存し、自宅のプリンタやコンビニエンスストアのプリントサービスを使って印刷したものを、税務署に持参したり、郵送したりすることで、確定申告を行うことができます。

スマート申告の手順

  • 国税庁のホームページにアクセス
    iPhoneの場合はSafari、Androidの場合はChromeで「確定申告」を検索して国税庁のホームページにアクセスします。「確定申告書等の作成はこちら」のバナーをタップし、「作成開始」をタップします。その後、収入や控除について質問に答えます。
  • 提出方法を選択
    提出方法として、「マイナンバーカード方式」、「ID・パスワード方式」、「書面」のいずれかを選択します。選択によってアプリのインストールやマイナンバーカードのパスワード、税務署に発行してもらったID・パスワードの入力などの作業が必要になります。
  • 金額などを入力
    給与所得の源泉徴収票などをもとに収入を、医療費の領収書や寄付金の領収書などをもとに控除を入力します。その後氏名、住所、マイナンバーなどを入力します。
  • 申告書データを送信
    入力した申告書データをe-Taxで送信します。
  • 申告書データを保存
    申告書データは印刷用のPDF形式で保存できます。保存したPDFファイルを自宅やコンビニエンスストアのプリントサービスで印刷したものを、税務署に持参したり郵送したりして、申告できます。

フリーランスが簡単かつ有利に確定申告する方法

2020年の確定申告ではスマートフォンを使うことはできません。フリーランスが簡単に確定申告する方法は、確定申告書作成コーナーを使ってパソコンで確定申告することです。

 

フリーランスが有利に確定申告するためには、パソコンから青色申告をするのが良いでしょう。青色申告特別控除の上限は65万円ですが、2021年の所得からは、上限の適用を受けるためには電子帳簿による日々の記帳が必要です。記帳用のソフトウェアがあれば、日々の作業はそれほど大きなものではありません。

まとめ

所得税の仕組みをよく理解していれば、パソコンやスマホを使って確定申告することはそれほど難しいことではありません。必要な機械類、書類や記録があれば国税庁のサイトから指示に従って入力するだけで確定申告が完了します。確定申告について正しく理解してスムーズな申告を実現しましょう。

坂下慶太
東京大学卒。米国大学院に進学予定。 東証一部上場企業にて経理業務を担当。 経理業務で体得したスキルや知識を中心に解説していきます。
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